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Chapter3.
3Mbpsの帯域で低遅延かつ安定した高画質映像伝送を実現
〜実験を支えたネットワークについて〜
◆既存技術と先進技術の効果的な組合せにより最先端ICT環境を実現
今回の実験は生命を預かる医療分野であるだけに、映像などの情報が遅れたり途切れたりすることなく、正確かつ確実に伝わることが重要であるため、実験のシステム・ネットワークには低遅延、高画質に加え、安定性が求められた。
NTTコミュニケーションズは、H.264の高圧縮技術、あるいは、映像の一部の注視領域の画質を高め、他の領域の画質は相対的に抑えた伝送をするRegion Of Interest(ROI)技術(開発元:NTT研究所)など、数多くの先進技術を組み合わせて、わずか3Mbpsの帯域で、リアルタイムな遠隔医療が実現できるICT環境を実現した。
国内ではすでに、数十Mbpsの帯域を確保して遠隔医療に取り組む医療機関もあるが、アジア地域でそれだけの帯域を確保するのは現実的に難しい。今回の実験により、わずか3Mbpsで遠隔手術まで安心して行えるのが実証されたことは、グローバルに見て大きな意義があるのだ。しかも、業界特化型の特殊技術ではなく、先進技術ではあるが汎用性のある技術を採用しているところに、実現性の高さが現れている。
その一例として、タイムディレイの少ない双方向リアルタイムコミュニケーションを実現するためには、圧縮効率の高い動画圧縮規格であるH.264を採用し、ソフトウェア型の動画配信(ビデオ会議)システムとして高水準の映像/音声品質を誇る「WarpVision」という製品を使っている。
◆現地法人と一体になってワンストップのエンジニアリング力を発揮
実証実験のネットワークの中核として採用したのは、JGNII(※注)である。
タイ国側では、チュラロンコン大学の学内ネットワークを、タイの国内研究用ネットワークThaiSarnを通じてJGNIIの国際ネットワークに接続した。日本国内では、九州大学の学内ネットワークをJGNIIの国内ネットワークにつないだうえで、JGNIIの国際ネットワークに接続した。
このように、品質も、管理形態も、運用ポリシーも異なる複数の国のネットワークを一本につなぐためには、グローバルなエンジニアリング力が不可欠だった。
例えば、チュラロンコン大学とタイの国内研究用ネットワークThaiSarnは以前からつながっていたが、実験中にネットワーク遅延が生じないような経路制御を設定する必要があった。また、経路制御やネットワーク運用を考慮したIPアドレス設計を行うなど、物理的にも論理的にも実験の円滑な実施に最適なネットワーク構築を行った。

図:本実験のネットワーク構成イメージ
このような技術面の課題には、日本国内とタイ現地法人(NTTコミュニケーションズ タイランド)が連携してこれに対応した。NTTコミュニケーションズは、ソリューションサービスまで自社で実行できる技術力の高い海外拠点を多数有しており、今回も、タイ現地法人がタイ政府の研究機関やチュラロンコン大学と一体になってプロジェクトを推進した。
技術面だけでなく、長年の実績と経験から得た各国キーパーソンとの良好な関係も活きた。NTTコミュニケーションズが、ブロードバンド・ネットワークのワールドワイドでの普及に取り組むなかで培ってきたタイの研究機関やチュラロンコン大学職員を含む貴重な人脈も、各種の調整をスムーズに進行させる大きな成功要因となった。
このように、NTTコミュニケーションズは、ネットワークからアプリケーションまで幅広く対応し、プロジェクト全体をワンストップでサポート。プロジェクトの企画という上流段階から、ネットワーク・システム構築、プロジェクト実施・運用、評価測定まで、グローバルな活動を行っている。
※注
JGNII:Japan Gigabit Nework 2。研究開発を主な目的とする日本の高速光ファイバーネットワーク。独立行政法人情報通信研究機構が運営し、研究用途で産学官へ開放。通信関連のさまざまな実験に利用されている。(JGN2は2008年4月よりJGN2plusとして運用中) |