I.業績の概況

    (1)当社を取り巻く環境
     日本の情報通信市場においては、IP化、ブロードバンド化、モバイル化の進展に伴い、固定と携帯、通信と放送などさまざまな企業やサービスの融合・淘汰が進行し、環境がめまぐるしく変化しています。
     検索エンジンを核としたポータルサービスや映像配信サービスが世界的に拡大するとともに、SNS(Social Networking Service)やブログなど個人による情報発信を支援するサービスの利用者が急増し、ICT(Information and Communication Technology)が個人のライフスタイルや企業のビジネスモデルに大きな変化をもたらしています。
     また個人情報保護法や日本版SOX法などのコンプライアンス対応、株主や取引先などに対する企業の社会的責任(CSR)の重要性が増し、企業のリスク対策への要請はますます高まっています。
     さらに米国における通信事業者・ネット事業者を中心としたM&Aによる業界再編、欧州における通信キャリアの国境をまたがる合従連衡など、情報通信市場をとりまく競争環境は日々変化しています。


    (2)当期の営業方針
     当社は、このような経営環境の激しい変化を踏まえ、2006年度をNTTコミュニケーションズ(NTT Com)グループの「第二の創業期」と位置づけ、トータルなICTソリューションをグローバルにかつワンストップで提供することにより、新たなライフスタイルやビジネスモデルを創造するとともにお客さまの経営課題の解決や高度化するお客さまニーズに対応した事業展開をしてきました。
     また2006年11月には、お客さまに満足・信頼していただける企業を目指して、NTT Comグループの新たな成長戦略である「事業ビジョン2010」を策定しました。この「事業ビジョン2010」は、「第二の創業期」としての改革への取り組みを継承し、お客さまと共に歩み、お客さまに新たな価値を創造・提供し続けて、「現在と未来を“つなぐ”パートナーとして、豊かな社会と安心で快適な生活の実現に貢献し、世の中のお客さまに信頼される企業を目指す」ことをミッションとしています。
     上記ミッションのもとNTT Comグループでは、従来の5つのコアバリューである「ソリューション」、「ネットワークマネジメント」、「セキュリティ」、「グローバル」、「ユビキタス」に加え、新たに6つ目のバリューとして「ポータル/エンジン」を追加し、当社の事業の「成長のエンジン」と位置付けました。

     これら6つのコアバリューを軸に、法人ビジネスの分野では「ICTソリューションパートナー」をブランドメッセージとしてお客さまの経営課題に対し、コンサルティング型ソリューションを中心に取り組みました。

     またネットビジネスの分野では、「"CreativE-Life" for Everyone」をブランドメッセージとして、NTTレゾナント社の「goo」のポータル事業をNTTグループのネットビジネスの中核と位置付け、OCN、ぷららなどのISP事業、050IP電話、映像配信など総合的なネットサービスを展開しました。

     さらに、お客さまやマーケットを第一に考えた経営とサービス提供を念頭に、「現場力」、「人間力」そして活力ある「企業力」へ向けて、法人営業力の強化、デリバリー・保守品質の向上、人事評価制度の見直しなど、種々の改革に取り組むとともに、成長分野での一層の収入増大と収益の構造転換を推し進めました。


    (3)当期の営業成果
     上記の営業方針で事業を展開し、当期はソリューション収入の拡大などに伴い増収増益となりました。

     収益については、音声伝送収入および専用線・パケット交換などのデータ通信関連収益の減少が続いているものの、広域LANサービス、OCNサービスなどのIP系サービス収入、ならびにソリューション関連収入が引き続き伸びを示しています。これらにより営業収益は、対前年同期比で176億円(1.6%増)の増となり、1兆1,454億円となりました。

     また、費用面では、法人営業体制の見直し、およびソリューション収入増に伴う費用の増加があるものの、事業全般にわたるコスト削減を図り、営業費用は対前年同期比で78億円(0.7%増)の増にとどめ、1兆 681億円となりました。

     以上により、経常利益は、対前期同期比59億円(8.3%増)の増となる778億円をあげることができました。

     営業成果の主な項目について、その概要は以下の通りです。

    (ア)  音声伝送収入(IP系除く)は、市場縮小などにともなうダイヤル通話料収入の減少などにより、厳しい市場環境のなか、「プラチナ・ライン」などの提供やフリーダイヤルを中心とした多彩なラインナップの提案により収入の維持・増加に努めました。また、国際電話については「世界割 with プラチナ・ライン」の提供など積極的な営業活動によるシェアの向上に努めました。
     この結果、音声伝送サービス(IP系除く)における営業収益は4,629億円(前期比▲98億円 2.1%減)となりました。

