導入事例:イオンモール株式会社様

ショッピングセンター(SC)を訪れる約5人に1人が利用する
クレジットカード、電子マネーの決済が滞らない強靭なネットワーク構成へ。
国内最大手の商業専業デベロッパーは、安定した顧客サービスの
提供を見据えて「Dual Active VPN」を選んだ。
地域密着型の大規模ショッピングセンター(SC)の開発・運営を手がける商業専業デベロッパー イオンモール株式会社では、急増する電子決済への対応力を高める基幹系ネットワークの冗長化、商圏拡大によって複雑化したネットワーク運用・保守業務の軽減が急務になっていた。その答えとしてイオンモールと同社がネットワークを含むシステムの運用をアウトソーシングしている三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社は、2つのVPNとマネージドルーターをワンパッケージにしたNTTコミュニケーションズの「Dual Active VPN」を選んだ。イオンモールの課題をクリアした複合型ネットワークサービスの強みとは?その真相に迫る。
課題
- 急増する電子決済を滞らせない基幹系ネットワークの冗長化
- SC出店に速やかに対応でき、運用・保守業務にかかる負荷を軽減するネットワーク構成のシンプル化
- 将来的な展望を視野に入れたグローバルな対応力の確保
対策
- 電子決済データを扱う基幹系ネットワークに「Arcstar IP-VPN」、メールなどを扱う情報系ネットワークに「Group-VPN」を利用
「Arcstar IP-VPN」の故障時は「Group-VPN」で自動バックアップ - 2つのVPNを1通信キャリアで利用できる「Dual Active VPN」の導入により従来の3通信キャリア体制を1つに統合
効果
- ネットワークの信頼性アップにより増加する電子決済にも安心して対応
- ルーターを含むネットワークの一元提供で運用・保守の負荷を軽減
- ネットワーク構成のシンプル化でSC出店時のネットワーク構築をスピードアップ
- 計画中の北京、上海などの海外拠点との接続にも1通信キャリアで対応可能に
| 社名 | イオンモール株式会社 | |
|---|---|---|
| 本社 | 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1 | |
| 設立 | 1911年(明治44年)11月 | |
| 資本金 | 166億6,200万円 | |
| 従業員数 | 539名(2008年8月現在) | |
| SC数 | 50店舗(2008年12月現在) |


●取材協力:三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
イオンモールで稼働するネットワークおよびシステムの運用を担当。
急増するクレジットカード、電子マネー利用者にも
買物をさらに楽しんでもらうためには
止まらない電子決済のしくみが大前提になる

現在、日本全国に郊外型の大規模ショッピングセンター(SC)が相次いでオープンしている。ショッピング、コミュニティ、エンターテインメントの機能を複合した多目的型SCのオープンがニュースになることも珍しいことではない。このSCブームを牽引しているのが、SC総賃貸面積ベースで日本ナンバー1の商業専業デベロッパー イオンモール株式会社だ。同社は2007年に大都市近郊SCの開発を得意とする株式会社ダイヤモンドシティとの合併により事業を拡大。現在、1都2府24県で50拠点ものSCを運営している。
同社 管理本部 システム部 部長 安井淳氏は「イオンモールは“お客さま第一”を基本理念に、輝きのあるまちづくりに取り組んでいます。地域のお客さまに必要とされるSCづくりのために、私たちのもとに寄せられたお客さまの声は社長以下すべての社員がインプットします。こうしたご意見、ご要望にお応えしつつ、地方自治体などの都市計画に沿って街の活性化に向けたSCづくりを推進する。これが私たちの事業の基本スタンスです」と、地域、地域住民(顧客)に密着した商業専業デベロッパーとしての姿勢を語る。
2007年の合併により、さらに商圏を拡大したイオンモールでは、利用するネットワークに解決すべきいくつかの課題を抱えていた。
1つめは急増する電子決済への対応だった。
「全国50拠点のSCを訪れる来店者数は年間で約5億人。そのうち約1億人のお客さまがクレジットカードや電子マネーといった電子決済を利用されます。この電子決済で使うネットワークは事業継続に欠かせない生命線といえますが、現行のネットワーク構成では故障時の対策が不十分でした。絶対に電子決済を停止させない。あるいは停止のリスクを最小限にするネットワークへの見直しが急務だったのです」(安井氏)

