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    2025年、「買い物」という概念がなくなる?

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    Eコマース、つまりネットショッピングの世界では、この数年の消費者の購買行動が劇的な変化をみせています。これまでスーパーやデパートに出向いて買い物をしていた人たちが、スマホやパソコンを使ってネットショッピングをするようになり、支払方法も現金から電子マネーやネット決済を選択する機会が増えてきました。

    こうした変化に伴って注目されているのが「デジタルシェルフ」という考え方です。

    デジタルシェルフとは、「世の中の電子化が進む中で日常の身の回りにあるありとあらゆるものがシェルフ(商品棚)になること」と、ビジネス書『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(望月智之/著、クロスメディア・マーケティング/刊)にて定義されています。同書によると、デジタルシェルフが普及することで、やがて人々は“買い物をする”という行動をとらなくなる、と予想しています。

    「買い物をしなくなる」とは、一体どういうことなのでしょうか?

    デジタルの棚「デジタルシェルフ」とは何か?

    総務省の調査によると、2018年にネットショッピングを利用したことがある世帯は、2017年の34.3%よりも約5ポイント高い「39.2%」となりました。つまり、4割に近い世代でネットショッピングが利用されていることになります。調査を開始した2002年時はわずか5.3%でしたが、以来、数値は年々伸びています。

    ネットショッピングは今後も、AIや5G(第5世代移動通信システム)などの技術が組み込まれ、さらにサービスが充実していくことが予想されます。たとえば、ユーザーが検索しなくても、AIが購入履歴に基づいて欲しい商品を高精度でレコメンド(推薦)してくれる機能や、日用品がなくなるタイミングに自動で注文をしてくれるような機能を備える日も、遠くはないでしょう。

    このように進化をし続けるネットショッピングを、ユーザーが今後も利用し続けるとなると、逆にスーパーやデパートといったリアル店舗の数が減少し、商品を物理的に陳列する棚(シェルフ)が少なくなっていくことが予想されます。現実の棚から買うのではなく、ネットショッピングの棚、つまり「デジタルシェルフ」から選んで買うことが主流になっていくでしょう。

    「買い物をしなくなる」とはどういうことか?

    「買い物をする」という行為が、現実の棚から選ぶという行為ではなく、「デジタルシェルフの中から選ぶ」という行為に変わることで、人間の購買行動も、大きく変わっていくことになるでしょう。

    本書では、購買行動を大きく変えるものとして「データドリブン」を挙げています。データドリブンとは、ユーザーの商品購入履歴や商品検索履歴を分析し、意思決定や未来予測に役立てることを指します。たとえば、ネット通販サイトにある、購入履歴からのおすすめ商品紹介も、データドリブンの一例です。そのほかにも、スマートスピーカー「Amazon Echo」が、ユーザーの音声を分析し、“声の調子が普段と違う”と捉えると、のど飴を勧めてくる、というのもデータドリブンによるものです。

    このデータドリブンを活用すれば、ユーザーの好みに合う商品やサービスをショップ側が自動で把握し、顧客に“必要なもの”としてレコメンドできます。

    これまでの「買い物」は、ユーザーが欲しいと思っているものやサービスをネット検索し、ヒットした多くの商品やサービスの中から、気に入ったものを選んで買うというスタイルでした。しかし、デジタルシェルフの時代は、データドリブンによって自分に必要なものが自動的に選択されるため、自分の意志というより、AIの提案に沿って買い物をする、という流れになっていきます。

    つまり、これからの購買行動の形は「今まさに欲しいもの、必要だと気づいていないけれど、あった方がいいものを買う」という、いわば無意識の領域へと変わっていくのです。

    実際にネット通販大手のAmazonでは、買い物における「ネット検索をする」「候補の商品を見比べる」といった作業を“摩擦”と表現しています。この“摩擦を”取り除くために、Amazonではデータドリブンを活用し、おすすめ商品や類似商品の提案をしています。

    “買い物をしないビジネス”をどう構築するか?

    デジタルシェルフによる購買行動の変化は、私たちの商品やサービスに対する価値観も変化させていくでしょう。自分で商品検索を行っても、手に入る情報は決して多くありませんし、何より手間がかかります。それに対して、SNSによる口コミは、友人やフォロワーといった身近で価値観の似ている人が紹介する商品やサービスを知ることができますし、好みやニーズに合っている可能性が高いのです。

    こうしたデジタルシェルフが普及するにしたがって、ネット環境も高性能化が求められます。2020年から日本でもサービス提供が開始される5Gは、まさにデジタルシェルフを後押しするものになるでしょう。

    ただし、個人情報がある意味“筒抜け”になってしまうというのが、デジタルシェルフのデメリットと言えます。というのも、データドリブンによるレコメンドは、ユーザーがこれまでに購入した履歴や、ユーザーが毎日スマートスピーカーに話しかけた音声など、プライベートなデータをサービス提供者に常に提供し続けなければいけないからです。サービス提供者側には、個人データを流出させないための対策が求められます。

    デジタルシェルフが普及することによって、これからの買い物は「自ら商品を探し出し、購入する」というよりも「レコメンドされたものの中から選ぶ」というものに変わっていきます。売る側の立場から見れば、単に商品を棚に並べるのではなく、その棚の中から顧客に対してレコメンドする必要がある、ということになります。この顧客行動の変化に気付き、対応できるか否かが、これからのビジネスを大きく左右するかもしれません。

    参考書籍
    『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(望月智之)

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