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[ ビジネスアドバンス第65号(2009年5月11日発行)掲載 ]
アビーム コンサルティング株式会社様(以下、アビーム コンサルティング)は、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、グローバルなサービスを提供しているコンサルティングファームである。従来のアメリカ型スタイルと一線を画した、“アジア発”のコンサルティングをポリシーとして掲げ、実際にその国や地域で成果を生む実現性の高いサービスを提供。幅広い業界から高い評価を得ている。
アビーム コンサルティングでは、同社が提供するCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)である「ABeam CMS」をSaaS型サービスとして顧客に提供するにあたって、どのような手法でその基盤を構築するべきか、検討を始めた。CMSは関連企業を含めたグループ企業全体の資金を包括して管理することにより、グループ間の資金決済に関わる手数料の削減や、不要な手持ち資金の削減を実現する戦略的な情報システムである。
金融統括事業部でCMSの第一人者として陣頭指揮を執る中村正史シニアマネージャーは、SaaS基盤検討の経緯をこう語る。「当初SI型で検討を始めたのですが、専用機器の導入が必要なSI型では、我々が想定した導入コストには収まりませんでした。そこで、費用を抑えることのできるホスティングサービスの利用を選択肢に入れました。構築費用はもちろんですが、中堅企業を含め、なるべく幅広いお客さまにご利用いただくためにも、ご提供する価格を極力低く抑える必要があったからです」。
SI型とホスティング利用の双方を視野に入れ、さらに検討が進められたが、コスト面の要件を重視し、ホスティングサービスを利用することに決定。パートナーには企業としての信頼性や実績を評価して、NTTコミュニケーションズを選択し、その多彩なサービスメニューの中から最終的に『Bizホスティング エンタープライズ』が採用された。『Bizホスティング エンタープライズ』は、サーバー仮想化技術により1台の物理サーバー上に複数のサーバーを仮想的に実現し、複数のOSやアプリケーションを収用できるのが特長だ。余剰なICTリソースの発生を抑えられるため、コストはもちろん、運用・管理の負荷や電力消費などを低減できる、運用効率の高いホスティングサービスである。
金融統括事業部シニアコンサルタントの英健一郎氏は採用の決め手となったポイントを説明する。「パートナーをほぼNTTコミュニケーションズに絞り込もうとしていた時点で、タイミングよく『Bizホスティング エンタープライズ』の提案を受けました。仮想化技術を用いて効率的なサーバー集約を実現できるため、従来の専用型ホスティングサービスと比較しても、さらに価格的な魅力があり、採用決定までのプロセスも以後一気に加速した感がありました。またSaaS型で提供することにより、中小・中堅企業のお客さまがよりCMSを導入しやすくなるものの、利用拡大のスケール感は予測が難しい部分もあります。よって、小規模からスタートして、徐々に規模を拡張していける柔軟性も大きな魅力でした」。中村氏も「まさに『小さく生んで大きく育てる』という我々の基本的な考え方にフィットするものですね」とコメントする。
現在、同社では2009年6月のSaaS型ABeam CMSの提供開始に向け、システムの最終調整段階に入っている。英氏は「環境をいろいろ入れ替えたりして最終テストを行っていますが、実際にNTTコミュニケーションズのデータセンターへ出向く必要はほとんどありません。自分のオフィスからリモート操作でほとんどのオペレーションが可能です。もちろん、そういう機能も選択の一因としていたのですが、本当に現地にいるようなレスポンスの遠隔操作には想像以上に驚いています。弊社では限られた人員で運用を行わなければならないので、この操作性は実際に稼働が始まってから、さらに大きなメリットになるでしょう。サーバーのパフォーマンスも充分満足できるもので、サーバー仮想化という新しい技術を導入することへの不安はまったくありません。また、窓口をひとつに集約して、あらゆる問い合わせに誠実に対応してくれるサポート体制にも非常に好感が持てますね」と評価を語る。
中村氏は「当面はCMSに注力することになりますが、今後、電子記録債券の支払いや回収などのサービス提供も検討していきます。そういう新しいサービスを追加する場合も、『Bizホスティング エンタープライズ』であれば費用を抑えながら、ニーズに応じて柔軟に規模を拡張していくことができます」と、今後の抱負で結んだ。
CMSはこれまで主に売上高が1兆円を超えるような大企業を中心に浸透してきたが、中堅企業にとっても非常に導入効果の高いソリューションであるという。資金効率の向上のみならず、事務効率の向上や内部統制にも効果が期待でき、コストダウンとガバナンスを同時に実現できるというメリットを持っている。今後さらにマーケット規模が拡大すると予測されているだけに、顧客にとって利用しやすいSaaSという形態でCMSを提供していくアビーム コンサルティングの事業展開には、ますます注目が集まることだろう。

■SaaS型ABeam CMSのサービス提供構成図
■所在地/東京都千代田区有楽町1-10-1 ■設立/1981年4月 ■資本金/62億円 ■従業員数/3,779名(2009年4月1日現在子会社含む) ■事業内容/戦略立案、組織・業務プロセス改革、システム開発、運用までの総合コンサルティングサービス