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牧野二郎弁護士コラム 内部統制事始め
Vol.15 必然を紡(つむ)ぐ
内部統制はよくないもの?

「内部統制」という言葉がよくない、といわれてきましたが、本当によくない言葉ですね。いったい誰がこんな配慮のない、不正確な言葉を使いはじめたのでしょうか。私の知っている限りでは、終戦後の混乱の時期に、企業の強化と財務の適正化を図ることが望まれて、その時初めて「内部統制」といった言葉が使われたということです。ちょうどこの頃、公認会計士の制度、企業の監査制度が生まれたわけです。従って、言葉が生まれた頃は、企業内部での不正や財務の粉飾を防止するための厳しい規制、指導を意味していたのだと思います。参考として、古い言葉ですが、物価統制とか家賃統制というのがありました。いずれも自由な活動を規制して、ある枠内に押しとどめるといった意味合いです。ここからすれば、「内部統制」の語感は、暗いもの、厳しいもの、息の詰まるものといったものになります。

段取りがうまくいった時の達成感

事業活動をしていて、厳しい時期も多いですが、丹念に段取りを重ね、その成果が見えてきて、最終版に期待通りの結果を得たときの達成感は、何にも代えられないものです。仕事をしていてよかった、と感じるのはそんなときです。

私は、「内部統制」の、言葉の語感はともかくとして、その真に意味するところは、計画的に段取りを行って、確実に成功をつかみ取るノウハウだと思うのです。企業が、自らの現状を正確に読み取り、その上でそれを基礎に目標を決める。決めた目標に向かって科学的に段取りを行って、必然的に成功をつかみ取り、その報告をする。その過程や報告そのものこそが「内部統制」であると思うのです。

いくつもの事業が同時に進行し、それらが科学的な、計画的な段取りを整えて、次々と成果を上げてゆく、と考えただけでわくわくするではありませんか。科学的な戦法で政権を握った戦国時代の武将のように、山の上から戦果を見る快感はたまらないものがあるでしょう。軍記物はそんなところがおもしろいのではないでしょうか。私も大好きな「坂の上の雲」のおもしろさは、主人公秋山好古、秋山真之兄弟の合理的で、科学的、そして情熱的な生き方であるとともに、司馬遼太郎の鋭い分析、科学的、合理的な推論や説得力ある展開だと思うのです。

必然こそがおもしろい

牧野二郎 何も計画しない、偶然を楽しむおもしろさもあるでしょう。 しかし、将棋や囲碁、あるいはスポーツでもそうだと思うのですが、科学的に分析できるとますますおもしろくなることがあります。劇的な瞬間は、偶然ではなく、科学的なトレーニングと肉体強化という基礎があり、その上に幸運があることで胸を打つものになるのだと思います。全くの偶然には、びっくりするかもしれませんが、感動することはほとんどありません。むしろ物事の成功の裏に、自分の気づかなかった工夫があり、結果が必然であることを理解したときに、深い感銘を受けることがあります。

こうした必然を紡いでゆくこと、必然となるように工夫を凝らすこと、そしてその成果を見つめることこそが、「内部統制」の基本だと思うのです。必然を発見し、必然を我が味方とする。そこに大きな感動と、わくわく感が生まれてくるのだと思います。