I.業績の概況

    (1)当社を取り巻く環境
     今日、世界的なレベルで、IT革新が飛躍的に進む一方、デフレ懸念による企業の設備投資の減少や個人の消費抑制が産業構造に変化をもたらしており、いまだ世界経済回復の足取りは不確かですが、他方では、中国などアジア地域の経済は大きく進展し、消費・生産・労働市場としての勃興には目を見張るものがあります。
     このような経済・技術動向の中で、IT・テレコム市場は、依然として技術革新と価格のプレッシャーを常に受ける経営環境にさらされております。
     その一方で、新しいITにより、企業のサプライチェーンマネジメントの見直しなどのビジネスプロセス改革やコスト削減施策の展開を大きく推し進めているという反面もあります。また、中国などを中心とするアジアでの企業活動の活発化などに伴う新規投資に見られるように、多くのIT需要が発生してきており、国内においてもブロードバンド環境の整備によるITの利用拡大が進むなど、IT・テレコム事業者にとっての新たな事業機会の創出も期待される局面を迎えております。

    (2)当期の営業方針
     このような事業環境のもと、当社は当期を“Global IP Company”への完全移行の仕上げの年と位置付け、セキュリティ、クオリティなど当社ならではの付加価値を加えることによって複雑化、多様化するお客さまのニーズに対応する、インターネットサービスの「グローバル・ソリューション・プレーヤー」を目指し、積極的な事業展開を図ることとしました。
     具体的には、当社のIPサービスのコアコンセプトである“e-theater”(IPネットワーク、データセンター、プラットフォーム)の品揃えにさらに磨きをかけるとともに、ワンストップでの着実な提供に取り組むこととしました。
     また、グローバル事業の展開については、NTT/VERIOブランドでのグローバルIPサービスの積極展開や提案力の強化、パートナリングの推進など、お客さまの多様なグローバルニーズに応えうるよう努めることとしました。
     さらに、カスタマーフロントやオペレーションの統合による、お客さま満足度の向上に結びつく業務プロセスの改善、各種コストの抜本的な削減などの諸施策も積極的に推進することとしました。

    (3)当期の営業成果
     上記の営業方針のもと、“Global IP Company”への完全移行という目標に向け事業を展開し、IPサービスにおいては、IP-VPNなど複数の主要サービスで国内マーケットでのシェアNo.1を占めることができました。
     また、インターネット・トラフィックを運ぶ通信事業者としてアジア地域で最大級となるなど、グローバルマーケットでの認知度を上げることができました。
     これらの営業活動により、“Global IP Company”実現のメルクマールの一つと考えている音声収入に対するデータ・IP事業収入の割合、いわゆる「データ・ボイス(D/V)収益比率」は、当期で前期の1.0から1.1へと拡大しました。
     また、アジアにおける通信事業や、IPv6の標準化・実用化の取組みが評価され、「第4回World Communication Awards(世界通信事業者賞)」において、日本の通信事業者としては初めて、“Best Carrierアジア太平洋地域部門”および“Best Technology Foresight部門”の2部門を同時受賞することができました。さらに、セキュリティの分野においても、意欲的に取り組んだ結果、情報セキュリティマネジメントの標準規格である「BS7799」および「ISMS適合性評価制度」の認証を取得しました。
     このように、世界的な不況が続く中ではありましたが、当社は電話からIPへ事業構造の転換を着実に進め、Global IP Companyの基礎固めを完了することができました。
     営業成果の主な項目について、その概要は以下のとおりです。


    (ア)IP・データ系収入は、IP事業のコアサービスであるOCNの契約数をはじめIPサービスが堅調に伸びたものの、専用収入やパケットサービス収入などが減少した結果、売上は6,373億円(前年比454億円、6.7%減)となりました。

    [1]OCNサービス
     個人のお客さまにつきましては、「OCN Quality」(安心、楽しい、快適、親切)に基づく『OCN Style』の提供をコンセプトとし、以下のサービスの開始などに努めました。

