I.業績の概況

    (1)当社を取り巻く環境
     世界の情報通信市場は、企業の合併や再編成が進行するなど厳しい競争環境にあります。その一方で、技術革新、経済のグローバル化に伴い、中国やインドなどアジア地域を中心に多国籍企業の活動が拡大するにつれ、ネットワークを含めたICT(Information Communication Technology)のグローバルシームレス化などお客さまの要望も多様化しています。
     日本の情報通信市場においても、ドライカッパーを利用した直収電話サービスや、光ファイバを利用したIP電話サービスなどにより新たな競争が生まれている一方で、音声とIPの統合(IPコンバージェンス)へのニーズや、個人情報保護法の施行に向けた企業内情報セキュリティニーズなど、お客さまの要望はますます複雑化しており、事業者は競争力を磨くと同時に、新しい成長の芽を見出し集中的に注力することが必要になっています。
     当社は、こうした経営環境を事業機会ととらえ、“グローバルIPソリューションカンパニー”という事業ビジョンのもと、「ソリューション」、「ネットワークマネジメント」、「セキュリティ」、「グローバル」の4つのコアビジネスを柱として、ネットワークの信頼性、セキュリティの確保、IT資産の管理、国内外を問わないアクセス環境などを組み合わせた総合的なサービス提供を目指した事業展開を行っています。


    (2)当期の営業方針
     当期においては、お客さまニーズの多様化に対応した新しい事業モデルを推進し、お客さまの抱える課題にワンストップでお答えし、お客さまに20%の新しい価値を生み20%の業務効率化やコスト削減を行う“20・20(トウェンティ・トウェンティ)”を実現するための推奨ビジネスモデルの水平展開に取り組みました。特に、お客さまニーズが高まっているセキュリティについてはサービスの多様化に積極的に取り組みました。
     推奨ビジネスモデルの水平展開にあたっては、成長分野に経営資源を集中させるとともに、フロント、デリバリ、カスタマサービス、プロダクト開発といった一連の組織整備や業務プロセスの改善、各種コストの徹底的な削減など、さまざまなマネジメント改善施策を積極的に推進しました。


    (3)当期の営業成果
     上記の営業方針のもと事業を展開した結果、音声伝送サービス(IP系除く)とデータ通信サービス(IP系除く)の収入は、厳しい競争とより低廉なIP系サービスへの移行により減少傾向にありますが、“グローバルIPソリューションカンパニー”の実現に向けた取り組みにより、IP系サービスとソリューションサービスの収入は堅調な伸びを示しています。具体的には、成長分野である4つのコアビジネスにおいて以下の事業展開に取り組みました。

     グローバルサービスでは、多国籍企業に提供している国際IP-VPNサービスや世界でのサービスカバレッジなどが評価され、国際メディア会社Terrapinn社が主催する全世界のキャリアやベンダーを対象にした“World Communication Awards 2004”において、最高位に相当する“Best Global Carrier”賞をアジア系キャリアとして初めて受賞しました。また、インド事務所を開設し、国際IP-VPNサービスを日本の通信事業者として初めて提供するとともに、グローバル企業のビジネス展開が活発化する中国において顕在化する高付加価値ソリューションニーズにお応えするためNTT Communications China社を設立しました。また、米国Verio(ヴェリオ)社については、NTT America,Inc.との協業、連携の強化により、着実に財務改善の方向に向かっています。

     ソリューションサービスでは、企業のITアウトソーシングニーズに対応するために、ネットワークからホスティング、アプリケーション、サーバ、セキュリティまでのマネージメントアウトソーシングサービスを展開し、業務効率化やコスト削減(Total Cost of Ownership)などを支援し、顧客バリューの向上を図ってきました。また、日本で初めてFOMA-パソコン間の映像接続を可能とした「ドットフォンビジネスV」を提供し、ビジネス向け映像コミュニケーションの新たな利用シーンを創出しました。個人のお客さま向けには、「CoDen(個電)」コンセプトに基づき、音声、インターネット、映像配信のいわゆる“トリプルプレイ”を実現する「CoDen光」サービス、音楽配信サービス「OCN MUSIC STORE」、光アクセスでの映像配信サービス「OCN Theater」を開始するなど、ブロードバンド環境下での新しいパーソナルソリューションの創造に取り組みました。

