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個人へのパワーシフトが新時代を開く 感度と変革力を高めて成長目指せ!アクセンチュア代表取締役社長 程 近智 氏

時代は今、大きな転換点を迎えています。情報の主導権を持った個人がますます力を強めているからです。それぞれが独自の価値観を持つ“個”客の変化を見誤れば、それは企業の衰退を意味します。その変化を素早くとらえ、それに対応したビジネスモデルを提示できるか--。これが、次の時代を勝ち抜く企業の条件となっているのです。そこでカギを握るのが、対顧客、企業内、企業間のコミュニケーション。「それを支えるICT基盤は、もはや企業の生命線そのもの」とアクセンチュアの程氏は指摘します。

個人へのパワーシフトが既存のビジネスモデルを脅かす

 メーカー主導の時代が続いた後、量販店やコンビニエンスストアといった小売業が台頭し、大きな影響力を持つようになりました。そして今、企業から個人へのパワーシフトが起きています。その背景にあるのがインターネットやデジタル化などの技術革新。個人があらゆる情報にアクセスでき、情報を発信する力を持ったことで、このパワーシフトは加速しています。
 インターネットが本格的に普及し始めた1995 年からの10年が第1ステージだとすると、パワーシフトが顕在化した今、この変革は第2ステージ。消費者発信型メディアが台頭し、ブログやSNSが急速に浸透していることはその象徴だと言えるでしょう。
 大きな力を得た消費者はますます多様化し、インテリジェント化しつつあります。かつてのマーケティングは性別や年齢層などによって顧客を分類し、そのセグメントごとに共通した価値観があることを前提としていました。最近では分類のためにコミュニティや学歴、趣味など多くの軸を想定するようになり、顧客セグメントはますます細分化されています。そして今後、企業が向き合わなければならないのは、一人ひとりが独自の価値観を持った“個”客なのです。
 もし、消費者が皆同じ商品を買ってくれれば、供給側にとってこんなありがたいことはありません。スケールメリットを最大限享受できるからです。しかし、そんな時代を望むことはできません。逆に、一人ひとりに対して個別の商品やサービスを提供すれば、コストは膨大になり事業として成立しません。その中間にある最適な地点は、明らかに個別対応の方向に向っています。
 将来的には様々な分野で、1人のニーズに対して1つの商品をマッチングさせるような仕組みが生まれるでしょう。例えば、化粧品。個々人の肌の状態を予め把握した上で、その人に最適な成分を配合させた商品が登場するかもしれません。各成分を小さな単位で用意し、システムが個人のデータを参照しながら混ぜ合わせて“パーソナル化粧品”を生産する。そんなビジネスモデルも、決して不可能ではないでしょう。
 ただし、そうした動きが本格化するまでにはもう少し時間がかかります。いまのところは“個”のニーズと企業の対応能力を見極めた上で、時間とともにその位置を変化させる最適地点を追い求める努力が重要です。それを見誤れば、企業は衰退への道をたどることになるでしょう。

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中小企業の機動力が優位性を生む大企業は劣位をいかに克服するか

 企業が成長を継続するためには“個”客の変化をとらえて、その背中を追いかけるほかありません。それをスピーディーに実行できるのは、実は機動力のある中小企業だと思います。社員教育やIT 導入にしても、トップが決断すればすぐに実現することができます。規模の優位性は薄れつつあるので、中小企業がかつての劣位を優位に転換するチャンスは十分にあります。逆に、大企業が劣位に立たされる時代になったといえるでしょう。
 大企業が劣位を跳ね返すためには、中小企業以上に力を入れて“個”客への感度を高め、過去の成功体験にとらわれることなく、自らを素早く変革できるような組織を構築する必要があります。
 従来のビジネスを振り返って考えると、メーカーにせよ小売業にせよ、これまで一人ひとりの消費者を見たくとも見えなかったのではないでしょうかという思いを抱かざるをえません。いまなお、大量生産大量消費時代の成功体験を引きずっている業界もあります。しかし、時代は変わりました。従来のようなキャンペーンや安売りだけで消費者を引き付けようとしても限界があります。日本経済全体が上向きになり、攻めの経営に転じようとしている今こそ、新しいビジネスモデルに挑戦して、差別化を図るタイミングともいえるでしょう。
 例えば、メーカーにとっては、直販のチャネルを持つという選択肢もあります。こうしたビジネスモデルの創造は、顧客とのコミュニケーションなしでは実現できません。それを支えるICTは経営基盤そのものであり、企業の生命線といっても過言ではありません。経済産業省(情報化白書2004)の調べでも、企業におけるICT活用のステージが高く、業況が良い企業ほど、「攻め」の経営にICTが活用されていることがわかります(図)。
 個人へのパワーシフトという潮流に乗り、ICTをうまく使ってビジネスモデルを創造した典型例は「iPod」でしょう。「iTunes」という顧客接点において個人に最適化されたサービスを提供するビジネスモデルが、端末の魅力もあいまって大ヒットをもたらしました。これまでユーザーは聴きたい音楽があれば、1曲のためにCDのアルバムを買うこともありましたが、iTunesなら1曲だけダウンロードすることができます。パワーを持った“個”客に貢献したからこそ、iPodは大きな支持を得ることができたのです。

経営戦略とICT活用ステージの関連性

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顧客との信頼関係を醸成した上で情報をインテリジェンスに高める
変革スピードの点でフルラインサービスにメリット


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