トラックの積み荷は、時代を映している。かつて三次貨物運送が運んでいたのは製材やチップなど、三次市の主要産業であった林業の製品。現在は自動車関連の部品が65%を占め、部品工場や組み立て工場を結ぶ物流が中心である。また、高速道路の事故車の撤去、積雪時の高速道路用凍結防止剤の運搬、三次市の名物である鵜飼用の鮎の稚魚の輸送など公共性の高い仕事も担っている。
「広島県を中心に関西圏までが主なエリアですが、積み荷があればどこへでも行きます。トラックは荷台に積み荷があってはじめてビジネスになりますし、安全・確実に届けるのが仕事ですから、電話はビジネスの生命線なんです」(細川喜一郎・代表取締役社長)
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積み荷を安全・確実に届けるためには、乗務員とトラックの状況を事務所サイドで常に把握しておく必要がある。また、道路の渋滞や事故、急な悪天候など、刻々と変化する輸送環境に対応するためにも、事務所と56人の乗務員(ドライバー)は頻繁にやりとりをする。事務所から乗務員のケータイへかける件数は、膨大になるということである。
「帰社が2日後といった長距離輸送の場合は、安全確認のために毎晩607時に乗務員のケータイへ電話をし、電話点呼を行なっています。また、乗務員からいつ緊急の連絡が入るかわかりませんから、営業時間終了後の会社への着信は、私と電話当番の社員のケータイに転送する仕組みを採っています。もちろん取引先との打ち合わせや『渋滞で積み荷の到着が遅れる』といった荷主さんへの連絡も電話でします。当社の電話は24時間・365日いつでも稼働中なんです」
運送業は、時期によって仕事量が変動する。年度末などの繁忙期は依頼を断らざるを得ないほどだが、需要の閑散期も確実にやってくる。乗務員から「仕事をさせてよ」と注文がつくこともあるという。 「走るのが好きという社員の期待に応えたいですし、原油の高騰という逆風も吹いていますから、業務効率アップは経営課題でもある。谷間の時期をなくそうと、2006年に日本貨物運送協同組合連合会が運営する『WebKIT』という求荷求車情報ネットワークに加入しました。これは、運ぶ荷物があるけどクルマがないという荷主企業とクルマがあるけど運ぶ荷物がないという運送業を、インターネット上で結ぶものです。当社では、広島のA社の荷物を東京で下ろしたら、『WebKIT』で見つけた『横浜から姫路までのB社の積み荷』を運ぶという風に利用しています。決済は運営側が担当してくれますが、受発注は参加企業同士で直接行なうんです。ですから、荷主企業への確認のため、直接電話をかけないといけない。『WebKIT』に加入してから広島県外の全国へ電話をかける機会がかなり増えた。通信コストはさらに上昇しました」 |
細川社長の決断を後押ししたのは、2004年5月に取得した『ISO9001・2000』の要件の一つ、『経営環境改善への対応』だった。創業者である先代社長のあとを継いで社長に就任した細川社長は、新しい時代の運送業をめざして経営改革と社員の意識改革を推進してきた。「みんなの弁当代は会社じゃなくてお客様が買ってくれているんだ」「ドロドロに汚れたクルマじゃお客さんに喜んでもらえないだろう」と具体的な言葉で、顧客満足を考える視点をもつことを促したのである。
「ウソをつかない経営が私のモットーですし、社員が任されているんだという意識をもつことでさらに働きやすい環境が生まれたと思います。私も社員に任せられるから、地域振興の手助けなど三次市のための活動にも時間が割けるんです(笑)。ご存知のようにISOは毎年、何か一つ改善を積み重ねる必要があります。環境整備、ホームページの開設とやってきて、2007年は何をやろうかと考えたとき、そうだ電話だと思った。050番号を導入すれば、050番号から一般加入電話へは、全国どこへでも一律料金ですし、ケータイへも事業者問わず一律料金でかけられる。経費削減と経営環境の改善にもつながります」
2007年6月、三次貨物運送は050番号のIP電話サービス「OCNドットフォン オフィス」を導入した。乗務員に050番号のコストメリットをしっかり認知してもらうために、休憩室に「会社への連絡は050番号へ」と紙に書いて貼り出したほか、ケータイの電話帳メモリーも「会社の電話番号は050番号に書き換えよう」とアドバイスした。むろん、会社の電話機にも050番号をキチンと表示、会社全体で050番号導入への準備を整えたのである。 |
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現在、三次貨物運送では乗務員へも得意先などへも発信はすべて050番号からである。全国を走り回っている乗務員も、もちろんケータイから050番号へかけてくる。
「『WebKIT』の荷主企業は、当社からはほとんどが遠距離ですから、全国一律3分あたり8.4円でかけられるコスト効果は大きいですね。また同じOCNの050番号同士だと無料になるのはもっと嬉しい(笑)。事務所から乗務員のケータイへかける際も事業者問わず1分あたり16.8円なので050番号を使います。乗務員のケータイは、個人利用のケータイなので、事業者もバラバラ。わかりやすい通話料は助かります。さらに乗務員のケータイから事務所へかかってくる電話も050番号ですから、
050番号へかかってくるほど発信通話料が安くなる『着割』の効果も大きい。コスト削減効果を実感しています。もともと電話が多い業種ですから、通話チャネルをもう少し増やしていつでも・どんなときでも、050番号が使えるようにしようと思っています」
050番号の導入と合わせて、細川社長は名刺も新しくした。従来からの会社の代表番号とFAX番号も併記してあるが、050番号が一番上。受け取った人の目に止まるようにとの配慮である。 |
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「『御社は050番号ですか』と、受け取った人に言われることもあります。私が感じたように、先進的なことをやっている会社だというイメージも合わせて受け取ってくれていると思いますね。ISOの課題をクリアできた上に、企業のイメージアップ効果が出た点でも一石二鳥。当社は三次市ではリーダー的な立場にある企業ですから、先頭を切って先進性を積極的にアピールしていくことで、三次市や三次市の企業のイメージアップにつなげていきたいと思っています」
細川社長には、いま注目し、期待しているIP電話サービスがある。NTTコミュニケーションズが最近提供開始した画期的な新サービス、PHSを会社の内線電話の感覚で使える『ドットフォン ユビキタス』である。
「これを導入し、乗務員にPHSをもたせれば、彼らが全国どこにいても050番号同士なので無料になると聞いています。会社にとってもさらなるコスト削減効果が見込めますし、乗務員も通信コストの負担はプライベート用だけで済む。当社のような電話がビジネスの生命線である企業にとっては、まさに朗報ですね。サービスの導入を検討していきたいと思っています」 |













