I. 業績の概況

(1)市場環境および事業基盤の変化

日本の情報通信市場は、光アクセスを中心としたブロードバンド化、ユビキタス化が一層進展したことで、検索エンジンを核としたポータルサービスや映像配信サービス、並びにSNS(Social Networking Service)やブログなどの消費者発信型メディア(CGM:Consumer Generated Media)が浸透し、瞬時に情報収集や発信を行うフラットな社会へと変化しています。これに伴い、企業とお客さまとの接点も多様化するなど、ICT(Information and Communication Technology)の進展により個人のライフスタイルや企業のビジネスモデルは急速に変化しています。

同時に米国や欧州においてネット事業者を中心としたM&Aによる業界再編が進んでおり、世界的にも情報通信市場をめぐる競争環境は、日々変化しています。

(2)経営概況

当社は、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)グループの成長戦略である「事業ビジョン2010」における6つのコアバリュー事業領域「ソリューション」「ネットワークマネジメント」「セキュリティ」「グローバル」「ユビキタス」「ポータル/エンジン」の連携強化を図り、以下の事業展開を実施しました。

法人ビジネス事業の強化に向けた取り組みとしては、「ICT Solution Partner」のブランドメッセージの下、本年の4月に業種・業態別を基本とした新たな法人サービス提供体制への再編を行うとともにSE機能の強化を図り、お客さまの業種・業態にあったコンサルティング営業を推進し、付加価値の高いソリューションの提供に努めました。また、商品力の強化においても、従来の拠点単位でのVPN接続からグループ/端末単位での接続が可能となる「マルチポリシーVPN for OCN」の提供や、高品質・高信頼の新世代専用線「ギガストリーム」における日本初の40Gbpsのサービス提供などを実現しました。

グローバル事業の強化に向けた取り組みとしては、通信事業者としては中国で初めて高品質かつ信頼性の高い設備と運用レベルをもつプレミアムデータセンターの提供を上海で開始するとともに、グレーターチャイナ地域(中国本土および香港、台湾を含めた地域)における第8番目の拠点を天津に開設し、ワンストップでのサービス提供体制の充実化を図りました。また、日系キャリアとしては初めて中近東地域での国際IP-VPNサービス(MPLSタイプ)をアラブ首長国連合(UAE)で開始するなど提供地域の拡大に努めました。さらに、英国Telemark社の調査においては、当社の国際データ通信サービスが、顧客満足度調査で部門別最優秀賞を獲得しました。

ネットビジネス事業の強化に向けた取り組みとしては、「“CreativE-Life” for Everyone」ブランドメッセージの下、光アクセスサービス対応メニューである「OCN光 with フレッツ」などの販売拡大に努めるとともに、平成19年度9月末現在で657万会員を突破したOCN会員向けに、ウィルスメールや迷惑メールの対策強化、並びに自分専用のJPドメインを使用したメールアドレスが手軽に利用できる「マイアドレスプラス」の提供などを開始しました。また、映像配信の一体的運営の取り組みの一環として、これまで「4thMEDIA」にて提供していた高画質「多チャンネル放送サービス」を、新たに「OCNシアター」でも提供しサービスの充実を図りました。次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)の取り組みについては、本年5月に「地上デジタル放送IP再送信」、「ハイビジョン映像配信サービス」において、一般モニタへ試験提供し、使用感並びに映像品質やサービス性の確認・評価を実施し、実用化に向け取り組みました。

(3)経営成績

上記の経営概況の結果、ソリューション収入の大幅な拡大などに伴い増収増益となりました。

収益については、ソリューション収入が前年実績に対し大幅に伸びたほか、OCNや広域イーサネット、IP-VPN関連などのIP系サービス収入も順調に拡大しました。その結果、音声伝送収入および専用・パケット交換などのデータ通信収入の減はあるものの、営業収益は対前年同期比で147億円(+2.7%)増の5,621億円となりました。

また、費用面では、ソリューション収入増に伴う収益連動費用の増があるものの、引き続き事業全般にわたるコストコントロールに努めた結果、営業費用は対前年同期比▲166億円(▲3.2%)減の4,989億円となりました。

