| Vol.5 |

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< その3 >
地球環境問題が焦点化する中で、競争の次元が変化。
まずは一歩の踏み出しが必要
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温室効果ガスによる気候変動など地球環境問題が、近未来において、極めて重要なテーマになろうとしている。そうした中、消費者の意識や社会状況の変化を受けて企業を取り巻く競争の次元が大きく変わり、環境対応が大きな焦点になっていくことは確実だ。「ハイブリッドの高級車を出した自動車メーカーが世界的に大きなブランドを確立しようとしている」と一橋大学の米倉誠一郎氏は語る。近未来を見据えた上で、企業は何を意識し、どこに踏み出すべきなのか、米倉氏に聞いた。
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-これから3〜5年後の近未来では、何が大きなテーマになるのでしょうか。 |
米倉 |
地球環境問題がますます重要になり、気候変動などの影響を受けて、水不足などが深刻化すると思います。それに対して、どう対処していくことができるのか、環境はゼロサムゲームの世界です。これからは、地球環境問題に自覚的でないのは地球人であることを放棄することに等しく、自分や自分の子どもや孫だけが生き残るということはありえません。こうした流れの中で、企業も新たな価値を創り出していく必要があります。 |
-企業も発想転換の必要がありますね。 |
米倉 |
フランクミュラーという若者に大変な人気がある時計のブランドがあります。1991年設立と歴史は浅いにもかかわらず、大ブレイクしているのは、創立者である時計デザイナーの天才的な発想力やそれを実現するマーケティング能力にあります。一方で、日本の時計メーカーは10万年に1秒しか狂わないという電波時計を発売していますが、いくら技術力が優れていても、それだけでは優位性は見い出せないのです。 |
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-地球環境問題との関係ではどうなのでしょうか。 |
米倉 |
その意味で、今、V8エンジンを搭載した高級車のハイブリッドカーを発売した自動車メーカーは、世界的なブランドになりかかっています。それはブランド競争の次元が変わり、テクノロジーと信頼性をベースにした上で、環境が大きな要素になっているからです。かつて、トウモロコシから電気製品のケースを作ったメーカーがありました。「地球に還る」という観点から見れば、先見の明があった技術にもかかわらず、廉価版として売り出したこともあり、ブランドとして確立できませんでした。温暖化の問題が深刻になる中で、「地球環境」という次元で新たな価値を創り出すことがメーカーだけでなく、サービス産業にも求められています。
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-大きな転換には困難が伴いますが、まずはどこから始めればいいのでしょうか |
米倉 |
先日、米国出張のついでに、運転免許証を更新しようとしたら、米国の友人にWebサイト上で更新できるといわれました。「本当か」とびっくりしたのですが、夜10時頃、サイト上で手続きをしたら、本当に5日後に新しい免許証が送られてきました。日本であれば、悪用する人がいるから、そうしたやり方は採用しないということになるでしょう。しかし、米国では、悪用する人がたとえいても、ほとんどの人が便利になるのだから、Webで更新できる、このやり方の方がよいということなのです。こうした考え方を日本で採用するのは大変な発想の転換が必要です。しかし、ICTが劇的な進化を遂げる中で、とりあえずやってみよう、問題が出てきたら、そこで考えようと、まず一歩を踏み出すことが今、求められていると思います。 |
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米倉 誠一郎 氏
一橋大学 イノベーション研究センター 教授
1953年東京生まれ。81年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。90年ハーバード大学歴史学博士号取得。95年一橋大学商学部産業経営研究所教授、97年より現職。アーク都市塾塾長、『一橋ビジネスレビュー』編集委員長。 |
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