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牧野二郎弁護士コラム 内部統制事始め
Vol.3 標準化と独創性
「As Is」での文書化は混乱の元

内部統制の推進として文書化の重要性が指摘されています。確かに、業務が意味不明であっては困るので、業務フローや一つ一つの業務プロセスを可視化するために、文書化することは大変重要です。と同時に、文書化の目的は、可視化であって、その目的を見失ってはいけないのです。

ところが現実には「As Is」での文書化、すなわちあるがままの文書化が進められているようです。それでは、複雑に工夫されてきたユニーク?な作業が、ありのまま文書化されてしまうので、担当者以外理解できないものになるでしょう。そうした業務フローや業務プロセスが多様に存在していて、それらの総てを文書化した場合、果たして見えるようになるのでしょうか。「As Is」のままの文書化は、混乱を見るだけであって、それだけでは何も変わりませんし、使いようがありません。混乱していることだけはわかるのでしょうが。

有効なのは「標準化」

さて、そこで指摘されるのが、業務フローの整理、業務プロセスの標準化です。業務フローや業務プロセスは様々な歴史を背負い、ユニークに作られているため、書かれたものは、担当した人にしかわからないものになりがちです。また、リスクもあちこちに存在し、きわめて危険なもののはずです。さらに、あまりに独創的だと、理解するのにも、点検するのにも手間がかかります。これでは業務改善は進まないのです。

業務フロー、業務プロセスの標準化は、会社の類似手続きを平準化、普遍化することで、わかりやすく、危険を排除した安全なものとすることができます。こうした標準化が進めばIT化した際にも、綺麗なプログラムにすることができるので、システム障害なども少なくなるでしょう。標準化は、実に有効なものなのです。

しかし、これには反論が出されます。職場ごとに工夫し、地域ごとの特性を活かした業務体系を無視するものであって、柔軟性に欠け、硬直化している、と。確かに、標準化は柔軟性や独創性を排除してしまうでしょう。その独創性や、様々な工夫が重要なのも事実です。また、内部統制で求められる効率化という問題もあります。まさにこうした独創性や、地域ごとの特性を活かした業務が、実は効率性を高めるのも事実です。

ではどうするのか?どこまで標準化するべきでしょうか?

どこまで標準化するかではなく、何を標準化するか、と考える

標準化を有効にするには、まず視点に注意しましょう。どのレベルまで、という考え方はちょっと違うと思います。レベルではなく、部分を考えること。全体のレベル感の問題ではないということ。すなわち危険なパートとそうでないパートを区分すること、その上で、リスクの多いパート、間違いの多いプロセスについては、有無を言わさず徹底的に標準化する。この部分に限れば、リスクを自由に任せておくことはできないのですから、徹底的なリスク退治のための標準化をすべきでしょう。

牧野二郎 反対に効率化を進める必要のある部分では、様々な工夫をして効率化を図ることができます。個人情報の企業内での徹底した利用、顧客への徹底したサービス提供のための工夫など、まさに効率化(情報の徹底活用)を進める場面では、各部署の創意工夫で徹底したユニークな業務にしていただければ良いでしょう。現場に大きな裁量を与えて、独創性を発揮するというイメージです。しかし、一旦金銭が絡み、情報管理が絡むときには、そのプロセスは標準化された管理プロセスに移行する、あるいは同時並行する、といった具合です。

危険な部分、プロセスを抜き出して標準化を進めるという発想が、文書化の成功を産むのです。