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東日本大震災以降、以前に増して事業継続の重要性に目が向けられる中、安否確認システムを積極的に導入する企業が増えている。しかし、いつ発生するか分からない災害などの有事でしか利用できないシステムでは、投資効果の観点から疑問が投げかけられるケースもあるだろう。佐渡島と本土を結ぶ定期航路を運航する佐渡汽船が導入した安否確認システムは、どのようなものだったのだろうか。
(2013年1月10日掲載)
新潟県佐渡島。そこは、金銀山に象徴される古くからの歴史に彩られ、豊かな自然や山海の幸など、多くの観光資源に恵まれた島である。離島としては日本最大の面積を有し、現在約6万人の島民が居住。近年はトライアスロンや自転車のロードレースなど“スポーツの島”としてのイメージも高まっている。
佐渡汽船株式会社様(以下、佐渡汽船)は、新潟港と佐渡島を結ぶ、旅客・車両・貨物を輸送する定期航路を運航。新潟−両津、寺泊−赤泊、直江津−小木の3つの航路を就航させており、島民の生活航路として、また観光客の足として、年間約170万人の旅客を輸送している。船舶では、多数の車両と乗客を搬送できる大型フェリーに加え、新潟−両津間に就航している超高速船ジェットフォイルにより、65分という短時間で新潟港と佐渡島を結んでいる。また同社は、1913年設立という長い歴史を持ち、2013年2月に100周年を迎えることも、大きなトピックとして付け加えておきたい。
従来佐渡汽船では、自然災害などの有事において、社員の安否確認手段には緊急電話連絡網を運用していたが、伝達に多くの時間と手間を要するだけでなく、情報が正確に伝わりづらいという課題を抱えていた。庶務課で管財担当課長を務める山岸直志氏は、安否確認システム導入の検討に至る経緯を次のように説明する。
「東日本大震災以降、BCP関連のセミナーなどに参加していく課程で、事業継続に対する意識が高まったと同時に、ITによる安否確認システムが非常に進化していることを知りました。電話連絡網の問題点は充分に認識していましたので、迅速かつ正確に安否確認が行えるシステムの導入検討をスタートさせたのです」。
また、庶務課の本間直喜課長は「佐渡と本土を結ぶ交通機関は当社が運航する船舶以外、基本的に代替機関がありません。そのような責任ある公共交通機関を提供している以上、安否確認システムを導入してBCP対策をさらに強化することは、当社の事業展開において不可欠な要素でした」と付け加える。
こうして山岸氏を中心に安否確認システム導入の検討がスタートしたが、同社では当初からSaaSなどの利用型サービスの導入を考えていたという。「当社では基本的にITシステムを社内で構築して運用するという体制をとっていますが、システムの管理負荷をこれ以上増大させるのは難しいと判断し、利用型サービスの導入を前提としました」と山岸氏はコメントする。
そして、複数社のサービスを俎上に乗せ、あらゆる角度から入念に検討が行われた結果、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の『Biz安否確認/一斉通報』が採用されることとなった。同サービスは、システム構築が不要なSaaS型での提供であり、災害発生時に管理者が実施する安否確認のオペレーションを自動化する「初動サポート機能」や登録情報の「自動集計」、回答のレベルに応じて特定の対象者に連絡や指示を行うことが可能な「二次通報機能」など、さまざまな機能で迅速かつ正確な安否確認が可能。PC・スマートフォン・携帯電話のメールに加え、電話の音声(オプション)など、多様な手段で安否確認ができる。また、自然災害やパンデミックなどの緊急時のみならず、「一斉通報機能」により平常時の社内連絡などに幅広く利用できることも大きな特長である。
採用の決め手となったポイントについて山岸氏は「まず大きかったのは運用コストです。IDあたりの利用料金もかなり低く設定されていますが、契約ID数を柔軟に可変することができますので、多数の余剰IDを抱えておく必要もありません。機能や使い勝手が満足のいくレベルであったことに加え、信頼性の高いNTT Comのシステムを利用するという安心感も重要な判断材料でした」と総括する。
慎重に検討したため採用決定までに時間を要しましたが、導入はいたってスムーズで、本当に助かりました。
管財担当課長
山岸 直志 氏
(やまぎし なおし)