    ブロードバンドへの対応として、「OCN ADSLサービス12M(A)」などの提供
    ADSL上で、一般加入電話でお使いの電話番号と電話機をそのまま利用できるIP電話サービス「OCN .Phone(OCNドットフォン)」の提供
    インターネット初心者のお客さまにも安心してADSLをご利用いただくためのサービス「OCN ADSL開通とことんサポート」の実施
    新たなOCN利用者拡大に結びつく「デビュープライス」、「¥なるほど0円キャンペーン」などによる特別期間料金の提供
    インターネット環境のセキュリティをサポートする「パーソナルファイアウォールサービス」などのセキュリティサービスの提供や、お客さまのニーズに応える多彩なコンテンツの提供など、お客さまへバリューを提供するサービスの充実
    株式会社エヌ・ティ・ティ ピー・シー コミュニケーションズが運営するインターネット接続サービス「InfoSphere(インフォスフィア)」のうち、個人のお客さま向けインターネット接続サービスのOCNへの統合
    ドリームネット株式会社の全株式の取得による「DreamNet(ドリームネット)」サービスとOCNサービスとの融合の推進
     また、法人のお客さま向けには、セキュリティ機能をバンドルしたブロードバンドインターネットサービス「Secure OCN」などの提供を開始しました。
     これらサービスメニューの提供などにより、3月末現在で加入数は350万となり、OCNサービスの売上は1,174億円(前年比154億円、15.2%増)となりました。

    [2]データ伝送・専用サービス
     法人のお客さま向けマーケットでは、ネットワークのブロードバンド化などのご要望にお応えするため、IP-VPNや広域イーサネットサービスを中心に以下のサービスを提供しましたが、法人のお客さまにおいてネットワークコストの削減に向けた取組みや拠点の統廃合などが急速に進んだため、専用・パケットサービスなどでは既設回線の廃止や、IP-VPNなどへの切り替えが進みました。
    「Arcstar IP-VPN」における、「IPマルチキャスト機能」や「IPv6通信機能」などの高機能・高付加価値メニューの充実、および「モバイルアクセスサービス」の提供などのユビキタス化への対応強化
    広域イーサネットサービス「e-VLAN」の提供エリアの全都道府県への拡大と、アクセスメニューの充実
    お客さま契約帯域を保証するとともに高セキュリティおよび信頼性を確保する、広帯域で汎用性の高いイーサネット型新サービス「Etherアークストリーム」の提供
     以上の結果、OCNサービスを除くデータ伝送・専用サービスの売上は3,882億円(前年比347億円、8.2%減)となりました。

    [3]ソリューションサービス
     IPネットワークサービスを基盤としたシステムインテグレーションおよびアウトソーシングなど、法人のお客さまの経営基盤を支えるソリューションサービスを提供しました。主な取組みは以下のとおりです。
    コスト削減、情報資産の安全な管理、保守・運用の効率化といった法人のお客さまの要望に的確にお応えするため、マネージドサービス、ホスティングサービスをはじめとするトータルアウトソーシングサービスを提供
    BS7799/ISMS適合評価制度による情報セキュリティマネジメントの強化を行い、トータルセキュリティサービス「GuardIT(ガーディット)」をはじめとする信頼性・安全性の高いソリューションサービスを提供することにより、法人のお客さまのセキュリティマネジメントを支援
    ICカードソリューション、電子自治体などの戦略的アウトソーシングをはじめ、e-Japan重点計画による国家、自治体レベルでのIT強化に貢献しうるサービスを提供

    [4]データセンターサービス
     コロケーション、ホスティングサービスにIPネットワークやセキュリティサービスなどを組み合わせたバンドルサービスを展開しました。また、すでにサービス提供を行ってきた大手町データセンター(東京都千代田区)とともに、国内中核拠点となる「東京EASTデータセンター」(東京都江東区)の稼動を開始しました。


    (イ)音声伝送収入については、一般加入電話の減少や、携帯電話などへのトラフィック流出、料金競争の進展に伴う固定電話マーケットの縮小が進行する中、熾烈な競争が展開された結果減収となりましたが、法人のお客さま向け定額サービス「FL@T ONE」や、個人のお客さま向け割引サービス「シャベリッチプラス」など、電話とOCN(ADSL)や携帯電話との通話をパッケージ化し、まとめて安くなる新サービスを相次いで開始しました。国際電話についても新たな割引サービスを相次いで提供し、新規ユーザの獲得に努めました。また、ナビダイヤル、テレゴングなどによる新たなトラフィック需要の創造、取り込みを積極的に図りました。
     以上の結果、営業収益は5,147億円(前年比775億円、13.1%減)となりました。

     以上の営業活動の結果、当期の営業収益は1兆1,520億円(前年比1,230億円、9.7%減)、経常利益は1,432億円(前年比681億円、90.6%増)、当期純利益は136億円(前期は当期損失4,107億円)となりました。

     今後は、2003年3月に発表した当社の新たな事業ビジョンに基づき、インターネット社会におけるお客さまの課題や様々なニーズをお客さまの立場から総合的に捉えてトータルな満足を実現する「IPソリューション」をグローバルに展開する、“グローバルIPソリューションカンパニー”を目指していきます。
 

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