電子決済のサービスがネットワークの故障で停止するとSCを訪れる顧客はもちろん、SCに出店するテナントにまで多大な迷惑がかかってしまう。商機の損失のみならず、企業の信用問題にも関わってくる。“お客さま第一”を掲げるイオンモールにとって絶対にあってはならないことだ。
そして2つめの課題。イオンモールでは2017年までに国内および海外に150拠点のSCを出店、総賃貸面積ベースで世界のトップ5入りをする“グローバル5”という目標を掲げている。この事業計画を達成するためには、計画通りのスムーズなSC出店を支える迅速なネットワーク構築が欠かせない。しかし既存のネットワーク構成では、その対応がきわめて困難だった。
安井氏はその理由を「合併後も旧体制のインフラを引き継いで使っていたため、非常にネットワーク構成が複雑化しており、これが迅速なネットワーク構築を妨げていました。ネットワーク構成をシンプル化することがクリアすべき課題でした」と解説する。
合併に伴いネットワークが複雑化
3つの通信キャリアが混在する煩雑な運用・保守業務の解消へ
従来、イオンモールでは2つの通信キャリアのネットワークを基幹系と情報系に分けて利用していた。そこに旧ダイヤモンドシティが利用していたネットワークが加わり、合併後は3つの通信キャリアが混在する複雑なネットワーク構成となったため、この通信キャリアおよびネットワークの統合が、運用・保守面においても命題になっていた。
イオンモールではネットワークを含むシステムの運用を三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社にアウトソーシングしている。同社 市川宜男氏は、従来のネットワーク構成について「対応窓口も3つの通信キャリアに分かれていたため、ネットワークに障害が起きてしまうと、原因の特定、復旧に手間や時間がかかっていました。システムを一括して運用・保守する上でもネットワーク構成のシンプル化は重要だったのです」と、運営サイドからの課題を挙げる。
経営サイドからの要望である電子決済に利用する基幹系ネットワークの冗長化、SC出店時の速やかなネットワーク構築。そして運営サイドからの要望である運用・保守にかかる業務の効率化、復旧対応の迅速化。これらの解決に向けイオンモールはネットワークの刷新に踏み切った。
「刷新するにあたり各通信キャリアにお願いした要件は、基幹系ネットワークは冗長化して信頼性を強化する。イントラネットで使う情報系ネットワークはブロードバンド回線を利用して容量を確保するという2点です。とりわけバックアップ構成の提案は通信キャリアおよびサービスを選択する上でもっとも重きを置きました」(市川氏)

