様々な化粧品を気軽に試してみたい―そんな女性の願いをかなえるのが、RFIDタグ(無線ICタグ)を利用した「メイクアップシミュレーションシステム」である。 近年、RFIDタグは実用化に向けて大きく動き出している。従来は、商品の在庫管理や食品のトレーサビリティー(生産履歴)管理など流通分野に用途が偏っていたが、ネットワーク技術と融合することで、応用範囲が格段に広がりつつあるのだ。NTTコミュニケーションズは、ネットワークとRFIDタグ技術を集積し、「メイクアップシミュレーションシステム」の実証実験を行い、内外から大きな反響を得た。
システム概要・特長
■ユビキタス社会の可能性を広げる「RFID」
RFID(Radio Frequency Identification)タグは、微小な無線チップにより人やモノを識別・管理する仕組みである。流通業界でバーコードに代わる商品管理技術として注目されており、ネットワークと融合することで、社会のICT化やユビキタス化を推進する基盤技術としての可能性も広がってきた。
NTTコミュニケーションズは、岡山県倉敷市の公共施設内情報流通管理や児童見守りサービス、東京都三鷹市の自転車駐輪場内管理、自律動作型サービスロボットによるショッピング支援など、RFIDタグのさまざまな実証実験に取り組んできた。
これらの実証実験にもうひとつ、「メイクアップシミュレーション」が加わった。2005年3月、NiCT(独立行政法人 情報通信研究機構)による「情報家電のIPv6化委託研究事業に関する公募」で採用された研究テーマである。
NTTコミュニケーションズは、RFIDタグと商品情報との関連付け、商品情報の管理および情報へのアクセス権限の管理などをセキュアに行うシステム「RFID情報流通プラットフォーム」を開発。このプラットフォームを活用して、デジタルファッション株式会社が開発した「メイクアップシミュレータ」というユニークなシステムを組み合わせ、新たなソリューションを創り出すという実証実験を行ったのである。
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実証実験について
■化粧品を肌に塗ることなく、実際のメイク結果をバーチャルに再現
実証実験は、今年の2月24日から3月2日にかけて、東京・世田谷区にあるドラッグストア「セイジョー茶沢通り店」の化粧品売り場で行った。実験で使用する化粧品の商品情報やサンプルは株式会社コーセーに提供いただいた。
利用者は、カメラ付きPC(メイクアップシミュレータ)の前に座り、数種類の口紅とチーク(ほお紅)の中から気に入った商品を選んで専用台(RFID読み取り装置)の上に置く。すると、選んだ化粧品で化粧をした状態の利用者の顔が、画面上に表示される。
これは、化粧品に貼ってあるRFIDタグの情報を読み取り、IPv6オープンネットワーク経由でNTTコミュニケーションズのデータセンターに設置されている「RFID情報流通プラットフォーム」から該当する商品情報を引き出してきて、顔の映像と商品情報を合成して化粧した状態を表示しているのである。「RFID情報流通プラットフォーム」を使ってネットワーク経由で商品情報を一括管理することで、商品データの変更、姉妹品の追加、生産中止情報の管理など、システムのメンテナンスが簡単にできるのである。
利用者からは、「化粧品をいちいち塗らずに確かめられるので便利」、「複数の商品を同時に試せて楽しい」と大好評。実証実験中、セイジョー茶沢通り店における化粧品の売上が伸びたという。販売店や化粧品メーカーにとっても、「商品が試された回数がRFIDタグに記録されるため売れ筋情報がわかる」、「おすすめ商品を同時に画面表示することで客単価の向上が見込める」などのメリットがあった。
RFIDタグの活用範囲は、家電、食品、医療、福祉、金融、交通など多岐にわたっている。NTTコミュニケーションズは今後も、ネットワーク技術とRFID技術を融合させて、さまざまな領域での応用化に、積極的に取り組んでいく。
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