この数年、成果主義を導入した日本企業は多い。それに対して、「ことごとく失敗しており、その総括もない」とローランド・ベルガー会長の遠藤功氏は言う。日本企業では、中長期のスパンやチームで仕事をしている人も多く、短期の数字で見る成果主義は合わない。重要なのは、あいまいな成果ではなく、実力の評価である。誰が見ても実力がある人を早く昇進させ、基準を明確にして評価すれば、透明性も高まり、社員の納得も得られる。また、競争力を高めるには、若手社員の早期育成が重要だ。人材には普遍的な分布があり、それに沿った形で人を育てる必要がある。成果主義の誤りから抜け出して、企業体質を強化するにはどうしたらいいのか。遠藤氏に聞いた。
乱暴な成果主義導入の誤りを総括し、実力主義の考え方に立つ
――この数年、多くの企業で成果主義が導入されました。
遠藤 日本企業で成果主義を導入して、うまくいっているところはほどんとありません。その総括もない。短期の数字だけで給料を決める米国流のやり方にするのなら、いい悪いは別にして、それを徹底すべきです。ところがそうではない。成果主義といいながら、狙いは給料の引き下げにあったわけで、目的が不純です。業績が悪く、人件費をカットするのであれば、成果主義といわずに、トップから率先して引き下げれば、社員も皆、納得します。
――成果主義は日本企業には合わなかったのでしょうか。
遠藤
日本企業の仕事のやり方は短期成果だけでは測れません。中長期で仕事をしているケースもあれば、チームで仕事をしている人もいる。成果主義は合わないのです。実際、業績のよい企業はどこも、給与面ではそれほど差を付けていません。終身雇用が前提になっているので、給与ではなく、優秀な人材は早く昇進させ、中枢に据えます。そこでは、基準も内容もあいまいな成果ではなく、例えば売上実績や利益のような実力で評価し、処遇しているのです。実力主義であれば、皆が納得します。そのためには、誰が見ても、実力があるという人をきちんと評価しなければいけません。今までのように、あいまいな評価ではなく、必要な要件を洗い出し、基準を明確にして、見える化して実力を評価することが大切です。
人材の2割:6割:2割の分布の中で、6割を育て、全体レベルアップを図る
――若手社員を育て、強い企業を作っていくには何が必要でしょうか。
遠藤 一般に、人材はトップ2割、中間6割、ボトム2割で分布しています。トップの2割は放っておいても育つ。ただし、自己実現できる場を与えないと、転職してしまう可能性が高いので、若いうちに関連会社の経営者や他社への出向による武者修行などのチャンスを与えることが大切です。一番問題なのが真ん中の6割です。この部分をいかにして、戦力化できるのかが重要です。できるだけ早期に育て、トップの2割に近づけ、全体のレベルアップを図っていくことが大きなポイントです。
――人材の分布と成果主義との関係は。
遠藤 成果主義の最大の誤りは、2:6:2の分布に対して、ABCDの4段階で評価したことです。つまり、ミドルの6割を明確な理由がないのに、無理やりBとCに分けてしまいました。その結果、Cに評価された社員のモチベーションは大幅に低下、大量に退職したりして、企業活力の大幅なダウンを招いてしまったのです。その責任は経営者にあります。差はないのに、どうして評価を分けるのか。その結果、どういうことが起きるのか。経営者が現場の目線で見ていなかったことが組織的な混乱と活力低下を生み出したのです。この誤りを教訓にして、経営者は現場の目線でシミュレーションする能力を持つことが大変重要になっています。
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その2 |
成果主義導入の誤りを踏まえ、実力主義に立って、若手社員の早期育成を! |
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