サービスを支える設備への 投資の最適化が最大の課題
証券業界の老舗、安藤証券が新たに提供する「美ら(ちゅら)ネット24」は、特定口座への対応をはじめ、信用取引、日経225先物・オプション取引など、オンライン・トレードに求められる様々なサービスを用意している。さらに、これらのサービスが低料金で利用できるのも大きな魅力だ。「美らネット24」を提供する目的について、安藤証券 取締役社長 安藤敏行氏は次のように語っている。
「インターネットを利用することで、不特定多数のお客様に、いろいろな形のマーケットや機会を提供できます。また、多様な取引の場を提供することは、お客様自身がリスクをコントロールするために、より多くの手段を利用できることにもつながります」(安藤氏)
「美らネット24」を提供するにあたり、大きな課題となったのがサーバなどの設備への投資だ。サービスへの需要を正確に予測するのは不可能なため、初期投資をどれくらい行うかを見極めるのが困難となるからだ。
安藤氏は、「オンライン・トレードは、規模のビジネスですから、例えば、想定契約数や想定口座数をかなり大きく見て、最初から設備投資を大きくやっていく考え方もあります。しかしその場合、サービス開始後の事業へのストレスが大きくなり、リスクも高くなってしまいます。やはり、初期投資のボリュームを絞ってスタートさせて、創世期のリスクを低くしていくことが必要だと思います。つまり、ビジネスを立ち上げることに注力して、軌道に乗り始めたら、状況に応じて素早く拡充していくのが、ビジネスモデルとしては手堅いのではないでしょうか」と、設備投資への考え方を説明する。
キャパシティ・オンデマンドによる 柔軟な拡張性で需要変化へ迅速に対応 ランニングコストの抑制も期待できる
「美らネット24」の実現に向けて、初期の設備投資を抑え、サービス開始後の状況に応じて設備を柔軟に拡張することがテーマとなった。そこで安藤証券は、「美らネット24」のプラットフォームを、設備から運用までアウトソーシングすることを検討。アウトソーシングを活用する理由について安藤氏は次のように説明している。
「システムを保有するかどうかは、基本的にビジネスの大きさによります。ただし、システムを内包すると、コストの面で無駄が出てくることは否めません。やはり、TCOの観点から考えると、システムはアウトソーシングした方がベターだと思います」(安藤氏)
さらに、経営リスクの軽減においても、アウトソーシングの活用が有効だと指摘している。「ネットビジネスではシステムへの依存がとても高く、マーケットの変化に応じてシステムを拡張させる必要があります。一定の変化ならばシステムの拡張を計画的に行え、システム規模をビジネスやマーケットに追従させるのは容易です。しかし、オンライン・トレードでは、変化の幅が大きく予測もできません。その変化にシステムを追従させ、これを継続的に行うとなると、自社対応ではコスト負担や経営リスクが大きくなってしまいます。やはり、システムは専門家にアウトソーシングした方がよいと判断しました」と安藤氏は語る。
サービスの選定は、マーケットの変化に対応できる柔軟な拡張性と、オンライン・トレードのプラットフォームを任せられる堅牢性をテーマに行われた。そして、国内有数のサービスを比較検討した結果、安藤証券に選ばれたのがオンデマンドホスティングサービス『AGILIT(アジリット)』だった。
『AGILIT』は、サービスおよび企業の信頼を、100%アップタイムギャランティ(可用性保証)によって支えている。さらに、わずか数時間で設備を拡張できる「キャパシティ・オンデマンド」によって、システムをスピーディにビジネスへ追従させられるのも大きな特長だ。
安藤氏は、「当社にとって、システム自体が信頼性です。金融は秒単位で動いている世界ですから、そのシステムをビジネスに追従させるとなると、対応にもスピードが要求されます。その点で、『AGILIT』の拡張性が「美らネット24」の、そして当社への信頼感を支えてくれると期待しました。またNTTコミュニケーションズを選ぶにあたり、ブランドイメージだけではなくフェアなコストでサービスを提供している点も評価しました。ブランド力があっても、コストが高いのでは信頼感は持てませんからね」と語る。
そして、「『AGILIT』によって、初期投資を抑えられ、サービス開始後のランニングコストも最適化できると期待しています」と安藤氏は付け加えた。
企業の生命線である事業継続管理と 今後のグローバルな事業展開を見据えて
止まることのない金融の世界において、事業継続管理(BCM)は企業の生命線となる。安藤証券にとってもその例外ではなく、『AGILIT』の高い信頼性がそれを支えている。「美らネット24」における事業継続管理は、今回の『AGILIT』の導入に留まらず、今後ネットワークを利用することにより更に高められるものと思われる。 安藤氏は今後の展開について、「「美らネット24」は名称の通り、24時間取引できることをアピールしています。しかし、実際のマーケットは24時間営業ではありませんので、日本のマーケットだけでは実現できないのです。そこで海外マーケットとも連携することで24時間取引を実現します。これまで海外マーケットでの取引は、言葉の問題もあって限られた人しか利用できませんでした。「美らネット24」では英語が苦手な人でも、インターネットから海外マーケットで取引できる場を提供していく予定です」と語る。
さらに、「沖縄の方言である“美ら”は、東京と沖縄にデュアルトレーディングセンタを実現することを意味しています。異なるロケーションでサービスを同時に提供することで、万が一の時でも設備へのダメージを回避して、お客様の投資機会の損失を防ぐことができます。これは、事業継続管理において、重要な取り組みだと考えています」と続ける。
ネットワークの拡張性も、「美らネット24」のこれからの事業展開に不可欠である。
今後はNTTコミュニケーションズがTier1※バックボーンを保有する世界有数のキャリアであるということが、大きく貢献できるものと考えられる。
海外市場との連携やデュアルトレーディングセンタ構想の実現には、エリアの離れたネットワークをつなげて、ネットワークを拡張する必要があるからだ。安藤氏は、「NTTコミュニケーションズはグローバルで基幹回線を保有しているという安心感がありました。今後の展開においても、地域を限定せず、グローバルにサービスを提供しているNTTコミュニケーションズとならやり易いのではないかと思います」(安藤氏)
オンライン・トレードのサービス・プラットフォームをトータルアウトソーシングした「美らネット24」は、2006年4月下旬のサービス開始を待つだけとなっている。さらに今後、海外市場との連携やデュアルトレーディングセンタの実現をはじめ、オンライン・トレード環境の強化に引き続き取り組んでいく予定だ。これらの課題解決においても、NTTコミュニケーションズが期待されているのだ。
※Tier1:インターネットの品質を上流のプロバイダに頼らずに、自らコントロール できる世界規模の広帯域IPバックボーンを保有するISPグループのこと。
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