法人のお客さま総合 > 経営課題とICT(ITトレンド) > ICTトレンド解説 > 遠藤 功 氏(3)

ICTで可能なことと不可能なことを理解することで、ICTのより一層の活用を! 株式会社ローランド・ベルガー会長 早稲田大学 大学院教授 遠藤 功 氏

今、企業では正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートなど様々な雇用形態の人が働いている。その中で、組織的一体感を保つためには、様々な工夫と努力が必要だ。パート社員も含めて90%以上の人が社員旅行に参加する優良企業や、工場対抗の駅伝大会や全社レベルの運動会を熱心に行う自動車メーカーもある。「社員旅行や運動会というと時代遅れと思われるが、今風のやり方で工夫することで、一体感を作り出すことが大切だ」とローランド・ベルガー会長の遠藤功氏は言う。その理由は、PC1人1台があたり前になり、携帯電話が普及する中で、現場のコミュニケーション密度が極端に低くなり、現場が弱くなっているからだ。そうした中で、ICTの活用はいかにあるべきか。遠藤氏に聞いた。

組織的一体感を保ち、現場のコミュニケーション密度を向上させる

――組織力強化のポイントはどこにあるのでしょうか。
遠藤 雇用関係が多様化する中で、強い組織にしていくには、組織としての一体感を保つための工夫や努力をしていくことが重要です。私がコンサルティングに行く企業で、真っ先に聞くのが忘年会、新年会への参加率です。80%であれば、まあ大丈夫、70%を切ったら、少し危ない、50%以下の場合は現場は崩壊。こう判断しています。どこの会社でも、忘年会・新年会ぐらいはやるでしょう。その状態を聞くことで、その会社の求心力が大体分かります。経営トップは自社の組織的一体感の指標として、チェックしておくべきだと思いますね。
 実際に、業績絶好調のある流通大手は80%がパート社員ですが、社員旅行には90%、新年会には99%が参加するといいます。ある自動車メーカーは10数年前に中止した全社運動会を復活させましたし、工場対抗駅伝大会や運動会に社員が毎年、熱心に取り組んでいる大手自動車メーカーもあります。皆、一生懸命やっています。

――今の若い人は運動会や社員旅行などを嫌うのではないでしょうか。
遠藤 そんなことはありません。温泉旅館で皆が浴衣で食事という昔ながらのやり方だから、嫌われるのです。若い人たちに、自分たちで工夫してやれといえば、皆喜んでやります。帰属する場所を求めているわけで、それを実感できるように工夫することが大事なのです。パソコン1人1台体制と携帯電話の普及で、現場のコミュニケーション密度が恐ろしく低くなっていて、それが現場を弱めています。かつては、どんなことでも人と話さなければ、伝わりませんでしたが、今はメールがあります。しかし、相手と気持ちが通じ合わなければ、その人を信頼して、仕事をすることはできません。そのためには、人間系の部分を意識的に強めることが必要なのです。それによって、ICTもさらに活きるのです。

図 社内で活用しているITコミュニケーションツール

ページトップへ


置き換えられるものと、そうでないものを認識した上で、ICTを活用する

――ICTの活用はどうあるべきでしょうか。
株式会社ローランド・ベルガー会長 早稲田大学 大学院教授 遠藤 功 氏 遠藤 全てがICTで置き換えられるわけではありません。置き換えられるものと、そうでないものがあります。例えば、地方の支店での会議はTV会議で置き換えることができるかもしれませんが、実際に現地に行くことで、初めて分かることもあります。自動車メーカーは3次元CADを使うことで、モックアップ・サンプルを作らなくてよくなりましたが、品質問題が続発してしまいました。実際に、モックアップに触れないと、分からないことがあるわけです。このように、ICTで補完はできるものの、置き換えることが難しいことが相当にあります。ですから、ICT万能論ではなく、可能なことと不可能なことを、よく理解することが必要です。それによって、ICTのより効果的な活用が可能になると思います。


ページトップへ


ICTトレンド解説 第二回INDEX


特集

グリーンICT

インタビュー
インタビュー

ICTによる環境負荷の低減

東京大学大学院
松野 泰也准教授

トレンド分析・解説

特集 グリーンICT へ