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笠原 歩 Ayumu Kasahara

フォワード・FL

笠原 歩

――ラグビーを始めた時期と、そのきっかけは?

高校時代からです。小さい頃に父親がラグビーをよくテレビ観戦していて、身体をぶつけ合うラグビーにはなんか格好いいイメージがあって、ずっと興味は持っていました。長野高校は、奥脇先生(奥脇教氏、元日本代表)がラグビー部顧問をやっていらして、先生に勧誘されてラグビーを始めました。

――その後、早稲田大学に進学した理由は?

高校3年生の時は県大会で1回戦敗退でしたが、卒業してもラグビーを続けたいと考えていました。自分の実績ではスポーツ推薦は難しかったので、それ以外でもラグビーができる環境があると薦めていただいて、一年浪人しましたが早稲田大学に入りました。

――全国でトップを争う大学で苦労も多かったと思いますが

ラグビーが好きなので、きつかったですが苦労という苦労はなかったです。早稲田のあの赤黒のジャージはAチームの、しかも公式戦でしか着られないもの。それを着るために皆がんばっていて、あのジャージを着るためだったら何でもするという意識でした。高校時代にたいした実績もなく、プレーも飛びぬけて上手くないし、身体も小さかったので、最初は下の方のグループでしかプレーできませんでしたが焦りはありませんでした。なぜなら、自分は4年かけて練習してレベルを上げて、最終学年で結果を出せばいいって考えていたからです。

――今までで一番悔しかった事は?

自分は出場していませんが、昨年(2006年度)の大学選手権の決勝です。早稲田は、負けが許されない大学だと思っています。4年生の最後の試合に負ける事は、自分達の4年間を証明できなかったのと同じ。ましてやその舞台に立てなかったですし、自分が練習してきた4年間を証明できなかった事が一番悔しかったです。

――NTTコミュニケーションズ ラグビー部入部の経緯は

自分は、大学4年生で優勝できなかった。その上、最後のチャンスである日本選手権でも初戦で敗退してしまった。4年間やってきて、負けて終わってしまって、こんな悔しい思いをするなら「荒ぶる」*1はいらないと。だけど考え直して、その煮え切らない思いを社会人でもう一回ぶつけようと思いました。その時にお話をいただいたのがNTTコミュニケーションズで、入部を決めました。大学の最後の試合に負けた事が逆にエネルギーとなって、今トップリーグ昇格に燃えています。大学を卒業したらラグビーを続けられない選手も多い中で、自分にはまだまだ存在を証明するチャンスがあると感謝しています。

*1 早稲田大学が日本一になった時にだけ歌う歌。

試合風景

――早稲田大学時代と比べて、NTTコミュニケーションズ ラグビー部はどうですか

周りからも社会人になると仕事もありラグビーだけに打ち込めないと聞いていましたが、その通り毎日練習できる環境ではありません。そういう意味では大学時代の方が練習時間やラグビーと向き合う時間は長かったと思います。僕は身体も小さいですし、練習量でカバーするタイプだと思っているので、練習量が少ないことは正直つらいし、もどかしいです。ですから全体練習の無い日はトレーニングジムに行くなどして、レギュラーを目指すのはもちろん、大学同期の連中にも絶対に負けないように自分を追い込んでいます。

社会人になって感じたのは、与えられた環境の中で漫然とプレーしていては、成長できないということです。自分が求めるレベルに達するためには、自分自身で目標を決めてやらない限り、トップレベルの選手にはなれない......入部当時は、環境や周りにベクトルが向いていましたが、それは言い訳だったのかもしれません。今は自分自身をとことん追い込んで、やるだけです。

――シーズンも始まりました。入部して率直な感想は?

レギュラーにもなっていない自分が言うのはおこがましいとは思いますが、このままではトップリーグに行けないかもしれないと危機感を感じています。強いチームは、試合だけではなく練習や練習のための準備にだって、量も質も厳しく取り組んでいるはずです。自分達は練習時間が他のチームと比べて短いので、もっともっと「ALL OUT」しなければ、そのハンディキャップを克服できないと思いますし、常に高い意識を持って練習にも試合にも取り組む必要があると感じています。

他のトップレベルのチームは豊富な練習量をこなしているため、結果を出さなければならないというプレッシャーがあるかもしれません。逆に自分達は練習量が少ないために、負けたらそれが言い訳になってしまう恐れがあります。だからこそ仕事をしながらラグビーをして、それを言い訳にせず逆にそれをプライドにして勝つ事がこのチームの魅力になりますし、最終的に昇格できれば会社に貢献できるのではと考えています。

試合風景02

――笠原選手が自分自身として見てもらいたいプレーは?

プレー面では、運動量、こぼれ球への反応、タックル、スウィープ*2、ジャッカル*3で、気持ちでは絶対に誰にも負けないところです。良い意味で相手チームから嫌われる選手になりたいと思っています。

*2 自チームがボールを保有しラックを作っている際に、相手選手を掃くように振り払うこと。

*3 タックルされた選手に対して、ディフェンス側の選手が立った状態でボールを奪いに行くこと。

――FLというポジションへのこだわりは

自分は器用な方ではないし、例えばパスがうまいわけでもない。FLは大学時代から始めましたが、自分のように小さな選手でもスピードやタックルで勝負出来るし、一番は気持ちで勝負出来るという部分が、自分には合っていると思います。 逆に言えば、FL以外では生き残れないと覚悟しています。

――最後に今シーズンの目標を教えてください。

目標は、まず試合に出る事です。試合に出なければ意味がないし、何を言っても説得力もないです。誤解を恐れずに言ってしまえば、もし自分が1試合も出場できないまま今年トップリーグに上がっても、個人的には嬉しいと思えないかもしれません。そのくらいの意気込みで今年にかけています。自分が試合に出てチームを昇格させて、そしてトップリーグで自分がどのくらい戦えるか挑戦したいですね。