◆NGNならではのQoS技術がベース
NTTコミュニケーションズは、NTTグループが実施しているNGNフィールドトライアルに合わせ、NGNショールーム『NOTE』に災害時安否情報共有サービスのシステム展示を行っている。
災害時安否情報共有サービスの実用化に際しては、NGNならではのQoS(Quality Of Service:通信品質を確保するための帯域制御技術)機能が重要だからである。安否情報を確実に集約するためには、高精細な映像であることが望ましい。災害発生時にもセンターとの間で帯域確保を行い、高精細映像を送受信するのがQoS機能を実装したNGNだ。
現在のQoS機能は、基幹業務のレスポンスやIP電話の音声品質を確保するために、企業通信網内において、あらかじめ設定しておく機能として用いられている。
これに対してNGNでは、企業や家庭をつなぐ公衆回線サービスでQoSを設定できる。しかも、全国の利用者の中からその時点で接続したい相手を選択して、その通信用にQoSを設定できるのだ。通常はベストエフォート通信で利用しておき、必要なときだけ、必要な帯域を確保して通信するため、企業や家庭での料金負担が少なくて済むことも、NGNで提供するQoS機能の魅力である。
◆NTTコミュニケーションズが積み重ねてきたHD映像通信技術
映像解析の効率を高めるために「高精細な映像をNGNで送信する」ところにも、NTTコミュニケーションズならではの技術が用いられている。
NGNは確かに広帯域で、大容量データの送信に適している。しかし、ハイビジョンテレビと同等の高精細な映像データを送信するには、高速なIP化・パケット化の処理が必要である。NGNのフィールドトライアルでは、このHD映像 (High Definition映像:高解像度映像)のIP配信についても、実験が重ねられている。
◆映像情報活用に大きな可能性をもたらす顔認証(顔検出と顔照合)の技術
センターでは、「顔認証」技術、具体的には、「顔検出」技術と「顔照合」技術という2つの先進技術が利用されている。
顔検出技術とは、建物や植物などさまざまな背景が映っている映像の中から、人間の顔を識別し、画像として抽出する技術である。一方、顔照合技術とは、2つの顔画像を比較照合し、類似度を評価する技術だ。この「顔検出」と「顔照合」の技術を組み合わせることで、「顔認証」が実現される。
「顔検出」技術は、NTTの研究所で生まれた基礎技術を、NTTコミュニケーションズが応用し、磨きをかけたものだ。
画像から効率的に顔固有の特徴を抽出し、判別するという高度技術を、センターの映像分析アプリケーションに応用することで、ハイビジョンクラスの大きな画像の中から、複数人物の高速な識別を可能としている。1画面に10〜15人ぐらい映っている映像から、1画面につき1秒の時間で解析作業を完了できる。
次に、「顔照合」技術は、通貨処理技術を蓄積してきたグローリー株式会社の最新技術である。この技術も、高速処理と識別率の高さを特徴としている。数千件のデータベースから、1枚の顔画像と適合するものを抽出するのにかかる時間はわずか1秒以下であり、正面顔同士の照合であれば上位ヒット率は99%以上だ。
◆NGNと映像解析技術が生み出す映像活用のパラダイムシフト
映像の中には、人の情報に限らず、当地の天気の具合や混雑・渋滞状況、植物の成長過程など、多様な情報が含まれる。映像を解析することで、様々な情報を抽出することが可能なのだ。NGNが全国に普及する時代には、誰もが手軽に映像を送ったり受け取ったりすることが可能になる。
その時にはおそらく、映像の活用スタイルにパラダイムシフトが起きるであろう。多様な意味を含む映像を分析、解析して新たなビジネスを創造する営みや、新しいデータマイニングやマーケティングの手法も生まれるかもしれない。
NGNが加速するこうした「映像活用新時代」への一歩が、災害時安否情報共有サービスなのである。 |