以上により、営業利益は、対前年同期比314億円(+98.5%)の増となる632億円、経常利益は、対前年同期比358億円(+99.3%)の増となる719億円をあげることができました。

営業成果の主な項目について、その概要は以下の通りです。

(ア) ソリューション収入は、中期経営戦略に基づいて昨年8月に実施したNTT東日本・西日本からの法人営業部門移管や、本年4月の業種・業界別法人営業体制の再編により、お客さまの業種・業態にあったコンサルティング営業を推進する付加価値の高いソリューション提案体制が整ったこと、企業のIT投資の拡大や大口案件が早期に収益化したことなどにより、対前年同期比214億円(+36.1%)増の807億円となりました。
(イ) IP系サービス収入については、広域イーサネットやIP-VPN関連、並びに平成19年度9月末現在で657万を超えたOCNの契約数の増などに伴う収入の伸びにより、対前年同期比63億円(+4.0%)増の1,638億円を計上しました。
(ウ) 音声伝送収入は、「プラチナ・ライン」の積極的な販売や「フリーダイヤル」を含めた多彩なパッケージ・ソリューションの提案などにより、収入の維持に努めたものの、加入電話の減少、携帯電話へのトラフィック流出やメールの普及などによる市場縮小に伴うダイヤル通話料収入の減少などにより、対前年同期比▲49億円(▲2.1%)減の2,276億円となりました。
(エ) データ通信(IP系除き)収入は、イーサネットインターフェースを中心とする「ギガストリーム」などの販売に努めたものの、専用サービスから広域イーサネット、IP-VPN関連などのIP系サービスへのマイグレーションにより、対前年同期比▲55億円(▲6.9%)減の755億円となりました。

また、営業費用は、ソリューション収入増に伴う収益連動費用の増はあるものの、業務プロセスやバリューチェーンの見直し、並びに調達業務の一元化などによる経費の削減、さらに全社をあげて、設備投資の効率化など事業全般にわたるコストコントロールに取り組んだ結果、対前年同期比▲166億円(▲3.2%)減の4,989億円となりました。

これにより、営業利益は、対前年同期比314億円(+98.5%)の増となる632億円をあげることができ、特別利益として厚生年金基金代行返上益120億円を計上するとともに、特別損失として、NTT Americaなどの株式評価損、および新たに設定したポイントサービス引当金として96億円を計上したことにより、中間純利益は対前年同期比215億円増の395億円となりました。

(4)今後の取り組み

当社は、NTT Comグループの成長戦略である「事業ビジョン2010」における6つのコアバリュー事業領域の連携強化を引き続き図ることで、経営基盤を強化し、以下の事業を展開していきます。

法人ビジネス事業については、「ICT Solution Partner」として、お客さまの業種・業態にあった現場力を重視した経営課題解決型のコンサルティング営業を強化し、付加価値の高いシステムインテグレーションやネットワークインテグレーションなどのICTソリューションの提供に努めます。具体的には、法人向けFMCソリューションなど最先端のICTソリューションをワンストップで提供し、お客さまが満足できるサービスを提供することにより事業拡大を目指します。また、高品質で先進的なサービスの開発に引き続き取り組んでいきます。

グローバル事業については、日系および外資系企業のお客さまにおけるグローバルなビジネス展開に応えるため、サービス提供エリアを拡大するとともに、ネットワーク、データセンター、ホスティング、セキュリティサービスなどトータルなICTソリューションをワンストップで提供できるようインフラ整備やサービス推進体制の強化に、引き続き取り組んでいきます。

具体的には、従来の通信サービスに加え、グローバルデータセンターサービスなど、より付加価値の高い事業展開をさらに進めていきます。

ネットビジネス事業については、「“CreativE-Life” for Everyone」のブランドメッセージの下、これまで「goo」とOCNのID連携や、個人と企業をマッチングするアフィリエイトサービス「“My”アフィリエイト」の提供、本年10月から新たなSNSサービスとして「gooホーム」を提供するなど、多様化するお客さまの要望に応え、より一層ネットライフを楽しんでいただけるよう取り組んできています。今後も引き続き先進的なサービスの開発や個人と企業のお客さまを仲立ちする“BtoBtoC型”のビジネスモデルの構築を目指し、取組みを進めていきます。