
中国での営業窓口の一元化を目指し
ビルの1フロアにグループ各社を集結
異なる会社が同じLANに接続して
情報連携とセキュリティを両立
セキュリティのレベルアップにも有効
上海モデルを中国の多拠点にも展開
中国での営業窓口の一元化を目指し
ビルの1フロアにグループ各社を集結
製造業における設備(プラント)の監視・制御といったインダストリアルオートメーション事業を中核に、成長が著しい半導体や通信・マルチメディア機器などの開発・生産向け測定器事業にも注力している横河電機グループでは、トータルソリューションの提供に向けたグローバル規模の組織改革を推進している。
同社では、さまざまな分野に向けた豊富な製品とサービスを提供しているが、それらを組み合わせたトータルソリューションのさらなる充実を目指している。同社コーポレート・マーケティング本部 情報システムセンター長 今川克巳氏は、次のように説明する。
「当社グループは、プラントの操業に必要な多くの製品やサービスを提供していますが、グローバルな広がりを見せるお客様のビジネス要求に答えるべく、横河電機もグローバル規模でグループの総合力を融合させた、真のトータルソリューションの提供を目指しています。そのためには、組織が違っても横河電機はひとつでなければなりません。そのインフラとなるのが、情報共有の仕組み、つまりネットワークです」(今川氏)
同社は、グローバルでの組織融合を支えるインフラの整備を、北米と欧州に続き、アジアの成長市場である中国においても実施。そして、NTTコミュニケーションズの「ArcstarグローバルIP-VPNサービス」を導入して、中国の各拠点と日本とを結ぶ基幹ネットワークを構築した。今川氏は、「当社は、日本国内のほか、米国でもArcstarグローバルIP-VPNサービスを導入しており、これまでの実績を評価しています。その結果、中国でもNTTコミュニケーションズのArcstarグローバルIP-VPNサービスを導入しました」と説明する。
同社は、中国の主要拠点をハブ拠点である蘇州工場とつなぎ、そこからArcstarグローバルIP-VPNサービスで日本と接続している。さらに他の拠点も、インターネットでネットワーク化した。しかし、横河電機 中国総代表を務める笹田 学氏は、「中国では8社、30拠点を展開しており、グループの総合力を発揮するには、情報共有だけではなく人の交流も必要です」と説明する。この笹田氏の提案によって、同社は中国各社の営業部門を上海に新設するオフィスの1フロアに集結させ、顧客との窓口を統合することを決断した。
異なる会社が同じLANに接続して
情報連携とセキュリティを両立
営業窓口の統合において課題となったのが、ネットワークでやり取りする情報のセキュリティだった。横河電機(蘇州)有限公司 情報システム部 中国IT統括責任者 田村和夫氏は、「いくら業務を融合するとは言っても、組織は異なるわけですから管理は個別に行う必要があります。例えば、製品やサービスの提供価格や、お客さま情報などは、それぞれ個別の守秘義務契約があるため、異なる会社が同じLANに接続して、ユーザー全員が同様に利用できる環境ではリスクが大きい」と説明する。
ただし、LANを物理的に切り分けるには、各社ごとにサーバや機器が必要で、コストやスペースの無駄が生じる。また、将来の組織変更を考慮する必要もあった。従来、中国では、外資による独資法人が認められていなかったため、拠点ごとに合弁会社を設立しなければならず、組織が複雑になっていた。
こうした課題解決に向けて田村氏は、「当初より、仮想的にLANを切り分けられる認証VLANの導入を検討していました。認証VLANは、ファイルやアプリケーションレベルでの認証にとどまらず、ネットワークレベルで職位や業務ごとに利用できるネットワークを制限できるため、当社の事情に最適だったからです。組織変更の際も、ネットワーク構成を変更することなく、利用権限の設定を変更するだけで柔軟に対応できます」と語る。
