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法人のお客さま総合 > ICT Business Online > ICT用語ガイド > GUIDE 031 クラウド・コンピューティング
パート1 クラウド・コンピューティングの「基本」を知る
一般ユーザーの場合は使用しているPC自体が、そして企業ユーザーの場合ならば会社のネットワークを司るサーバーが、それぞれ情報処理を受け持つ形式がこれまで「当たり前」のこととなっていました。
しかし、実際には最新技術によって変化が起きています。 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)、SaaS(Software as a Service)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)といったテクノロジーが企業ユーザーを中心に世界中に浸透してきたことで、「ネットワークの先にあるサーバーが処理をする」形式は珍しくなくなりました。 クラウド・コンピューティングも、根本的な発想は同じです。 というよりも、上記のASPやSaaS、SOAも含んだ大きな概念がクラウド・コンピューティングとも言えるのです。
クラウド・コンピューティングでは、ネットワーク上のサーバーのいずれかが処理を受け持つため、実際にユーザーがサービスを受ける時、ケースに応じて利用するサーバーや、ネットワーク経路が変わることは少なくありません。 大切なのは、ユーザー保有のハードウエアやソフトウエアではなく、インターネットの先にある「雲」が処理をする、という考え方。 多様に広がるネットワークの先のいずれかを利用して、情報処理を行うコンピューティングの総称が「クラウド・コンピューティング」というわけです。
以上のように「クラウド・コンピューティング」は、昨年大いに浸透した「Web2.0」同様、"考え方"を示すものです。 ですから、今後その具体形がさまざまなサービス提供企業から登場することになりますが、それぞれの内容は異なってきます。 ただし共通しているのは、いくつかの技術要因が背景にあるということです。
まず、ネットの高速化は言うまでもありません。 仮想技術は「あたかも複数のコンピュータが働いているように見せかける」技術、グリッド・コンピューティングは「連携している複数のコンピュータをあたかも1台のように見せかける」技術。 こうしたインフラ背景や技術活用もあって、ユーザーの多様かつ高度なサービス・ニーズに、「ネットワークの先」が対応できるようになったのです。
クラウド・コンピューティングが定着すれば、間違いなくユーザー側の負担が軽減します。 端末機としてPCを保有すれば、情報処理は「雲」が行うのですから、その受け渡し機能さえあればいいのです。 ソフトウエアのインストールや、システム設定といった、細かな作業は不要になるわけです。 企業ユーザーの場合は特に、大幅なIT投資コストの低減、担当者の作業や時間の負担低減も望めます。
懸念されている点を挙げれば、何かトラブルが起きた時のことです。 これまでのようにユーザー自らハードウエアやソフトウエア、またネットワークをチェックして問題点を発見したり、それを補修するようなことが難しくなります。 ユーザーにとって、「雲」の中がどのようにつながっているかは、見えにくくなる可能性がありますから、サービス提供企業側に相応の高度な対応体制が求められます。
クラウド・コンピューティングは、あくまで概念を示す言葉だと説明しましたが、この新しい概念はコンピュータやネットワークなどICT(Information and Communication(s) Technologyの略)のあり方を一変する内容です。 そのため急速に浸透していったなら、ハードウエアを提供するメーカー、ソフトウエアを開発するベンダー、それらをつなぐネットワーク・インテグレーター、インフラを提供するキャリアなど、あらゆる関係企業が大きな影響を受けるといっても過言ではないでしょう。 言い換えれば、これらのICT企業にとっては最新のビジネスチャンスでもあります。 今後はクラウド・コンピューティングで明確な成果をあげることが大きな課題となってもいるのです。

セキュリティ、ニューラルコンピューティング研究の第一人者。 1983年より南フロリダ大学や南カロライナ大学助教授、ケースウエスタンリザーブ大学准教授を歴任。 日本で最初にインターネットを本格的に紹介したことでも有名。 ICT用語ガイドのアドバイザーを務めていただいております。
コスト、時間、手間……さまざまな負担を軽くするメリットがクラウド・コンピューティングにはあります。 しかし、問題はトラブルが発生した時です。 これまでのようにユーザー自身では解決できないことになりますから、サービス提供側は迅速に対応をしなければいけません。 仮にトラブル解決に長時間を要してしまったり、サービスを受けるための手順に煩雑さを感じてしまえば「クラウド」そのものへの信頼が揺らぎます。 クラウド・コンピューティングが浸透していくうえで最も重要な鍵は、エンドユーザーには中身が見えにくくなる「クラウド」自体への信頼を獲得することにあります。 それさえクリアになれば、ICTに大きなパラダイムシフトが起きることでしょう。
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