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牧野二郎弁護士コラム 内部統制事始め
Vol.19 目標がきまれば、成功したようなもの
目標設定の重要性

「目標がきまれば、成功したようなもの」ある会合で、有名な大学教授がポロリとおっしゃった言葉です。目標が明確であれば、そこにたどり着く道を決めることができるし、道が決まれば、あとは歩き出すだけ、というわけです。問題は目標設定にあるということですね。

しかし、目標と現実とがあまりに乖離していて、到底実現できないようなものを設定しても、それではだめなのです。無理な目標を設定するのではなく、実現可能な、その先を考えるということ、努力すれば確実に到達できるところに目標を設定することが重要なのだと思います。

内部統制も、実は目標設定が重要です。どのような目標を持つのか、何を実現しようとするのか、をはっきりと設定することが必要でしょう。この、どのような目標を持つか、ということが企業にとっての「戦略」といわれるものだと思います。戦略なき闘い、といわれることがありますが、会社に例えると、それは企業としての目標が無く、ただ惰性で事業を継続しているだけの状態になります。そうなれば、企業としての存在価値も危うくなってきますし、そのような状況が長く続けば、社会から自然に淘汰されてしまいかねないのです。

内部統制の実施基準の中でも、具体的課題、目標を持つことが求められています。具体的課題や目標に向かって努力が積み上げられたとき、企業は大きく成長し、活き活きと活動できるようになるのです。内部統制は企業を活性化し、効率化し、永続性を確保するための制度整備なのです。

いかにして戦略を立てるか
では、企業はどのような目標、すなわち戦略を持つべきなのでしょうか。

まずは起業の精神を見直すことが必要でしょう。企業には、起業する際に定めた大きな目標や夢、言葉を変えれば起業の精神というものがあるはずです。そういった夢や精神は、漠然とした内容でも、改めて読んでみると、背筋がぴんとするようなもののはずです。それは企業が向かうべき方向性をはっきりと示しているからなのです。

次に必要なのは、現実認識です。先ほどの大きな夢と現実との関係を見つめる必要があります。漠とした夢だけを追っていても、果たしてそれが今成功しているのか、良い方向に進んでいるのか、どの程度の成果をあげているのか、といったことは分からないものです。そこで、夢を現実にするための、達成可能な具体的な目標が求められるはずです。そのような目標を定めるためには、現実を正確に認識することが重要です。今、企業はどこにいるのか、市場の中でどのような位置を占めているのかについて、正確な判断が必要です。さらに、自社の強みは何で、弱みは何か、何が供給できて、何が足りていないのかといった自己分析が必要でしょう。

三つ目に、顧客や取引先が何を望み、自社に何を求めているかを認識することです。企業として社会的に存在し、様々な関係を持っているのですから、その関係の中で期待され、求められることがあるはずです。その希望や要求をどこまでかなえられるのか、どうしたら満足してもらえるのか、期待に応えるにはどうすべきかを議論しなければなりません。社会に貢献すること、人々の役に立つこと、そのために努力する組織であること、それらを満たすような企業だからこそ存在価値があるのだと思います。 つまりは、何が求められ、何をなしうるのか、しなければならないのか、を明確にすることです。 この作業で到達点、行くべき地点がはっきりします。具体的な目標が定まるわけです。

まず起業の精神や企業の夢を思い返すことで大きな方向性を定め、次に現在の企業の地位、現状を分析し、最後に求められているものを見定めて、具体的目標を設定する。こうして、企業の内側も外側も理解してゆく中で、目指すべき目標、それを実現するための手法などが、戦略として定まってくるのです。これを企業の目標、すなわち戦略と呼んでいるのです。これが決まれば、もう、目標は実現したも同じ、というわけです。現実的で、具体的な戦略が定まったわけですから、そのための個々の戦術を立てて、段取りをして、進むだけです。進めていく中で、状況には様々な変化があるでしょうが、目指すべきところはしっかりしているのですから、揺らぐことはないはずです。

業に生きる

牧野二郎 企業にとって戦略は生きる糧だと思うのです。人が生きがいを持つように、企業は企業としての生き様を明確にすべきなのです。単に利益を上げるだけの組織であれば、企業などという呼び名はふさわしくありません。業を志して、業を行うのですから、社会のために、人々のために業を提供する姿勢が求められているのです。

「業に生きる」そのような気概を私自身持っていたいと思いますし、企業にも持っていて欲しいものです。