I.業績の概況

    (1)当社を取り巻く環境
     世界の情報通信市場は、技術革新、経済のグローバル化などにより厳しい競争が続いており、固定通信と無線通信、通信と放送、インターネット接続・IP電話・映像サービスを一体的に提供するトリプルプレイなどのさまざまな領域においてサービスの連携が急速に進展しています。さらに、通信のIP化が一段と加速し、固定電話、専用線、およびフレームリレーなどの従来型サービスからIP電話、およびIP-VPNなどのIP系サービスへ移行が進んでいます。
     また、米国における大規模な通信業界再編や中国・インドなどアジア地域を中心とした多国籍企業のお客さまのニーズ拡大など、市場環境、競争環境が急速に変化しています。
     当社は、こうした経営環境の変化を事業機会ととらえ、トータルなICT(Information and Communication Technology)ソリューションをワンストップで提供し、新たなビジネスモデルを創造することで、より高度化するお客さまのニーズに対応した事業展開をしています。


    (2)当期の営業方針
     このような事業環境のなか、当社は、事業ビジョンである“グローバルIPソリューションカンパニー”のもと、成長分野である「ソリューション」、「ネットワークマネジメント」、「セキュリティ」、「グローバル」の4つのコアバリューに「ユビキタス」を追加し、ユビキタス社会の実現に向けた事業展開をさらに推進しました。
     また、お客さまの視点やマーケットの変化に即応する体制を強化するためさまざまな変革の取り組みを推進し、全社プロジェクトによるバリューチェーンや業務プロセスの改革など、従来の事業運営の仕組みを徹底的に見直すとともに、「現場力」、「人間力」を育成する人事研修制度への転換を実現すべく取り組んできました。
     このようなお客さまやマーケットを第一と考えた経営とサービスの提供を通じて、成長分野での一層の収入増大を図るとともに収益の構造転換を推し進めてきました。


    (3)当期の営業成果
     上記の営業方針のもと事業を展開した結果、データ通信サービス(IP系除く)の収入は、厳しい競争と、より低廉なIP系サービスへの移行により、減少傾向にありますが、音声伝送サービス(IP系除く)、IP系サービス、およびソリューションサービスの収入は堅調な伸びを示しています。具体的には、成長分野である5つのコアビジネスにおいて以下の事業展開に取り組みました。

    グローバルサービスでは、競争力・収益力強化を目的として、新たにグローバル事業本部を設置するとともに、欧州・米国・アジアの現地法人を3極連携体制にまとめました。さらに、インドに現地法人を設立し、企業ニーズへの即応体制を整えました。また、国際メディア会社Terrapinn社が主催する"World Communication Awards 2005"において、お客さまサポートが評価され、"Best Customer Care"賞を受賞しました。

    ソリューションサービスでは、企業のお客さまに、提案からオペレーションまでワンストップで対応し、TCO(Total Cost of Ownership)削減や生産性の向上を支援するソリューションを提供しました。個人のお客さま向けには、セキュリティ対策サービスの強化や次世代IPサービス「OCN IPv6」など、さらなるラインナップの充実を図りました。

    ネットワークマネジメントサービスでは、複雑化するネットワークやITリソースをシームレス、セキュア、シンプル化するワンストップマネジメント(「マネジメントアウトソーシング」など)を提供し、顧客バリューの向上を実現しました。

    ユビキタスサービスでは、携帯端末から企業内システムへのセキュアなアクセスを可能にする「スマートBizキット」など、固定通信と無線通信を連携し、付加価値を生み出すソリューションを提供しました。

    セキュリティサービスでは、企業のICT基盤全般のセキュリティ運用サービスや、入退室からPC管理まで提供するICカードソリューション、持出しPC対策など総合的なセキュリティソリューションを提供しました。

     なお、個人情報保護法の施行を受け、全社員研修の実施、パソコン持出し禁止の徹底、委託業者への審査実施など、セキュリティ対策をサービス提供上の最重点課題として取り組みました。コンプライアンスについても、法令遵守はもとより高い倫理観を持った事業運営が不可欠と考え、推進責任者などの配置、役員ならびに全社員研修の実施など積極的に取り組んできました。また、CSRについては、さらなる活動の強化のためCSR委員会を発足させるとともに初めてのCSR報告書を発行しました。

     営業成果の主な項目について、その概要は以下のとおりです。

    (ア)  音声伝送収入(IP系除く)は、厳しい市場環境のなか、「プラチナ・ライン」などの提供やフリーダイヤルを中心とした多彩なラインナップの提案により収入の維持・増加に努めました。
     この結果、音声伝送サービス(IP系除く)における営業収益は4,727億円(前期比+321億円 7.3%増)となりました。

    (イ)  IP系収入は順調に伸び、特にOCNについては「OCN 光 with フレッツ」などの積極的な販売により、2006年3月末現在で約529万契約となりました。また、4種のVPNサービスを適宜組み合わせることができる「統合VPN」の積極展開により収入の増加に寄与しました。
     この結果、IP系サービスにおける営業収益は3,038億円(前期比+255億円 9.2%増)となりました。

    (ウ)  データ通信収入(IP系除く)は、IP-VPNなどへの移行により減少していますが、シンプルかつ信頼性の高いサービスの提供を通じ収入維持に努めました。
     この結果、データ通信サービス(IP系除く)における営業収益は、1,769億円(前期比▲358億円 16.8%減)となりました。

    (エ)  ソリューション収入は、データセンターやセキュリティサービス、マネジドサービス(監視・運用サービス)など、トータルソリューションを提供することにより収入の増加に努めました。
     この結果、ソリューションサービスにおける営業収益は、1,390億円(前期比+132億円 10.5%増)となりました。

    (オ)  その他収入は、主に設備賃貸や商品販売代行などによるもので、これによる営業収益は、352億円(前期比+27億円 8.5%増)となりました。

     以上の営業活動の結果、当期の営業収益は1兆1,278億円(前期比+378億円 3.5%増)、経常利益は718億円(前期比+38億円 5.7%増)となりましたが、Philippine Long Distance Telephone Companyの株式売却益437億円、NTT Investment Singapore Pte Ltd.の中間分配益223億円など690億円を特別利益に計上し、ジェイサット(株)の株式評価損115億円、NTT USA Inc.の株式評価損191億円、NTT EUROPE LTD.の株式評価損101億円など461億円を特別損失に計上したことにより、当期純利益は314億円(前期比+68億円 27.8%増)となりました。

     当社は、マーケットインの視点からグローバルセキュリティソリューション、法人向けモバイルソリューションなど成長分野の5つのコアバリューの取り組みをさらに強化することで、ICTソリューションパートナーとしてお客さまにサービスをワンストップで提供し、新たなビジネスモデルの構築や経営課題の解決に寄与していきたいと考えています。

 

戻る