I.業績の概況

    (1)当社を取り巻く環境
     技術革新と経済活動のグローバル化は、ますますダイナミックに進展しています。日本では、ブロードバンド利用者が拡大し、その料金は今や世界最安値と言われる水準に至るなど、市場環境は急激に変化しています。
     このような市場環境の変化は、ICT (Information Communication Technology)を生活やビジネスに急速に密着させることとなり、お客さまのニーズはより一層総合化、複雑化してきています。
     ICT会社は、このような総合化、複雑化するお客さまのニーズに対応するよう事業モデルの変革を迫られており、業界全体が「ソリューション」「マネジドサービス」を目指し、お客さま志向の付加価値サービスの提供に注力していると言えます。
     当社では、昨年3月、いわば「通信会社としての新しいビジネスモデル宣言」として、“グローバルIPソリューションカンパニー”という新しい事業ビジョンを定めましたが、各社が類似した事業戦略で追走してくる中で、多様なお客さまニーズに応えられる統合的なサービスを、いかに他社に先んじて提供できるかが重要となっています。

    (2)当期の営業方針
     当社では、このような事業環境の下、“グローバルIPソリューションカンパニー”という事業ビジョンを実現するために、以下の4つをコアバリューとして、今まで培ってきた通信インフラの上に、お客さまのさまざまなニーズに応えていくサービスを展開していくこととしました。
    お客さまにとっての価値・効能を提供する「ソリューション」サービス
    多様なネットワーク、ITリソースをワンストップでマネジメントする「ネットワークマネジメント」サービス
    人、プロセス、テクノロジーの三位一体でお客さまの信頼の基盤を提供する「セキュリティ」サービス
    お客さまの国際的なビジネス活動を支える国内外シームレスな「グローバル」サービス

     さらに、営業フロントの充実・強化、業務プロセスの改善、各種コストの徹底的な削減など、様々なマネジメント改善施策を積極的に推進しました。

    (3)当期の営業成果
     上記の営業方針の下、新たに掲げた事業ビジョン“グローバルIPソリューションカンパニー”の実現へ向け事業の展開に取り組み、新たな成長分野である4つのコアバリューにおいて大幅な収益拡大を実現しました。

     グローバルサービスについては、米国、欧州、アジアなどに幅広く展開するIPネットワークを活用した信頼性の高いIP系サービスの展開も積極的に進めてきました。また、アジアにおける業績改善、さらには米国Verio(ヴェリオ)社のEBITDAの黒字化を達成し、国際事業全体でも大幅な収支改善を成し遂げました。

     ソリューションサービスでは、SI、データセンター、セキュリティ、プラットフォームといった各々の分野でビジネスを拡大し、お客さまのITシステムのオープン化・IPマイグレーションなどによる経営効率化やTCO(Total Cost of Ownership)の削減支援を提案してきました。また、広域イーサネットサービスを日本で初めて提供した更生会社(株)クロスウェイブ コミュニケーションズからの営業譲渡を受け、法人向けブロードバンドサービスにおいて、その地位をより強固なものとしました。一方、個人のお客さま向けにも「CoDen(個電)」のサービス展開強化により、パーソナルソリューションサービスの充実を行いました。

     ネットワークマネジメントサービスでは、家電メーカーをはじめとした14社と「ユビキタス・オープン・プラットフォーム・フォーラム」の設立や、TD-CDMA方式によるブロードバンドワイヤレスサービスの実験を開始するなどユビキタス環境の実現に向けた各種取り組みを展開しました。

     セキュリティサービスでは、社外の有識者からなるセキュリティアドバイザリーボードを設置し、セキュリティオペレーションセンターの本格運用を開始するなど当社提供サービスのセキュリティ面からの品質向上に努めるとともに、ICカードソリューションの展開などのセキュリティを通じた新たなビジネスの創出・拡大にも取り組みました。

     具体的な営業成果などの概要については、以下のとおりです。


    (ア)音声伝送収入は、固定電話市場の縮小が進む中、国内電話については、IP系サービスとのバンドル、モバイル向けサービスの機能強化・値下げなどによる新たなトラフィックの取り込みを通じた収入の維持に努めました。また、国際電話については、活発な営業活動および通話料金値下げなどによるシェアの向上を通じ増収に努め、全体として利益の確保に取り組みました。
     以上の結果、音声伝送サービスにおける営業収益は4,826億円(前期比321億円6.2%減)となりました。

    (イ)データ伝送収入は、IP系サービスへの強いニーズを背景に、OCNについては、メニューの充実およびIP電話の標準セット化により、個人のお客さまから法人のお客さまに至るまで幅広い支持を受け、2003年11月をもって400万契約を突破するなど順調にブロードバンド会員数およびシェアを拡大してきました。 IP-VPNサービスなど企業向けのデータ伝送サービスについては、アクセスメニューを充実したほか、IP電話サービスの拡大や新たな料金プランの提供などを開始しました。
     以上の結果、データ伝送サービスにおける営業収益は3,091億円(前期比96億円3.2%増)となり、このうちOCNサービスの営業収益は1,239億円(前期比65億円5.6%増、3月末現在約412万加入)となりました。

    (ウ)専用収入・その他の収入については、専用サービスにおいて、さらなる広帯域化やSLAの拡充など収入維持に努めましたが、低廉なIP-VPNサービスなどへの移行が進み、専用収入は減少しました。
     この結果、専用・その他のサービスにおける営業収益は1,783億円(前期比354億円16.6%減)となりました。

    (エ)附帯事業収入については、当社の強みであるIPネットワークサービスに、データセンターサービスやセキュリティサービス、マネジドサービス(監視・運用サービス)などの高付加価値サービスを統合した、トータルソリューションサービスを積極的に展開してきました。
     この結果、附帯事業における営業収益は1,364億円(前期比125億円10.1%増)となりました。

     以上の営業活動の結果、当期の営業収益は1兆1,066億円(前期比454億円 3.9%減)、経常利益は1,130億円(前期比302億円 21.1%減)となりましたが、NTT USA,Inc.など関係会社株式の評価損504億円を特別損失に計上したことにより、当期純利益は、241億円(前期比105億円 77.7%増)となりました。

     当社は、今後も4つのコアバリューをさらに高めていく事業展開に加速をつけていきたいと考えています。お客さまのさまざまなニーズをまとめ、多様なサービスを複合化していく「総合化力」によって、お客さまにとっての「効能」を前面に出した付加価値サービスの提供に取り組み、当社の事業ビジョンである“グローバルIPソリューションカンパニー”を目指していきます。

 

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