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ICT in the Future Vol.9 衛星通信の数分の1の低コストで、確実な一斉同時配信を実現する「IPv6リライアブル・マルチキャスト」



ICT in the Future Vol.9 衛星通信の数分の1の低コストで、確実な一斉同時配信を実現する「IPv6リライアブル・マルチキャスト」インターネットのブロードバンド化が進み、企業でも個人でも大容量データを送受信することはいまや決して珍しいことではない。しかしその一方で、多拠点へ一斉に大容量データを配信するようなケースでは、インフラにかかる負荷の大きさや配信時の信頼性が壁となっており、全てがネットワークでの配信に置き換わった訳ではない。依然として衛星通信やCD/DVDの物理的配送といった旧来の方法に頼らざるを得ないのが事実である。
この壁を越えようとするのが、今回紹介する「IPv6リライアブル・マルチキャスト」である。リアルタイムかつ確実な多拠点一斉同時配信を衛星通信の約4分の1程度のコストで実現するこの技術は、多拠点展開している企業のビジネス革新に新たな可能性を提供するだろう。

Chapter1.
「IPv6リライアブル・マルチキャスト」 教育業界における映像配信実験

「IPv6リライアブル・マルチキャスト」デモンストレーション(4分51秒)
全国に多数の教室を持つ予備校では、以前から衛星通信による授業映像の中継・配信が行われている。これをオンデマンド形式で受講できるようネットワークでの配信を試みたのが今回の実験である。教育業界における映像配信の課題や背景とは?リライアブル・マルチキャスト技術が適していた理由は何か?デモストレーションを交えて説明します。

「IPv6リライアブル・マルチキャスト」デモンストレーション
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デモンストレーション
(4分51秒)

Chapter2.
ユニキャストとマルチキャストのメリットを兼ね備えた
「リライアブル・マルチキャスト」

NTTコミュニケーションズ株式会社 ネットビジネス事業本部 IPサービス部 添田 卓弘 数十ヵ所、数百ヵ所、数千ヵ所、数万ヵ所――。数多くの拠点へコンテンツを配信したいとき、これまでは、衛星通信の利用が一般的であった。
たとえば、大手予備校は、人気講師の講義を全国の加盟校へリアルタイム配信している。企業グループ内でのプログラムやデータの配信にも衛星通信は利用されている。
たとえばコンビニエンスストア。POSレジ裏の小さな画面に、精算中の客に見えるようにお薦め商品情報を映し出しているのは、代表的な利用例である。刻々と変わる経済・市況情報を全国の支店・営業所へ配信している証券会社もある。中古車オークションでも、複数会場でリアルタイム応札するために活用している例がある。
確かに衛星通信は映像コンテンツのような大容量の情報を一斉に配信するのに適した方法ではあるが、コスト面を考えるとどんな企業でも容易に導入できるものでもない。そこで現実には、CD/DVDなどのメディアにデータや映像コンテンツを格納し、物理的に配送している企業が圧倒的に多い。

 ブロードバンド・インターネットの普及は、衛星通信より「安く」、しかも、メディア配送とは違って「リアルタイム」に、大容量データを配信できる可能性を提供したが、それでもすべてが解決した訳ではない。単一の相手を想定した従来の通信方法(ユニキャスト通信)は、多拠点配信には適していない。そこで複数の相手への同時一斉配信を前提に誕生した通信方法がマルチキャスト通信だが、これにも課題が残っている。まずはこれら2つの方法について、それぞれのメリット・デメリットを整理しておこう。

 ユニキャストは、送信元が、送信先ごとにデータを生成して送る方法である。そのため送信先の数とデータの容量が増加すれば、その分送信元のインフラに負荷がかかってしまう。その一方、データ到着の確認、データの重複や抜けなどを検出・制御するしくみを持つTCP(Transmission Control Protocol)による通信であるため、信頼性が高い。
これに対してマルチキャストは、送信元からのデータを、ルータが自立的に複製し、送信先へコピー配送するしくみであるため、送信元に負荷が集中することはない。しかし、データ到達の確認やデータ誤りの検出機能を持たないUDP(User Datagram Protocol)による通信であるため、信頼性に問題がある。マルチキャストによる映像の中継なら、パケットが抜け落ち、画像が数秒間乱れても、映像そのものを見ることは可能だが、データ通信(ファイル配信)では、パケットの欠損が生じればファイルそのものが開けない。
このような事情により、これだけブロードバンド・インターネットが普及しても、多拠点一斉同時配信はなかなか思うようにいかなかったのである。

