庭は目の栄養。伝統に則りながら施主の好みに沿う造園に徹する
伝統の桧(ヒノキ)と竹の脚立。揺れに強く、震災の時は脚立のてっぺんにいた鈴木さんは倒れることもなく無事。
伝統を守り続ける鈴木造園の大黒柱、親方の鈴木康夫さん
上の松の手入れに取り組んでいたお二人。三人で一日がかりとか。
−お寺の庭から公園、個人のお宅と幅広く手がけられていますね。得意先のエリアも広いのですか。
中心は青梅市近辺ですが、千葉県の市川や神奈川県の横須賀、埼玉県の熊谷などにも行くことがあります。青梅の地名由来となった梅の木『あおうめ』がある金剛寺さんをはじめ、お寺さんや神社さんもいろいろやらせていただいていますが、比率で言うと4対6で個人のお宅が多いですね。親方(社長)が創業して40年になりますが、その頃からのお得意様も大勢いらっしゃいます。私も子どもの頃から夏休みなど、よく手伝いをさせられました。跡を継ぐのが嫌で一時は別の仕事をしていたのですが、24歳で家業に戻りました。改めて親方から仕込まれ、奥深い仕事だとつくづく思いました。何年後でしたか、お得意様に「よし、よし」と褒めていただいた時は、すごく嬉しかったですね。
−庭づくりや植木の手入れは経験や知識、技術に加えてセンスも必要だと思います。仕事をされる上で、特にこだわられているのはどんなことですか。
「こだわり」がないのが「こだわり」です(笑)。庭の手入れの場合ですと、私たちが、施主さんの庭を見るのは精々3日から長くても20日です。一方、施主さんは1年365日眺められるわけですから、施主さんのお好みやご希望に沿った庭をつくることが私たちの仕事です。ある施主さんが「庭は目の栄養」と言われましたが、全くその通り。目から栄養を取り過ぎて死ぬ人はいません。施主さんに、目の栄養だとご満足いただける仕事をしたいと考えています。
庭づくりは、千年の歴史をもつ仕事です。その伝統や決まり事に則りながら、少し遊びを加えたり、工夫をしたりするのが鈴木造園の取り組み方です。ただ、道具や樹木と向かい合う姿勢には、親方独自の強いこだわりがありますね。
−具体的にはどのようなものですか。
道具では、例えば脚立ですね。現在では大半の造園業者がアルミ製の脚立を使っていますが、ウチでは桧(ヒノキ)と竹で作った脚立を使い続けています。以前、関東の造園業者が集まる催しがあったのですが、95社中91社がアルミ製の脚立でした。桧(ヒノキ)と竹の脚立は、実はとても強いんですよ。昨年の東日本大震災の時、私はちょうど脚立のてっぺんで仕事をしていたのですが、揺れを上手く吸収してくれたんでしょうね。倒れることもなく無事でした。
姿勢という点では、自然や植物を尊ぶ気持ちです。花は毎年、同じ花を咲かせます。千年の時を経た種も、蘇って発芽させる力をもっている。やはり人間が尊ぶべきものだと思います。今は、惜しくも大木を伐採する時や新たに築庭をする際でも祭事をやらないところも多くなっていますが、ウチではあえてやります。そういう意味での「こだわり」は、私もしっかり受け継いでいます。

造園は、四季があり季節の花が咲く日本だから、時を超えて受け継がれてきた伝統の技術。21世紀の今も、それをしっかり守りたいと鈴木さん親子は考えている。一日一日みなで汗をかき力を合わせて取り組むのが鈴木造園流。決して奢らず、周りから古臭いと見られようと健気にやってきた自負がある。植物のもつ驚異的な力と接する仕事を通じて、自然への畏敬も培われたという。施主さんに「目の栄養」を365日楽しんでもらえる庭づくりが、鈴木造園のポリシーである。
−古くからのお得意様が多いということですが、営業活動はどのようになさっているのですか。
営業は一切やっていません。手入れの時期はだいたい決まっていますので、連絡があるまでひたすら待っています(笑)。よほど時期が過ぎた場合、お電話する程度ですね。新規のお客様は口コミでご紹介いただくケースがほとんどです。今回ホームページを開設したのは、もともと営業目的でも宣伝のためでもありません。勢いでやってみようと思ったのです。
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