
電話を起点とした業務革新を実施
松下電器産業(株)が電話環境の全面刷新を検討した理由は、お客さま接点の最前線であり業務のインフラでもある電話を革新することが、お客さま本位の姿勢を確立するために重要な第一歩となると考えたからだ。従来、得意先などからの電話を取り次ぐ際、担当者が別のフロアや他の拠点にいた場合、お客さまを待たせてしまうことがあった。また、電話の取り次ぎに費やす時間は、オフィスの生産性低下の一因でもある。
さらに、電話関連設備にかかるコスト負担も問題だった。同社は、468台のPBXと約8万台の電話機を運用していた。しかし、調査当時、運用中のPBXのうち40%以上がすでに償却期間を経過していた。 同社 コーポレート情報システム社 グループマネージャー 戝津良和氏は、「PBXへの大規模な投資に迫られていましたが、PBXは償却期間が長く、今後の技術革新にも対応できると考えたのが、IPセントレックスの導入でした」と説明する。
そこで同社は、PBXの大規模な更改時期に合わせて、IPセントレックス(企業向けIP電話サービス)の導入を検討したのだ。
同社は、全社規模での解決策を検討し、IPセントレックスの導入に向けて「全社IP電話化推進委員会(委員長:本社総務グループマネージャー、副委員長:本社情報企画グループマネージャー)」を設立。経営トップ、利用部門、構築部門の三位一体の体制に事業推進部門を加えて電話インフラの革新に臨んだ。そして、導入を検討したIPセントレックスは、将来的に8万台もの端末を収容する電話設備を、ワンストップでアウトソーシングするという、前例のないきわめて大規模なプロジェクトとなった。
すべての電話を任せられる信頼性を最優先
同社が取り組んだプロジェクトを成功させるには、IPセントレックスのサービス選びが重要なポイントとなる。同社の8万台にもおよぶ大規模な電話インフラを支えるサービスとして選ばれたのが、NTTコミュニケーションズの企業向けIP電話サービス「.Phone IP Centrex」だった。その要件について同社 情報企画グループ 政策・制度担当参事 阿曽伸一氏は、「企業にとって、電話はインフラ中のインフラです。当社のすべての電話をお任せするのですから、サービス選びは信頼性が最優先です」と語る。また、導入の決め手について戝津氏は、「世界規模のIPネットワークを保有し、IPセントレックスと回線、そして保守・運用までワンストップで提供できること、全国に拠点を展開してサポート体制を確立していること、さらに100年以上にわたって電話インフラに携わってきた実績とノウハウを評価して、NTTコミュニケーションズならば当社の電話インフラを任せられると判断しました。また、NTTコミュニケーションズの設備は、冗長化など災害対策も万全で、安心して当社の電話インフラをお願いできます。実際に導入したところ、期待通りの信頼性に満足しています」と説明する。
IPセントレックスにPHSを組み合わせることも、顧客満足度向上とワークスタイルの変革に向けた重要な要件だった。同社 総務グループ オフィス改革チーム チームリーダー 中山 明氏は、「IPセントレックスにモバイル端末を組み合わせれば、デスクにいなくても本人に直接電話ができること、それに伴い取り次ぎも不要になること、固定電話が不要になること、人事異動時の配線工事などが不要になること、さらに他の拠点でも外線・内線電話を発着信できることなど、多くのメリットがあります」と説明する。
ただし、IPセントレックスとPHSを組み合わせた導入も、前例のない新たな挑戦だった。そこで、PHSを開発・運用してきた同社のノウハウと、NTTコミュニケーションズの技術力を組み合わせ、共同でシステムをPHSに対応させたのだ。
導入後2年間で40億円のPBX更新投資の抑制
2005年6月より本格導入が開始され、PBXの償却時期を目安に順次、展開を広げている。そして、2006年10月現在、33拠点、端末2万4,000台の導入が完了している。導入に際して戝津氏は、「PBXや電話機を事業所ごとに導入・運用していたため、複数の電話機種が存在しオペレーションが困難な状況となっていました。しかし、あえて全拠点で機能を統一して利用方法を標準化することで、業務の全体最適を狙いました。また、PBXと異なりIPセントレックスは設備を一元管理でき、端末の機能統一と合わせて、運用の効率化も図ることができます」と説明する。
2007年3月末までに4万台の導入を計画している同社では、すでに大きな導入効果が得られている。阿曽氏は、「IPセントレックスのコスト効果は、拠点間の通話が無料になることよりも、PBXへの設備投資を抑制でき、設備を保有せずに済むことのほうが大きいのです。今後も導入が拡大してPBXの台数が減ることで、さらなるコスト効果が期待できます。さらに、レイアウト変更に伴う配線工事費の削減など運用の負担軽減にもつながっています」と語る。そして導入から約2年間で40億円ものPBX更新投資の抑制を予定しているのだ。
業務革新への効果も期待通りだった。端末にPHSを採用して050番号を割り当てることで、社員個人へのダイレクト着信を実現。その結果、自席に不在でも、直接電話を受けられるようになった。さらに、出張先の事業所でも自分の050番号で内線・外線電話ともにダイレクト発着信できるローミング機能も実現している。
中山氏は、「お客さまとのコンタクト機会損失が大幅に減りました。また、社内連絡もスムーズになり、コミュニケーションの活性化にも役立っています」と説明する。
戝津氏は、「.Phone IP Centrexを導入したことで、ワークスタイルにも様々な変化が表れています。例えば、PHSとスピーカーフォンによって、場所を問わず気軽に電話会議が行えるようになりました。また今後の在宅勤務などにおいてソフトフォンを活用することも検討しています」と説明する。
今後も、松下電器産業の止まらない業務革新を、信頼性の高いIP電話ソリューションで支え続けることが、ICTソリューションパートナーであるNTTコミュニケーションズに期待されているのだ。
お客さまプロフィール
松下電器産業株式会社
本社:〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006番地
TEL 06-6908-1121
設立:昭和10年12月(創業 大正7年3月)
資本金:2,587億4,000万円
売上高:8兆8,943億円(連結)/4兆4,726億円(単独)
従業員数:33万4,402名(連結)/4万5,658名(単独)
事業内容:部品から家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器、および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカー。
※いずれも2006年3月31日現在
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