 そこでNTTコミュニケーションズは、ユニキャストとマルチキャストのメリットをあわせ持つ「IPv6リライアブル・マルチキャスト」を開発した。
リライアブル(Reliable)とは、信頼できるという意味だ。つまりIPv6リライアブル・マルチキャストとは、誤りのないデータ転送を実現するユニキャストの良さと、送信元への負荷が少なく、スケーラビリティの高いマルチキャストの良さをあわせ持った、多拠点一斉同時配信の技術なのである。
しかも配信コストは、衛星通信に比べると約4分の1程度に抑えることができる。現在利用している衛星通信のコスト削減を求める企業や、記憶媒体の物理的な配送に不便を感じていた企業は、IPv6リライアブル・マルチキャストへの置き換えを、積極的に検討できるときが来たのである。

◆リライアブル・マルチキャストの特徴

リライアブル・マルチキャストの特徴

Chapter3.
信頼性を支える3つのコア技術

 マルチキャストの信頼性を高める技術として、元々、NTTと日本IBM株式会社が共同開発した高信頼マルチキャスト通信プロトコル「RMTP(Reliable Multicast Transport Protocol)」が存在していた。NTTコミュニケーションズがこれをベースとし、さらに独自の信頼性向上技術を加えながら、IPv6環境で確実に動くしくみとして、前述した教育業界での実証実験のように、実際の利用者を対象にした商用環境での試験を重ね、完成度を高めたのが「IPv6リライアブル・マルチキャスト」である。ここでは信頼性向上のために用いられている、3つのコア技術について説明する。

 第1は、FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)。サーバからコンテンツを配信する際、冗長データをあわせて送信しておき、パケット欠損が起きた送信先は、冗長データを利用して欠損パケットを復元する技術である。
第2は、送達確認・再送制御。パケット単位で送達確認を行い、送信先ごとの要求に応じて、欠損パケットを再送する。ただし、一斉にパケットを送信した後、不達情報を個別にフィードバックさせ、また、欠損パケットを一斉に再送するというように、送信・再送はあくまでも同時一斉である。さらにこのような確認と再送を何度か繰り返すことで、データが欠損した場合でも、その完成度をより高めていくことができる。
FECと送達確認・再送制御を用いてもそれでもまだ100%の配布が完了できないときには、第3の方法、ユニキャスト・リカバリ配信を用いる。これは、ユニキャスト(HTTP/TCP)に切り替えて、不達拠点に足りないデータだけ個別に送信をやり直す。このように二重三重の対策を事前に講じておくことで、確実な配信を実現しているのである。

 また、こうしたバックグラウンドの仕組みだけではなく、利用者が直接操作するアプリケーションの開発も同時に進めてきた。2006年から実証実験を重ねて機能をブラッシュアップし、現在では、専門知識がなくても、WebベースのGUI画面を使って、簡単にIPv6リライアブル・マルチキャストを運用できるようになった。配信のスケジュール化など、便利な運用支援機能も備えている。
しかも、これから急速に利用が拡大すると見られるIPv6環境で、実用化できた意義は大きい。IPv6環境は拡張性が豊かであり、新機能の追加実装も短期間で行うことができるからである。

◆信頼性向上のために用いられている、3つのコア技術



Chapter4.
2007年度中にもASP型サービスを提供予定

 さらにNTTコミュニケーションズは、IPv6リライアブル・マルチキャストを、ASP形式でのサービス提供を予定している。
利用企業・学校は、NTT東西のBフレッツ系のサービスを利用して一斉同時配信を受けられるので、気軽に利用でき、コストパフォーマンスも高い。NTT東西のIPv6マルチキャスト・サービスを統合し、全国をワンストップでカバーするのも、NTTコミュニケーションズのサービスならではの魅力である。

 今後、IPv6リライアブル・マルチキャストはどのような領域で活用されていくのだろうか?
チェーンストア、証券会社、予備校、大学などはもとより、従来は、ディスクを配送して納入先顧客のシステムのバージョンアップを行っていたソフトウェアベンダーも、IPv6リライアブル・マルチキャストを使えば、低コストかつリアルタイムに、確実な一斉同時配信ができるようになる。映像コンテンツの配信も変わり、映画館へのデジタルシネマ用の放映データの配信、デジタルサイネージ(電子広告)用のマルチメディアデータの配信などにも利用されるだろう。大容量データの多拠点配信は、コストと手間をかけて外部メディアで配送するものだとあきらめていたすべての企業に、革新の道を提示できるのがIPv6リライアブル・マルチキャストなのである。

Chapter5.
担当者インタビュー

配信方法やクライアント端末の多様化が進むコンテンツ配信サービスにおいて、NTTコミュニケーションズが目指す今後の展望について

担当者インタビュー
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