
現在、内部統制はなかなか進まない、というのが企業の本音のようです。それもそのはず、大変複雑で、錯綜しており、作業は大変過酷なものとなっています。文書化ひとつとっても、業務の内容を文書にまとめるのは相当膨大な作業を必要とします。一度で簡単にできるものではなく、変化の多い業務内容を総て洗い出すのは非常に厳しいでしょう。しかもその作業は、通常業務の合間を縫って進めますから、過労を伴うものとなります。思った以上に大変、といったところでしょう。
こうして大きな苦労をかける文書化、その成果である大量の文書ですが、それ自体は複雑怪奇で、とても整理できないような代物となっているのではないでしょうか。 「文書化はしたけれど」という悲鳴をあちこちから聞くのです。 これは、ちょっと変ですね。何かが間違っているのではないでしょうか。
内部統制で重要なのは、見える化だといいます。そのための文書化だと言ってきました。しかし、現実に起きているのは、大量の文書化と、それに伴う「見えない化」です。 文書を作れば作るほど、ますます実態は見えなくなっていく、というわけです。 紙の量が増えれば、その内容は量に反比例して徐々に見えなくなるはずです。これが道理というものですね。その結果、内部統制はますます見えない化が進んで、混乱の元となり、つまらないものになってしまうのです。 文書化の本来の目的は、透明化、見える化であったはずです。見える化に貢献しない文書化は、ちょっと考え直してみるべきでしょう。
見える内部統制実現のために、まずどうしたら見えるのか、どうしたら違いが分かるのか、を考えましょう。内部統制は、現状を変えるためのものですから、変えるべき現実を見つけましょう。つまり問題発見ですね。効率の悪い部分、無駄と思える部分、皆が危険と恐れる部分など、課題の大きいところが分かりやすいでしょう。そのような課題を発見できたら大成功です。改善の可能性が大きいのですから、成果がめきめきと見えるようになるのです。変わること、違いが見えてくれば内部統制を実施することの意味が実感できるはずです。わたしはこれを「楽しい内部統制」と呼んでいます。
では、どうすれば変化が見やすいところ、改善の余地の大きいところを発見できるのでしょうか。高いところから漫然と見ていたのでは、何も見えてきません。まずは現場を担当している人が、苦しんでいるところ、悩んでいるところ、困っているところを探すのです。その原因は複数あるかもしれません。原因追求が困難な場合も多いでしょう。それでも変えたい、変わってほしいという部分であれば、変わったときの意味が大きいのですから、やりがいがあります。
こうして課題が発見できたら、その課題の克服のために業務を洗い出して、ポイントだけを文書化して、解析します。これも現場で行うのが良いでしょう。担当者がなぜそうした作業に拘泥するのか、なぜ改善、変更できないのか。その理由を明確にしてゆきます。それが文書化のポイントです。文書化は、無駄や危険を明確化するためのものです。見えるようになったとして、それだけではまだ十分とは言えません。一旦文書化したら必ず解決する、と言う決意で臨みましょう。そして、現実を変えていくのです。
変わっていく現実を見た人は、どう感じるでしょう?内部統制で現実が変えられるという発見はとても楽しいことです。業務を変えることで働く人の生活が変わるなんて、すばらしいですね。こうしてすべてが良い方向に回転し始めるのです。
見えないような内部統制は、本物ではないのです。見える内部統制にすれば、違いが分かるのですから、みんなわくわくしながら内部統制を進めてくれるはずです。 「楽しい内部統制」、これを合言葉に工夫してみてください。