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牧野二郎弁護士コラム 内部統制事始め
Vol.1 過剰な文書化で、機能不全に
「見える化」のはずが「見えない化」に

文書化を進めているのに、なぜか混乱が進み、企業が機能不全に陥ってしまう現実が 多数でています。文書化は、業務を「見える化」するために進めているはずなのですが、 現状は反対に「見えない化」を悪化させているのです。ここに内部統制の失敗、 成功のポイントが潜んでいそうなのです。

文書化は可視化の要請から生まれてきました。文書化することで、業務フローやプロ セスが定式化し、固定化し、はっきりと見え、その結果管理できるようになる、と考えた のです。これまで多くの業務は、経験と勘で構成され、属人性が強く、多様でした。 担当する人の個性が強く出てしまい、他人には理解しにくく、結局「担当者任せ」に なるのです。その結果、管理しない、管理できない現実が生まれたのです。 「担当者任せ」は、業務を不透明化し、担当者の倫理観だけが頼りとなりました。 時として腐敗し、長期間にわたり膨大な粉飾、裏金作りが進められる結果となりました。

文書化は、こうした業務の囲い込みを防止し、文書化による明確化と透明化を進めると いう崇高な目的を持って進められたもののはずです。ところが目的とは反対に、現状を 改善するどころか、ますます悪化させる結果になっているのです。なぜでしょうか。

まずは業務改善から

まず、文書化の背景に、膨大な量の業務フロー、膨大な数の書式、方式、支店ごとに 異なる進め方がある、という現実があります。従って、as is (ありのまま)で文書化して しまうと、現実のユニークな業務の数だけ文書化され、チェックすべきキーポイントは 無数になってゆくのです。

実は更に複雑な問題があります。多数の法令のための文書作成要請が乱立し、整理 されていない問題です。ISO、ISMS、Pマーク、営業秘密の保護のための文書化 (不正競争防止法)、財務統制のための文書化、業務報告制度が求める文書類など、 無数ともいうべき文書作成提出のフローが要求されています。これをすべて、as is で 文書化したら、どんな企業でも混乱し、機能不全に陥るでしょう。

牧野二郎 そこで必要なのが「業務改善」なのです。無駄と危険の多い業務を、 整理し、統合し、標準化するのです。業務を標準化できれば無駄も なくなり、単純化できます。 人間の経験と勘だけを頼りにしているときよりも安全になり、透明性が 確保できます。 こうして業務改善しますと業務自体が単純化しますので、文書の 数も激減するはずです。まずは、機能不全の本当の原因を究明する ことが、成功の鍵を握ると言えるでしょう。