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ICT in the Future Vol.3 高信頼で利便性の高い次世代ネットワークの実現に向けて 〜GMPLSによる40Gbpsネットワークの制御に世界で初めて成功〜

光ファイバや光波長多重技術などを用いた「光ネットワーク」が、各家庭のアクセス回線にまで普及してきた。光ネットワークは、高速・大容量の通信を実現しやすく、信頼性も高い。
さらにこの光ネットワークのポテンシャルを引き出し、様々なメリットをもたらすのが、GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)技術である。
GMPLSで制御された光ネットワークは、大規模災害などで光ファイバが切断されても、自律的に迂回経路を探し、通信を維持することができる。ネットワークの増速や経路変更も柔軟にできるため、オンデマンドなネットワークサービスも可能になる。
ブロードバンド・ユビキタス時代を迎えてネットワーク・トラフィックがますます増大するなかで、次世代ネットワークの基盤技術として期待されるGMPLS。
NTTコミュニケーションズは、GMPLSによる40Gbps※1の大容量ネットワーク制御の実証実験に取り組み、世界に先駆けて成功した。

システム概要・特長

光ネットワークのポテンシャルを引き出し、
  信頼性の向上やオンデマンド・サービスの提供を可能にするGMPLS

 ブロードバンドの急速な普及を受け、IPネットワーク上のトラフィックは増大の一途をたどっている。最近では、インターネットを使った動画配信が本格化するなど、バックボーン・ネットワークのトラフィックは一段とふくれ上がっており、前年の4倍のペースで毎年増え続けているという調査もある。通信事業者は、早急にインフラ強化対策を講じる必要に迫られているのだ。
 高速化・大容量化の進展に伴い、ネットワークの構成が複雑かつ大規模になってきている。通信事業者のネットワークは、大きく分けると、サービスを提供するIPルータにより構成されたサービスネットワークと、光伝送装置で構成された基盤ネットワークの2つで構成されている。現状、これらのネットワークの制御方法は異なり、これらのネットワークにまたがる作業は人手によることが多い。ときには、折角の大容量ネットワークの持つポテンシャルを活かしきれていない状況も生じている。

 GMPLSは、IPネットワークで用いられてきたMPLS(Multi Protocol Label Switching)を「Generalized」(一般化)するものだ。MPLSは、IPパケットに「ラベル」と呼ばれる短い固定長の信号を付与して、経路選択(ルーティング)をする回線制御技術である。ラベルさえ見れば、そのパケットの出力先が即座にわかるため、ルータの負荷軽減ができ、細かい品質制御も行なえることから、高速で信頼性の高いIPパケットの伝送ができる。IP-VPN※2の世界では、MPLSが標準的な技術となっている。

 GMPLSは、IPレイヤの制御技術であるMPLSを、伝送、波長、光ファイバといった基盤ネットワークのレイヤまで拡張したものだ。IPにより構成されたサービスネットワークと、光伝送装置で構成された基盤ネットワークとを融合する技術だと言い替えてもいいだろう。その特徴は、従来は別々に構築・制御されてきたレイヤの異なるネットワークを、エンド・ツー・エンドで統合的に制御できることにある。

 GMPLSでエンド・ツー・エンドの制御を行っている光ネットワークでは、ネットワークが自律的な制御機能を持つため、結果として高信頼なネットワークを実現できる。たとえば、基盤ネットワークの一部が切断された場合には、ネットワーク装置同士が共通の言語であるGMPLSを通じて相互に通信し、故障箇所を迂回するルートを自ら探し出して、通信を維持してくれる。この機能により、地震や台風などの災害により大規模なネットワーク障害が発生した場合でも、自動的に迅速な復旧が可能となる。まさに、情報化社会の生命線であるバックボーン・ネットワークに不可欠な機能である。

図 従来のネットワーク設定 ネットワークの異なる層(レイヤ)ごとに、オペレーターが手動で設定作業を実施
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図 GMPLS技術による自動ネットワーク設定 装置同士が互いに通信し、ネットワークを自動的に設定
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 オンデマンド・サービスの可能性も広がる。
 2つの拠点のルータの間を回線でつなごうとするとき、現状では両者の間に存在するIP網、SDH※3網、WDM網※4などレイヤごとに、オペレーターが手動で設定・開通作業を行うため時間がかがる。ところがGMPLSを導入すると、一回の設定作業でネットワークをまたがる設定が行われ、自動的に2拠点間の通信が開通する。これまでは、回線の容量を増やしたり、接続先を変更するには、いったん接続を切って、設定をやり直していたが、「今日は動画配信サービスをするので、この大容量回線を使おう」、「データセンター間でデータの複製を作るので、夜間だけデータセンター間を接続する経路を選ぼう」といった具合に、利用したいネットワークの帯域や経路をオンデマンドで柔軟に選べるようになるのである。


