導入事例
株式会社三菱東京UFJ銀行 様

[ ビジネスアドバンス第67号(2009年7月6日発行)掲載 ]

システム統合に伴う長距離間のデータ移行を広域ストレー
ジネットワークサービスで実現

導入の背景↓ | 選択の決め手↓ | 評価と展望↓

導入の背景 WIDE SAN

データ移行の手段として、ネットワークによる伝送方式を選択。

 株式会社三菱東京UFJ銀行様は、旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行の合併により、2006年1月1日に誕生した、現在約4,000万の個人口座を預かる世界有数のメガバンクである。その合併に伴うシステム統合プロジェクト「Day2」は、綿密な計画と着実な実行で大きなトラブルなく完遂され、各方面から大きな注目を浴びた。
 システム統合にあたっては、まずベースとなる旧東京三菱銀行のシステムを新しいシステムに切り替え、そこへ旧UFJ銀行の口座データをすべて移行するという2段階を踏んで進められた。同行では、この口座データの移行に際し、光回線によるデータの伝送方式を選択した。システム部テスト移行推進グループにおいてデータ移行業務を推進した植田 朝信調査役は、その背景を語る。
 「時間の制約が一番大きな課題でした。今回のプロジェクトでは5回に分けてデータ移行を実施したのですが、1回分だけでも2,000種類に及ぶ膨大なファイルを移さねばなりません。その作業はすべてのATMを停止させて土日に行いますが、もし時間内に作業が終了しなければ、月曜日にATMはもちろん、店舗を開けることができなくなってしまいます。千葉県印西の旧UFJ銀行のデータセンターと東京都多摩の旧東京三菱銀行のデータセンターは直線で70kmもの距離があり、例えば磁気テープによるデータ搬送方式では、書き込みと読み込みに加え搬送にかなり時間がかかってしまい、時間内に移行することは物理的に難しいと判断しました。そういう背景からも、高速な光回線によるデータ伝送の選択は必然だったといえるでしょう」。

植田 朝信 氏
株式会社三菱東京UFJ銀行
システム部
テスト移行推進グループ 調査役
植田 朝信 氏

WIDE SAN

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選択の決め手 WIDE SAN

信頼できる技術力と実績、万全のネットワークインフラが採用のポイントに。

 ネットワークによる伝送方式は大幅な時間短縮が可能である反面、回線にトラブルが発生すれば、当然データの送信が中断されてしまう。そこで、万一の災害や障害に備えて2社の通信会社を併用し、各々の回線を二重化した「キャリア・ダイバシティ」が構築されることになったが、2つの通信会社とも同じような経路で結んだのでは災害対策の意味をなさない。1社は都心を横断してほぼ最短距離で結ぶ回線を受け持つが、もう1社は都心広域災害対策として東京23区を経由しない、200kmを超える迂回ネットワークを任されることになり、その白羽の矢はNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)に立てられた。
 ホストとDISKをFICON直結し、200kmを超える
SAN(Storage Area Network)間接続は、検討当時世界的にも実例がなく、実現には非常に高い難易度が予想されたが、NTT Comは広域ストレージネットワークサービス『WIDE SAN』を提案。この難題を解決した。『WIDE SAN』2つの離れたSAN同士の接続を実現するストレージ専用のサービスで、大型ストレージで使用されるインターフェースであるFC(ファイバーチャネル)のほか、汎用機で使用されるFICONやESCON注1など、多彩なインターフェースをサポート。最大10Gbpsの帯域保証型であり、閉域サービスであるため、セキュリティを確保しながら、高速かつ高品質なストレージネットワーキングを可能にする。
 ネットワークの選定にあたって中心的役割を担ったシステム部 ネットワークグループの矢島 稔調査役は「今回のプロジェクトでは入念なテストを繰り返し行う必要があったので、ネットワークの構築そのものにあまり時間をかけることができませんでした。さらに、都心を大きく迂回するという厳しい条件もあったのですが、NTT Comには既にそのインフラを保有しているという強みがありました。また絶対に失敗が許されないプロジェクトであるという観点から、技術力や対応力において信頼性の高いNTT Comにお願いすることにしたのです。
 その裏付けとして、弊社との長いパートナーシップの中で、さまざまな技術的ハードルをクリアしてきてくれた実績も大きくものをいったと思います」と、採用に至ったポイントを説明する。

注1『FICON』『ESCON』はIBM社の登録商標です。

矢島 稔 氏
株式会社三菱東京UFJ銀行
システム部
ネットワークグループ 調査役
矢島 稔 氏

WIDE SAN

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評価と展望 WIDE SAN

5回に及ぶデータ移行をトラブルなく完遂。伝送距離の長さを克服する技術にも高い評価。

 「Day2」におけるデータ移行は2008年の7月から12月まで、5回に分けて行われたが、その作業をトラブルなくやり抜いた。それは、数えきれない程の綿密なテストと、問題点をひとつずつ潰していくという地道な努力の積み重ねの成果であると、植田氏はいう。また、そこで『WIDE SAN』が果たした役割を「1Gbpsの帯域があるとはいえ、200kmを超える距離ですから、正直なところ多少の遅延時間は覚悟していました。しかしNTT Comは『FICON over SONET』注2という機能を付加することで、遅延を大きく軽減してくれました。それによって、システムを使う側はまったく遅延時間を意識することなく、普段と変わらない状況で作業を進めることができたのです」と、高く評価する。
 最後に矢島氏は「スケジュールもすべて計画通りに納まり、当初の予定以外でATMを停止させてお客さまにご迷惑をおかけすることもありませんでした。約3年に及ぶ期間の長さ、失敗が許されないという緊張感、技術的なハードルの高さを考えると、達成感は非常に大きかったですね。今回、多くの企業にご協力をいただきましたが、本当に『みんなでやり遂げた』という感慨がありました。特にデータ移行に関しては、ネットワークによる伝送以外に代替手段がありませんでしたので、ネットワーク回線の信頼性は我々にとってまさに生命線でした。そこで障害がまったく発生しなかったことには、大きな感謝の念を抱いています」と、プロジェクトの達成感を語って結んだ。

注2従来『FICON』(ファイコン)からSONET/SDH回線上に中継する場合、一度IPへの変換を必要としていたが『、FICON over SONET』はFICONをIPへ変換することなく、そのままSONET/SDH回線上で伝送することを実現。変換ロスが少ないため、高効率かつ低遅延の通信が可能となる。

WIDE SAN

株式会社三菱東京UFJ銀行http://www.bk.mufg.jp/

■所在地/東京都千代田区丸の内2-7-1 ■設立/1919年8月 ■資本金/11,962億円(2009年3月末現在、単体) ■従業員数/33,827名(2009年3月末現在、単体) ■事業内容/銀行業

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