ただし、認証VLANの導入には、期待とともに不安もあった。今川氏は、「認証VLANは比較的新しい技術で、導入には高度な技術力が求められます。日本での導入事例はありましたが、検討当時、当社での導入実績がなく、中国で実現できるのかという不安もありました。しかし、当社が抱える課題の唯一の解決策であったことと、NTTコミュニケーションズの当社における実績を信頼して、横河情報システムズを通じて導入しました」と説明する。
セキュリティのレベルアップにも有効
上海モデルを中国の多拠点にも展開
認証VLANの導入によって、ユーザーの利用権限を個別管理できるようになり、同一のLAN上に異なる会社のユーザーが混在しても、セキュリティを確保できるようになった。さらに、組織変更への対応にも、認証VLANの効果が発揮された。当初、上海オフィスでは、会社ごとにスペースを分けていたため、同じ業務を各社が個別に処理していた。そこで、業務単位で机をレイアウトすることで、組織を超えた業務連携の実現を目指した。
その際、1つのグループに異なる組織が入り混じることになるが、「認証VLANのお陰で、情報や業務を個別に管理できてセキュリティを保てました」(笹田氏)と言う。情報と業務の組織を超えた相互連携とセキュリティを両立した結果、中国における顧客対応力を大幅に向上させるとともに、グループの総合力を活かした提案が行えるようになり、顧客満足度の向上も期待されている。
こうした上海オフィスでの認証VLAN導入の成功を受けて、同社は中国の別の拠点への導入を現在進めている。その目的について今川氏は、「当社グループでは、One Global YOKOGAWAというスローガンの下、ネットワークをグローバルで一元運用して業務連携を図るという構想があります。しかし、世界の各地域の拠点を同一のネットワークに接続するには、セキュリティレベルを均一にする必要があります。特に、アジア地域のセキュリティ確保が課題でした。その解決策としても、認証VLANが有効でした」と語る。
認証VLANは、不正ユーザーや持ち込みPCの接続を排除でき、ウィルスや不正アクセスの脅威も解消できる。これを中国の各拠点に導入すれば、セキュリティレベルを容易に引き上げられると考えた田村氏は、「上海と同様のシステムを展開すれば、運用ノウハウを蓄積しやすく、運用の効率化とともにシステムの信頼性も向上させられます。さらに、全ての導入拠点の保守・運用をNTTコミュニケーションズに一任でき、サービス品質を向上させられ、事業継続性への効果も期待できます」と語る。
こうした期待を受けて、現地ではNTTコミュニケーションズ(中国)と上海及び北京の現地合弁会社(SNTE、BNTE)のグループ3社も加わり、同社の認証VLANのほか中国国内のWANからPBXやLAN構築まで、ネットワークに関する万全のサポート体制を提供している。
実際、2006年末に発生した台湾地震の際、日本と中国大陸を結んでいる多くのネットワークが不通になったにもかかわらず、ArcstarグローバルIP-VPNサービスはサービスを継続し続けた。今川氏は、「インターネットは全て不通となりましたが、ArcstarグローバルIP-VPNサービスに接続された中国の拠点は、パケットロスは生じたものの通信が切断されることはなく、通常通り業務を遂行できました」と説明する。
NTTコミュニケーションズをICTソリューションパートナーに選んだ横河電機グループでは、アジアの成長市場である中国
においても、日本と同レベルのインフラの整備を完了しつつある。今後、中国のみならずアジア各国、さらに欧米を含めた同社のグローバルネットワークを一元運用することが、NTTコミュニケーションズに期待されている。それが、同社が目指す、One Global YOKOGAWAの実現につながるのだ。
お客さまプロフィール
横河電機株式会社
本社:〒180-8750
東京都武蔵野市中町2-9-32
TEL(0422)52−5555 (総務部ダイヤルイン)
設 立: 大正9年(1920年)12月1日
資本金: 434億100万円
従業員数: 17,858人(連結) 5,212人(単独)
事業内容:
・制御事業
・計測事業
・その他事業
※いずれも2006年3月31日現在
「ArcstarグローバルIP-VPNサービス」
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