    (イ)  IP系収入は順調に伸び、広域LANサービスや、2007年3月末現在で約609万契約となるOCN収入の伸びなどにより、収入が増加しました。
     この結果、IP系サービスにおける営業収益は3,197億円(前期比+159億円 5.2%増)となりました。

    (ウ)  データ通信収入(IP系除く)は、お客さま企業におけるネットワークの統廃合、およびIP系サービスへのマイグレーションにより減少していますが、シンプルかつ信頼性の高いサービスの提供を通じ収入維持に努めました。
     この結果、データ通信サービス(IP系除く)における営業収益は、1,609億円(前期比▲159億円 9.0%減)となりました。

    (エ)  ソリューション収入は、法人サービス提供体制の強化に伴いSI収入が増加したことに加えて、定額保守サービス、データセンター関連サービスが順調に伸びた結果、収入が増加しました。
     この結果、ソリューションサービスにおける営業収益は、1,658億円(前期比+267億円 19.2%増)となりました。

    (オ)  その他収入は、主に設備賃貸や商品販売代行などによるもので、これによる営業収益は、360億円(前期比+7億円 2.2%増)となりました。

     また費用について、法人サービス提供体制の強化に伴う人件費および物件費の増加、ソリューション収入連動費用の増加があるものの、プロセス改善などによる生産性の向上、事業全般にわたるコスト削減を図り、徹底したコストコントロールを行った結果、物件費を前年並みにとどめるなど、営業費用トータルとしても、10,681億円(対前期比+78億円 0.7%増)となりました。

     以上の営業活動の結果、当期の営業収益は1兆1,454億円(前期比+176億円  1.6%増)、経常利益は778億円(前期比+59億円 8.3%増)となりましたが、これに、NTT Investment Singapore Pte. Ltd.清算分配益57億円と固定資産売却益56億円を特別利益として113億円計上し、NTT America, Inc.株式評価損199億円などを特別損失として284億円を計上したことにより、当期純利益は303億円(前期比▲10億円 3.5%減)となりました。



    (4)次期の取り組み
     「事業ビジョン2010」の達成に向けた1年目である2007年度は、収益においてIP・ソリューション系の成長分野事業の更なる拡大を見込んでおり、成長分野の流れを一層加速するため、新たな成長戦略を具体化し、経営基盤を固める年となります。

     第一に法人ビジネス事業については、この4月より法人事業本部を業種・業界別の5営業本部体制に再編すると共にSE機能強化を図り、さらにはシステムエンジニアリング系グループ会社の一体的事業運営体制を構築しました。これによりお客さまに信頼いただけるパートナーとして、「ICTソリューション」をワンストップで効率的に提供できるようになりました。
     お客さまの業種業態にあったコンサルティング営業を推進し、付加価値の高いソリューションを提供することで、お客さまがICT関連業務を安心してお任せいただける真のパートナーを目指します。また、新規顧客の開拓に取り組み、事業領域の拡大にもチャレンジします。

     第二にグローバル事業については、昨年12月にドバイ、本年4月に東欧ワルシャワへ駐在事務所を開設し、海外拠点は21カ国に展開することとなりました。また、3月には日露海底ケーブルの年内敷設合意に至るなど海外展開を加速させています。企業向けデータ通信サービスを強化するとともに、ICTマネジメントなどを組み合せて、高付加価値サービスをグローバルワンストップでの提供に取り組んでいきます。

     第三にネットビジネスにおいては、2006年度はNTTグループ内のネットビジネス事業会社を当社に集約し、サービス提供体制の充実に取り組んできました。2007年度は、既に600万会員を突破したOCNに、ぷらら、およびNTTレゾナント「goo」を加えた豊富な顧客基盤を背景に、そのシナジーを活かし、事業の一層の効率化を進めます。またNTTグループの光3,000万の牽引役として、先進的なサービスを開発・提供し、安全で安心なインターネットライフを創造していきます。

     一方、事業の足元を支えるバリューチェーンの見直しや保守・オペレーション品質の向上に引き続き全社を挙げて取り組み、事業の効率化を進めるとともに、お客さまに満足頂けるサービスを提供します。

 

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