
文書化を進めているのに、なぜか混乱が進み、企業が機能不全に陥ってしまう現実が 多数でています。文書化は、業務を「見える化」するために進めているはずなのですが、 現状は反対に「見えない化」を悪化させているのです。ここに内部統制の失敗、 成功のポイントが潜んでいそうなのです。
文書化は可視化の要請から生まれてきました。文書化することで、業務フローやプロ セスが定式化し、固定化し、はっきりと見え、その結果管理できるようになる、と考えた のです。これまで多くの業務は、経験と勘で構成され、属人性が強く、多様でした。 担当する人の個性が強く出てしまい、他人には理解しにくく、結局「担当者任せ」に なるのです。その結果、管理しない、管理できない現実が生まれたのです。 「担当者任せ」は、業務を不透明化し、担当者の倫理観だけが頼りとなりました。 時として腐敗し、長期間にわたり膨大な粉飾、裏金作りが進められる結果となりました。
文書化は、こうした業務の囲い込みを防止し、文書化による明確化と透明化を進めると いう崇高な目的を持って進められたもののはずです。ところが目的とは反対に、現状を 改善するどころか、ますます悪化させる結果になっているのです。なぜでしょうか。
まず、文書化の背景に、膨大な量の業務フロー、膨大な数の書式、方式、支店ごとに 異なる進め方がある、という現実があります。従って、as is (ありのまま)で文書化して しまうと、現実のユニークな業務の数だけ文書化され、チェックすべきキーポイントは 無数になってゆくのです。
実は更に複雑な問題があります。多数の法令のための文書作成要請が乱立し、整理 されていない問題です。ISO、ISMS、Pマーク、営業秘密の保護のための文書化 (不正競争防止法)、財務統制のための文書化、業務報告制度が求める文書類など、 無数ともいうべき文書作成提出のフローが要求されています。これをすべて、as is で 文書化したら、どんな企業でも混乱し、機能不全に陥るでしょう。
そこで必要なのが「業務改善」なのです。無駄と危険の多い業務を、
整理し、統合し、標準化するのです。業務を標準化できれば無駄も
なくなり、単純化できます。
人間の経験と勘だけを頼りにしているときよりも安全になり、透明性が
確保できます。
こうして業務改善しますと業務自体が単純化しますので、文書の
数も激減するはずです。まずは、機能不全の本当の原因を究明する
ことが、成功の鍵を握ると言えるでしょう。