●GMPLSの仕組みや特徴を動画で分かりやすくご紹介します。

GMPLSとは?
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GMPLSとは?
(5分17秒)

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実証実験について

GMPLSによる40Gbps光ネットワークの制御に世界で初めて成功。
  実用化に向けて着実に前進

 GMPLSに対応する通信機器も登場し、すでにGMPLSは実現可能な技術である。しかし実用化に向けては、ただ動作するというだけでなく、安定したサービス提供の前提となる運用環境の整備や、様々な装置の相互接続性の検証など、数多くの課題を克服していくことが必要となる。技術の有効性を証明するための実験・実証の積み重ねが極めて重要となるのである。

図 GMPLS技術による自動障害回復
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 NTTコミュニケーションズは、GMPLSの実用化に向けた様々な実証実験に取り組んできた。その一つが、2005年春に実施した大規模災害対応の実証実験である。この実験では、東京と大阪をGMPLS制御の光ネットワークで結び、最初に設定した経路に擬似的に故障を発生させたところ、自律的に別の経路に切り替わることを確認することができた。


図 GMPLS技術による大容量40Gbpsネットワークの制御[Interop Tokyo 2006]
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 2006年6月には、複数メーカーのルータと光クロスコネクト※5で構成された40Gbpsもの大容量ネットワークを、GMPLS技術を使って制御することに世界で初めて成功した。このネットワーク環境は、幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2006」で利用され、実用レベルのサービスを提供できる実証とすることができた。


 このように、GMPLSの実用化に向けた取り組みは着実に成果を上げてきている。Interopの実証実験でも、異なる装置を一元的に制御する取り組みを通じて、オペレーションにおける課題が明確になったことが、大きな成果であった。

GMPLSはもともと、異なるレイヤの装置が連携して通信するための標準化された共通言語であり、異なる装置で構成されたネットワークにおいても統合的な制御が実現できるところがポイントだ。マルチベンダーの機器の使いこなしということでは、標準技術をベースとしながら、大容量のデータ伝送、インターネット、企業ネットワークの提供に豊富な経験を積んできたNTTコミュニケーションズのノウハウが活きる。先進技術にNTTコミュニケーションズの経験が加わることで、次世代の高速ネットワークサービスをこれまで以上に高い信頼性のもとで提供できるようになるのである。

担当者より一言

GMPLS Generalized Multi-Protocol Label Switching

NTTコミュニケーションズの取り組みと今後の展望について
〜使いたいときに、使いたいネットワークを使えるようになるのがGMPLSの魅力〜

NTTコミュニケーションズ株式会社
先端IPアーキテクチャセンタ
ネットワーク基盤プロジェクト
新留 憲介

 私は入社以来3年半にわたり、GMPLSに取り組んできました。その課題も、魅力も、よくわかってきたところです。たとえば、Interopにおける実証実験では、異なる装置間を集中制御はできることはわかったものの、その都度異なるコマンドを打ち込まなければならない弊害に気づき、GUIベースで効率よく管理のできる監視ツールを急いで開発しました。
 こうした問題を乗り越えるときに、常に心がけているのは、標準技術を使うということです。標準技術であるGMPLSをベースに我々のこれまでの経験に基づく独自技術を組み合わせて、これからの通信インフラを支えていきたいと考えています。
 GMPLSの最大の魅力は、ネットワークの信頼性を向上させることと、オンデマンドなネットワークサービスを実現できることです。使いたいときに、使いたい場所で、使いたい帯域のネットワークを自由に使える―そのような利便性の高いサービスの実現を目指して研究開発に取り組んでいます。

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※1 Gbps: 1Gbpsは、1秒間に10億ビットのデータを送れる通信速度。40Gbpsは、毎秒400億ビットのデータを送れる通信速度
※2 IP-VPN:Virtual Private Network。広域IP通信網上に、仮想的に構築する、閉じたネットワークのこと。インターネットを利用せず、通信事業者が独自に構築した閉域IP網を利用するためセキュリティに強い。
※3 SDH網:Synchronous Digital Hierarchy。インターネットサービスプロバイダ間を結ぶ回線などに用いられる光ファイバのネットワーク。SDHはOSI参照モデルの物理層に相当する。
※4 WDM網:Wavelength Division Multiplex。光波長分割多重装置で構成された光ファイバのネットワーク。おもにバックボーン回線で用いられる。
※5 光クロスコネクト:光信号のままスイッチングを行う通信装置


関連リンク

ニュースリリース:GMPLS技術による大容量40Gbpsネットワークの制御に世界で初めて成功

ニュースリリース:次世代IPネットワーク技術(GMPLS技術)を適用したオンデマンドネットワーク設定および自動障害回復の実証実験に成功

ニュースリリース:次世代ネットワーク技術(GMPLS技術)を用いた映像伝送とデータ通信の統合ネットワーク実験について


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松野 泰也准教授

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