
海底ケーブルの工事で最初の難関は、敷設船と呼ばれる、ケーブルを設置するための船の確保だ。ケーブルタンク(ケーブルを入れたタンク)を持つ特殊な船だから手配が難しいんだ。幸い、NTTコムグループで、海底ケーブルの設置などを専門に行っているNTTワールドエンジニアリングマリン株式会社(以下「NTT-WEマリン」)の保有する敷設船「すばる」を、確保することができたので作業が順調に進んだよ。
その「すばる」が最初に向かった先は、ケーブルの製造工場がある北九州。ケーブルを船にのせて北海道に行き、いよいよケーブルを海底に設置する工事が開始されたんだ。
ケーブルが海底に設置される北海道西岸はホッケやカニなどの豊かな漁場だから、漁業への影響と通信への影響を避けるためケーブルを全区間の地下に埋めて設置することにしたんだ。
埋設機 ※1
と呼ばれるケーブルを海の中の地下に埋めて設置する機械を使って、船の動きで溝を作りながらケーブルを設置していくと、一定の方向に流れる海水の運動によって、ケーブルは自然に地下に埋まっていくんだ。
その後、工事は比較的順調に進んだよ。もちろん、工事に油断は禁物だ。途中で地形によりケーブルのブリッジができている個所を発見し、このままだと切断される恐れがあるため30kmほど巻き戻してもう一度海底にケーブルを設置する作業をやり直しをしたこともあったんだよ。
ケーブル設置の前段階で、ケーブルタンクからケーブルを引き出しているところ
いよいよロシアの排他的経済水域 ※2 に入る工事にかかるべく、北九州から北海道へ向かう航行中にスクリューの調子が悪くなり、スピードが出なくなってしまったんだ。さらに、工事の途中で埋設機が壊れてしまったのにはびっくり!なんとその埋設機は世界に数台しかないイギリス製で、急きょ、イギリスから技術者を派遣してもらったんだ。
函館のドック ※3 でスクリューと埋設機の修理にそれぞれ1週間ずつ、計2週間かかったんだよ。ぎりぎりのスケジュールで工事をしようとしたから、機械や人員に無理が生じてしまったんだ。
※1.ケーブルを海の底に埋めるための溝を掘るのに使う機械のこと。
※2. ある国が、自分の国の周りの海について経済的な権利を持っている範囲のこと。自分の国の沿岸から200カイリ(1カイリ=およそ1.8km)内の海については、その国が漁業などに対する決まりをもうけているんだ。
※3.船の修理などを行う場所のこと。