     ネットワークマネジメントサービスでは、運用プロセスやITインフラ管理、セキュリティ機能を組み合わせた高付加価値なホスティングサービス「AGILIT(アジリット)」の提供や、さまざまなVPNサービスを適材適所に組み合わせ、さらにルータからデスクトップまでの保守・監視サービスまで一元的に提供するなど、企業のお客さまの多様化するニーズにお応えしました。

     セキュリティサービスでは、企業のセキュリティ管理の現状をモニター、チェック、問題点をレポートする「セキュリティ検針サービス」、また、特に金融機関に向けたセキュリティICカードの提供などにより、個人情報保護法の施行に向けた企業のセキュリティニーズにお応えしました。また、セキュリティをサービス品質の重要な属性ととらえ、職場単位の「セキュリティカイゼン活動」に取り組み、業務の改善を通じて企業の体質強化に努めました。

     具体的な営業成果の概要については、以下のとおりです。

    (ア) 音声伝送収入(IP系除く)は、固定電話市場の縮小、ドライカッパーを利用した他社の直収電話サービスの提供開始やIP電話の普及による競争激化の影響などにより減少傾向にありますが、国内電話については、市内・市外・国際・携帯通話を画期的料金で利用できる「PL@TINUM LINE(プラチナ・ライン)」の提供開始などにより、収入の維持に努めました。また、国際電話については、プリペイドカードの拡販や積極的な営業活動などによるシェアの向上を通じた収入の増加に努めました。
     この結果、音声伝送サービス(IP系除く)における営業収益は4,406億円(前期比▲267億円 5.7%減)となりました。

    (イ) IP系収入は、IP系サービスへのお客さまの強いニーズを背景に順調に伸びています。OCNについては、ADSLアクセスの高速化、光アクセスの拡大などサービスの充実を図ることにより、2005年3月末現在で約464万加入となりました。
     この結果、IP系サービスにおける営業収益は2,783億円(前期比+545億円 24.4%増)となりました。

    (ウ) データ通信収入(IP系除く)は、より低廉なIP-VPNやインターネットを利用したVPNサービスなどに移行する傾向にあることから減少していますが、品質や信頼性、セキュリティを重要視するお客さまのニーズにお応えするために、新たに「ギガストリーム」サービスとして、シンプルかつ信頼性の高いサービスを提供し、収入の維持に努めました。
     この結果、データ通信サービス(IP系除く)における営業収益は、2,127億円(前期比▲542億円 20.3%減)となりました。

    (エ) ソリューション収入は、データセンターやセキュリティサービス、マネジドサービス(監視・運用サービス)など、お客さまの設備やシステムに対してトータルソリューションを提供する高付加価値サービスを積極的に展開し、収入の増加に努めました。
     この結果、ソリューションサービスにおける営業収益は、1,258億円(前期比+86億円 7.4%増)となりました。

    (オ) その他収入は、主に設備賃貸や商品販売代行などによるもので、これによる営業収益は、325億円(前期比+13億円 4.2%増)となりました。

     以上の営業活動の結果、電話・専用線サービスなど既存サービスの収入が減少する中で、新たなサービスの販売強化に努めたことにより、当期の営業収益は微減の1兆900億円(前期比▲165億円 1.5%減)にとどめることができました。しかしながら経常利益については、引き続き徹底したコスト削減に取り組んできたものの、ドライカッパーを利用した直収電話サービスによる新たな競争の発生などの市場の大きな変化の影響を受け、450億円減の679億円(前期比39.9%減)となりました。また、株式会社アッカ・ネットワークスの株式売却益40億円を特別利益に計上し、NTT USA,Inc.など関係会社株式の評価損250億円を特別損失に計上したことにより、当期純利益は246億円(前期比+4億円 1.8%増)となりました。
     なお、電気通信事業会計規則の改正に伴い、当期から収益の内訳区分を変更しております。

     当社は、“グローバルIPソリューションカンパニー”の実現に向けて、成長分野である4つのコアバリューにおける取り組みを強化し、多様化・複雑化するお客さまニーズに対応していくことを目指していきます。

 

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