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法人のお客さま総合 > ICT Business Online > ICT用語ガイド > GUIDE 044 IFRS(国際会計基準) IFRSは原則主義。現場担当者には「判断」の力が問われる
パート2 識者に直撃! IFRS適用がもたらす、実用的な変化とは?
どのような背景でIFRSが世界中の課題となり、今後どのような展開になるのについて前述してきた。さらに、今後具体的にどう考えればいいのか、システム改変を進める上で、ICT部門は何をすべきなのか、という具体的な部分について、IFRSや国際会計基準についての著書もある青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科の橋本尚教授に、詳しいお話を伺いました。

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科 教授
橋本 尚(はしもと たかし) 氏
早稲田大学商学部卒業、同大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学。関東学園大学助教授、駿河台大学教授、日本大学教授などを経て現職。公認会計士試験委員(財務会計論)、金融庁企業会計審議会臨時委員、国際会計研究会理事などを務める。『IFRS会計学基本テキスト』『図解・イラストによるIFRS国際会計基準入門』『2009年 国際会計基準の衝撃』ほか著書多数。
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まずお聞きしたいのは、なぜアメリカの会計基準ではなく、ヨーロッパ発のIFRSがグローバルスタンダードになったのでしょうか?
橋本 アメリカの会計基準は「質の面でも高度」であり、世界経済を牽引してきたと、多くの人々も信じていました。だからこそ「アメリカの基準イコール国際会計基準」的な認識も強かったのです。ところが、エンロン事件をはじめ、2000年代に入ってからアメリカの国際的大企業の間で不祥事発覚が続発しました。このため、アメリカの会計基準の質は、海外からの信用が薄れ、国内でも自信を失う事態となったのです。
一方、ヨーロッパはEU統合で世界市場での影響力を強化しようとしていました。IFRSの質の高さをEU域外の諸外国にも伝えることで、世界における発言力を強化しようという戦略もありました。
欧米の以上2つの異なる状況が重なったことで、「世界共通の会計のモノサシ」としてIFRSが広く認知され、世界各国での導入という動きに拍車をかけていったのです。
では、アメリカの会計基準と、ヨーロッパ発のIFRSの違いとは何なのでしょう?
橋本 細かなルール上の「違い」は多数あります。しかし、何より理解しておかねばならないのは、制度・ルールの根本的な発想の部分が大きく異なるということです。
アメリカの会計基準は、「細則主義」と表現されています。つまり、財務・会計報告をする上でのルールが、こと細かに明文化されています。導入する側にしてみれば、最初は作業的に大変ですが、「とにかくルールに従えばいい」という容易さもありました。
ところがIFRSの場合は、「原則主義」と表現されます。例えば「減価償却」を例にすると、アメリカのルールならば、「どんな機械を」「いくらで購入した場合」「減価償却額は年額いくら」というように定められていたのですが、IFRSではそうはいきません。「その機械はどこで使うのか」「何のために使うのか」といった個別の状況に応じて、企業自身が減価償却額を「判断」して「計上」しなければいけないのです。
「こういうケースの場合はこうすればいい」というのが決まっていたのが、アメリカであり、あるいは日本の従来の会計基準です。しかし「原則主義」のIFRSを導入したなら、経理担当や現場の担当者は、アクションを起こすごとに「判断」することが迫られる。これが最も大きな変化になるでしょう。すなわち、ルールやシステムの改変よりも先に、現場の人々の意識改革が不可欠になる。そうした認識をすべきだと考えます。