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ICT環境を大きく変えるBYOD(前編)

2012年2月8日公開

 個人が所有するモバイルデバイスを業務で利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」という考え方が急速に広まりつつあります。その背景の1つとして挙げられるのが、スマートフォンの急激な普及です。ここでは、企業によるBYODの導入ではどういったことに注意すべきか、そしてスマートフォンの活用により業務をどのように変革できるのか、みずほ情報総研 ビジネスコンサルティング部の川添祥宏氏に伺いました。

1. 携帯電話とノートPCの“いいとこ取り”

川添祥宏氏

――スマートフォンやタブレット端末の業務利用が話題となっていますが、これらのデバイスを導入することによって得られる企業のメリットとしてはどういったものが考えられますか。

 スマートフォンやタブレット端末のメリットを端的に表現すると、「時間と空間を意識せずに使える」ということでしょう。特にスマートフォンは、携帯電話とノートPCの特徴を併せ持つ、いいとこ取りのデバイスといえます。こういったデバイスの発想は以前からありましたが、さまざまな技術の進歩によって今のような形になり、多くの人がその利便性を実感できるようになったことで、このところの急激な普及につながっているのだと見ています。

 このメリットを活かした、具体的なスマートフォンやタブレット端末のビジネス活用は大きく2つに分けられます。1つは製造・販売や管理などの業務プロセスの中でスマートフォンやタブレット端末を使用するもの、2つ目は顧客が持つスマートフォン向けにサービスを展開していくという形です。

 まず業務の中でスマートフォンやタブレット端末を利用することにより、ちょっとした空き時間でもさまざまな作業を行うことが可能になります。また利用場所も問わないため、たとえば移動中や外出先でも使うことができます。

 顧客向けのサービス提供においても、スマートフォンは大きな変化をもたらす可能性があるでしょう。たとえば現在地を基準に近辺のレストランを紹介するなど従来からあったサービスに動画やリアルタイムのコメントを付加するなど、スマートフォンの機能や処理能力を生かしたサービスが登場しています。このようにスマートフォンならではのメリットを活かした斬新なビジネスは続々と登場してくるのではないかと考えています。

――企業におけるスマートフォンやタブレット端末の導入形態の1つとして、BYOD(Bring Your Own Device)が話題となっていますが、どのように見ていますか。

 携帯電話の場合、多くの人が個人所有の機器を会社の用件で利用していたのではないでしょうか。スマートフォンも同様で、業務で利用しているケースは相応にあると感じており、BYODの流れが自然発生的にできつつあるように思います。

 ただ、会社のシステム運用を担っているICT部門が前面に立って、本格的にBYODに取り組んでいるところはまだ少ないでしょう。たとえば営業部門など外勤者が多い特定の部門で、その利便性の高さから、あるいは必要に迫られる形で、個人所有のスマートフォンを業務連絡に利用したり、スケジュール調整に使ったりしているという状況であると見ています。