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2011年12月21日公開

ICT用語ガイド
GUIDE 066 テレワーク

テレワークの課題を解決するICTの進化

 業務効率の改善やワークライフバランスの実現、そして災害時の対策として改めて「テレワーク」や「リモートワーク」に注目が集まっています。昨今ではICT環境の進化により、以前に比べて安全かつ便利にこれらの環境を整えられるようになりました。ここでは、テレワーク/モバイルワークを実現するメリットや、具体的なソリューションの活用例などを解説していきます。

■テレワークの課題を解決するICTの進化

 近年、ノートPCやUSBメモリの紛失に盗難、あるいは個人所有のPCにコピーした業務データがウイルス感染によって外部に公開されてしまうなど、企業における情報漏えい事件が一時期大きな話題となりました。これにより、多くの企業がノートPC、あるいは業務データの持ち出しを厳しく制限するようになっています。

 ただ、こうした対応は業務効率の低下、あるいはライフワークバランスの悪化につながりかねません。たとえば自宅作業が許可されていれば、どうしても出社できない状況であっても、自宅のパソコンを使って必要な作業を行えるでしょう。ノートPCの持ち出しが可能であれば、移動時間や待ち時間を使って業務を進めるといったことも可能です。

 こうした自宅で作業を行う在宅勤務の形態を「テレワーク」、外出先で業務を進めることを「モバイルワーク」と呼びます。従来は情報漏えいの観点から、テレワークやモバイルワークへの対応に積極的な企業は決して多くありませんでした。しかし新たな技術の登場により、安全にテレワークやモバイルワークを実現する下地が整いつつあります。その技術の中心的な存在となっているのが「クラウド・コンピューティング」です。

■自宅や外出先でも安全な作業を実現するクラウド

 テレワーク、あるいはモバイルワークを実現する代表的なサービスの1つに、クラウド上で提供されている仮想PCサービスが挙げられます。これらのサービスでは、クラウド上のサーバーで実行されているPCにネットワークを介して接続します。この仮想PCは通常のPCと同様に作業することが可能なほか、データがクラウド上に保存されるというメリットもあります。このため、仮に個人所有のPCにウイルスが感染しても、クラウド上の仮想PCが被害に遭わなければ、データが流出する心配はありません。

 スマートフォンやタブレット端末が登場したことも、テレワークやモバイルワークを実現する上で大きなポイントになっています。前述の仮想PCサービスをスマートフォン/タブレット端末から利用することも可能であり、たとえば外出先で資料を参照したいといった場合、仮想PCにアクセスして必要なデータを参照することができるため、データをコピーして持ち出したり、操作する端末にデータを保存したりする必要はありません。 これは盗難や紛失による情報漏えいのリスクの軽減につながるでしょう。同様に、SaaS(※)などの形態で提供されている業務アプリケーションをスマートフォンのWebブラウザから利用すれば、場所を問わずに業務に必要なデータを参照したり、あるいは情報を入力したりすることが可能になります。

 もう1つ、テレワーク/モバイルワークを実現できるようになった背景として、多用なコミュニケーション手段が登場したことが挙げられます。ネットワークにつながれていればメールやグループウェアの掲示板などの機能を使って気軽に連絡が行えるほか、ネットワークを介して顔を見ながら多人数でコミュニケーションができるテレビ会議やWeb会議といったソリューションも広まっています。テレワークやモバイルワークの実現では、従業員間のコミュニケーションが課題となりますが、このようなコミュニケーション技術の進歩によりその課題も解消されつつあるというわけです。

■自宅や外出先でも安全な作業を実現するクラウド

 さて、このテレワークやモバイルワークは、総務省においても「2015年までに在宅型テレワーカーを700万人にする」という目標が掲げられています。その背景としては、少子高齢化対策や地域活性化、有能・多用な人材の確保と生産性の向上といったことに加え「ワークライフバランスの実現」が項目の1つとして挙げられています。

 ワークライフバランスとは仕事と生活の調和を意味し、内閣府では「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義しています。個々の従業員においてワークライフバランスが実現されれば、従業員のモチベーションの向上など企業に対してもさまざまなメリットがもたらされるのは間違いありません。

 大規模な災害が発生し、オフィスへの出社が困難になるといった状況が生じた際にも、テレワーク/モバイルワークは大きな力を発揮します。実際、2011年3月に発生した東日本大震災では、公共交通機関などへ甚大な被害が生じ、それによって多くの人々が出社できないという事態に陥りました。そこで注目を集めたのがテレワークやモバイルワーク環境です。社外でも業務ができる環境を整えていれば、震災によって出社できない状況が生じても業務を継続することが可能になります。このように、テレワークやモバイルワークは災害時における業務継続のための対策としても極めて有効です。

 ぜひ、このように進化したICT環境を活用し、従業員の働き方を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

用語解説

SaaS

Software as a Serviceの略。クラウド上でサービスとして提供されているソフトウェアを指す。