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2011年1月19日公開

ICT用語ガイド
GUIDE 055 アクセス解析

アクセス解析におけるビジネス貢献の視点(衣袋宏美氏)

 企業で運用するWebサイトは、当然のことながらビジネス上の目的があるはずです。その目的が達成されているかどうか、達成されていないとすれば何が問題だったのかなどといったことを把握するために、アクセス解析は欠かせない作業であると言えます。

 ただ、一方でWebサイトにまつわる情報を収集し、それを分析してビジネスへ貢献していくということは容易ではありません。そこでに、アクセス解析イニシアチブ副代表で、デジタルハリウッド大学院客員教授である衣袋宏美氏に解説いただきました。

■まずサイトの目標設定から計測へ

 Webサイトをさまざまな形で企業が活用するようになり、これまで以上にWebサイトを適正に評価するということに関心が高まっています。そのためにWebサイトの運営において重要になっているのがアクセス解析です。

 企業全体の業績評価をする際に、計数評価としてまず使われるのが財務諸表です。売上が好調か、利益が出ているかを知るための損益計算書、資金調達と投資・運用、売掛金の回収などお金が回っているかを知るための貸借対照表などがあります。

 アクセス解析は、この経営分析と対比して考えると分かりやすくなります。会社全体から比較するとWebサイトの機能はその一部に過ぎませんが、計数管理の考え方は同じです。

 戦略目標があって、それを具体的な売上高という数字に落とし込む、これが企業全体の計数的な目標設定になります。Webサイトも同様のプロセスで具体的な計数目標値を設定すべきです。ところがECサイトのように目的が明確なサイトは別として、実際はWebサイトの目的を定義していない、そして具体的な目標値がないためにどのようにアクセス解析を活用したらわからないという管理者は少なくありません。

 そのため、まずはWebサイトの目的を定義し、目標値を設定するところからスタートしなければいけません。そしてアクセス解析の特定の指標群を重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)として利用する場合も、目標を定義しなければ意味がないでしょう。

■アクセス解析は3つのステップでサイト改善につなげていく

 アクセス解析ツールを使えば数多くのデータを集めることができますが、これを有用に活用するためには次の3つのステップに分けて整理してみることをお勧めします。集客、接客、成約です。

 集客面からみるデータは「参照元」です。リファラーとも言い、どのサイトのリンクから訪問しているかというデータです。これを見ることで集客につながっているWebサイトが分かります。このデータを見ることにより、検索エンジンやキャンペーンサイトからそれぞれ何人集客したかといったことを把握し、集客戦略の評価に利用します。そして効率のよい集客にシフトしていきます。

 接客のステップでは、訪問者をWebサイトできちんともてなしているかという視点でチェックします。具体的には「直帰率(1ページしか閲覧しなかった訪問割合)」、「一訪問当たりのページビュー数」、「人気コンテンツ」などです。これにより、どういうコンテンツを訪問者が求めているのか、コンテンツに満足してくれているのかということを評価することができます。ニーズの高いコンテンツを増やしたり、サイトのコンテンツ構造やリンク構造を適切に直すなどといったことにデータを活用しましょう。

 成約はWebサイトの運営者側が最終目的とする目標を意味します。目標を達成してくれた訪問者がどれくらいいるかという「コンバージョン率」を成果指標としてみます。

 経営分析では、販売エリア別、商品群別などに分解して評価しますが、アクセス解析では集客方法別にコンバージョン率を算出するといった分解をして、問題点を深堀していくとよいでしょう。ただしWebサイトによって分析視点がそれぞれ異なってくるので、Webサイトの運営者自身が適切な分析視点を持つことが肝心です。

■アクセス解析によってビジネスに貢献するには

 アクセス解析をすることによって、ビジネスに貢献することができると考えていますが、残念ながらアクセス解析の結果を具体的な施策に結びつけられている企業が多いとは思えません。

 数字が上がった、あるいは下がったということに一喜一憂するのではなく、アクセス解析はより本質的な方向に向かうべきでしょう。利用者像を把握し、利用者が求めるコンテンツをしっかり揃えて、きちんとした構造でサービスを提供する。Webサイトを改善するために、アクセス解析の数値をどのように役立てられるか、知恵を絞ることの重要性は増していくと考えています。

衣袋宏美氏

衣袋宏美氏

株式会社クロス・フュージョン代表取締役。アクセス解析イニシアチブ副代表。デジタルハリウッド大学院客員教授で多分日本で唯一、大学でアクセス解析の授業を受け持っている。月間で100件以上のエントリーを投稿するヘビーブロガー。