既存の資産やノウハウを活かすことを考えた場合、これまで利用していた通信キャリアのいずれかを選ぶ方がスムーズかつ低コストに新ネットワークへ移行できる印象がある。しかし、イオンモールでは既存の通信キャリアから新たなパートナーを選ぶことにこだわらなかった。その理由を市川氏は「既存の通信キャリアでも、新規の通信キャリアでも切り替えにかかる手間やコストはあまり変わらなかったのです。それなら各社からのサービス提案の内容を重視したほうが良いという結論に達し、一番こちらからの要望に適っていたNTTコミュニケーションズのDual Active VPNを選びました」と説明する。
選定の決め手はどこにあったのだろうか。市川氏とともにイオンモールのネットワーク刷新を担当した飯塚和貴氏は、その理由を「Dual Active VPN」が持つパッケージサービスとしての完成度の高さだと説明する。「各社から提案のあったバックアップ構成と比べて優れていた点は、2つのVPNが平常時は基幹系と情報系のネットワークとして稼働、そして基幹系に故障があった際には自動的に情報系のネットワークに切り替わる。この無駄のない柔軟な構成をリーズナブルなパッケージサービスとして提供してくれる点がポイントでした」(飯塚氏)
さらに市川氏は「パッケージサービスとしてネットワークのみならず、マネージドルーターまでを運用・保守してもらえる点も大きな魅力でした。もちろんネットワークのプロとして安心して付き合えるかどうかも考慮した上で、信頼性、実績などから選んだ面もあります」と選定の理由を付け加える。
「Dual Active VPN」でネットワークの
信頼性の向上と運用・保守にかかる負荷の軽減を同時に実現
イオンモールにおける新ネットワークへの切り替えは2008年3月末から現地調査がスタート。SCのネットワーク切り替えは8月に、本社、オフィスなどの拠点も9月にはすべて切り替えが完了した。
市川氏、飯塚氏とともに、この切り替え作業に携わった加藤美彦氏は「60以上の拠点を半年で切り替えるのは大変な作業でした。SCは365日営業のため、作業は閉店後の夜間に限られます。緊密なスケジュールの中で誠実に対応してくれたNTTコミュニケーションズに感謝しています」と語る。
新しいネットワークの稼働後について安井氏は「回線に対する信頼性が高くなり、安心感がある印象です。障害の報告もほとんどありませんので、最近は枕を高くして眠れます」と、電子決済を止めずに運用できている点に満足している。
一方で運営サイドは「不意の故障時に基幹系がしっかりバックアップされるため、慌てずに対応できるようになりました。いまやネットワーク部分はNTTコミュニケーションズに安心してまかせている状態です。パートナーとして非常に良い関係ができていると感じています」(市川氏)
「稼働後にいくつかSCの開店があったのですが、ワンストップで手配できるので我々の負担が減りましたね。運営サイドとしては非常に助かっています」(飯塚氏)
今回のネットワーク切り替えに関して経営サイド、運営サイドの双方ともに満足しているようだ。
事業の生命線となる新たなネットワークの稼動と合わせて、イオンモールでは2017年の150SC体制に向けて動き始めている。安井氏は「目標を達成するために、海外へのSC展開を外すことはできません。ネットワークのグローバル対応も欠かせなくなります。通信キャリアとして確かな実績があることも高く評価しています」とNTTコミュニケーションズに大きな期待を寄せる。
市川氏は「海外の拠点を国内のネットワークに接続してシンプルに一体化するのが今後の課題です。その際にNTTコミュニケーションズなら、Dual Active VPNをベースにサービスが選択できる。つまり国内、海外まで1つの通信キャリアに一元的に運用・保守の対応をお願いできる点も強みです」と次なる展開を語る。
「Dual Active VPN」を基盤に、これからイオンモールの事業はさらにグローバルへと広がっていく。
ワンポイント解説
「Dual Active VPN」によるシンプルで信頼性の高いネットワーク構築を
今回紹介したイオンモールは、電子決済を行う基幹系のネットワークを冗長化して信頼性を向上するとともに、3つの通信キャリアが混在するネットワーク構成のシンプル化に取り組んだわけだが、ここで改めてNTTコミュニケーションズの「Dual Active VPN」が選ばれた理由を考察してみよう。
まずネットワークの信頼性を高める方法のひとつとして、2つのネットワーク利用による構成の冗長化がある。その際、平常時にネットワークAが機能し、ネットワークAの故障時のみネットワークBが機能する構成をアクト・スタンバイと呼ぶが、高い信頼性が得られる一方でネットワークBが休んでいる平常時にもコストが生じるデメリットがある。その点「Dual Active VPN」は平常時に基幹系と情報系という形で双方のネットワークが機能し、基幹系ネットワークの故障時に情報系ネットワークに切り替わるというアクト・アクト構成である。こうした高い信頼性を維持しながら、平常時にも無駄なくネットワークを利用できるコストパフォーマンスの高さが選ばれた第1の理由といえよう。
つぎにネットワークのシンプル化についてだが、3つの通信キャリアが混在する今回のようなケースはともかく、2つの通信キャリアによるネットワーク構成はリスク管理の観点から妥当とも考えられる。しかし、やや複雑な構成になるためコスト面、運用・保守面の負担が大きくなってしまうのが現実だ。同等の信頼性をシンプルなネットワーク構成で確保するために、1つの通信キャリアから2つのネットワークサービスを選んで利用する方法もあるが、この場合にも冗長化のために新たにネットワークを設計する必要がある。
その点、あらかじめ冗長化を想定したパッケージサービス「Dual Active VPN」なら、そうした設計がほとんど不要になるため導入時にかかる期間やコストが抑えられる。記事内にもあった“既存の通信キャリアでも、新規の通信キャリアでも切り替えにかかる手間やコストはあまり変わらない”というコメントは、パッケージサービスである「Dual Active VPN」ならではのメリットだ。ネットワークのシンプル化を簡単に実現できる。これが選ばれた第2の理由である。
さらに「Dual Active VPN」はマネージドルーターを含むネットワーク全般の運用・保守がワンストップで提供されるため、これまで運用・保守にかかっていた負荷を大幅に軽減できるようになる。しかもネットワークのプロであるNTTコミュニケーションズにアウトソーシングすることでネットワークの信頼性も向上できる。こうした運営面のメリットも、選ばれた理由であることは言うまでもないだろう。
シンプルで信頼性の高いネットワーク構築を、導入・運用・保守にかかるコスト、作業の負荷を抑えて実現するなら、「Dual Active VPN」がベストな選択のひとつであるのは間違いない。









