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SOHO人紹介第25回 海外の珍しい音楽を届けつづけます
笠井隆さん。ガッツプロダクション代表。ポーランドなど東欧圏のジャズから始まり、今や、全世界のジャズ、その一方で、米英のインディーズ・ロックなど、日本にまだ知られていない音楽を紹介、CD制作・輸入販売を行っている。11月には初のライブをプロモート。
笠井隆さん
2005年08月29日

リスナーの立場にこだわりつづける

ニュースレターの原稿書きに集中。休止しているメールマガジンを再開するのがいまの課題。

 海外にはきっとたくさん、いい音楽があるんだろうな。まだ知られていない音楽にもっともっと触れてみたい。高校生の頃、父のもっていたレコード盤をはじめ、ビートルズやボブ・ディラン、欧米のポップスを聞きながら、僕はこう強く思っていました。将来は、そういう音楽を日本に紹介する仕事をしたいと、漠然と考え始めたのもこの頃です。インターネットのない時代でしたから、情報は足で集めるしかない。浪人中はレコード店を回っては輸入廉価盤のコーナーをコツコツと探求、大学に入ってからは時間、バイト代の多くを音楽探しに注ぎ込みました。同時に、これはと思うアルバムを出しているヨーロッパのレコード会社に直接コンタクトを開始。ジャズはもともと憧れの音楽でしたから、そのやりとりの中で、現地で出ているジャズアルバムを、ロックやポップスと一緒に送ってもらって真剣に聴き出したのもこの頃です。体当たりの作戦でしたが、彼らはとてもオープンで快く門戸を開いてくれました。全く無名だけど、音楽を愛する気持ちと熱意だけは人一倍ある。多分、そこを認めてくれたんでしょうね(笑)

いま力を入れているのは、ピアノトリオのアルバム。自社の名前入りのステッカーをつくり、存在をアピールしています。

 今でもそうですが、僕がこだわっているのはリスナーの立場です。自分が好きな音楽やいいと思う音楽を紹介するというスタンスは、決して譲りたくありません。だから、就職はあえて広告代理店を選択。メディア制作に携わるかたわら、CDを輸入し、大手レコード店チェーンに販売する仕事を始めました。いわば二足のワラジです。「オマエ、何で仕事中に英語の手紙を書いてるの」と上司にとがめられたりもしましたが、僕なりにどちらも真剣に取り組みました。もともと独立を公言していましたし、おおらかな社風だったのはラッキー。交渉力やプレゼンテーション力、知恵を貸してくれる友人たちと、この時期に得たものは大きかったと思います。

2カ月食えれば、何とかなる!?

 CDの輸入販売一本に絞るキッカケになったのは、1998年の冬、東京のレコード・チェーン店で開いたポーランド・ジャズ・フェアの成功でした。大儲けとはとてもいかなかったけれど、少なくともその利益で2カ月間は食える。次の目安は何もないけれど、2カ月食えれば何とかなるだろうと、まるっきりアバウトな出発でした(笑)

 SOHOとしてスタートしてからは、できることは何でもやりました。人を雇うほどの余裕はないですから、昼間はレコード店の担当者と交渉をし、夜は海外のレコード会社とやりとりをする。合間に新譜やアーティストの紹介記事を書き、発送のための荷造りをする。そのまた合間に新譜を試聴し、さらには資金繰りに走り回るといった具合です。むろん問い合わせやクレームへの対応も、仕事のうち。こだわりの強いジャズファンと電話で1時間やりとりしていたら、その日の発送ができなくなってしまった、なんてこともありましたね。

 仕事を始めてから聞いたCDだけでも、多分2000枚近くになると思います。最初の5秒間聞けばいいかどうかわかる、と選択眼には自分なりの自信はもっていましたが、商売はそう甘くはありません。特に最初の頃は、これは売れると1000枚輸入したのに半分も売れなかった、といった苦い経験もたびたび。今でも数百枚のCDが眠っています。最近、読み違えが少なくなったのは、自分なりに市場を読む目が備わったから。少しは商売上手になったと自負しています(笑)

エネルギー源は、新しい音楽を発見する楽しさ

 どちらかといえばITは不得手な僕ですが、メールとインターネットには心から感謝しています。ヨーロッパやアメリカが相手ですから、手紙とメールではスピードが違いますし、ヨーロッパは17:00頃、アメリカは23:00頃にそれぞれ朝を迎えるわけですから、時差の壁をクリアでき仕事の効率もぐんと良くなりました。新しい取引先を紹介されたときでも、メールなら気楽に送ることができるので、仕事の幅も広がりました。地方にでかけるときも海外出張でも、メールチェックは欠かさない日課です。もちろん、海外のレコード会社や音楽ファンのサイトに自由にアクセスできる環境ができたことも、大きなプラス。仕事のクオリティを高めてくれている実感があります。

いい仲間ができて、仕事の効率もアップ。夜の打合せは、酒を飲みながら和気あいあい。チームワークは抜群です。

 仕事とプライベートの境目がないのは相変わらず。会社員時代の年収にはまだ届かないし、友人からは「相変わらず能天気だね」とからかわれたりしますが、僕にとっては今の環境がベスト。海外のレコード会社との信頼関係という資産もできたし、ジャズだけでなく、ロック、クラシック、ワールドミュージックなど音楽の幅広い分野へとビジネス・スケールも広がってきました。ずっとやりたかったCDの制作も2年前にスタート。この秋には初めて、ハンガリーのピアノトリオを招き、ライブを開きます。日本で知られていない音楽は、まだ無数にあります。音楽という無限の世界にどっぷりと浸かって、新しい音楽を発見する。その痺れるような楽しさが、僕にとってエネルギーの源なんです。

笠井さんのある一日
タイムテーブル
10:00
起床
メールチェック
13:00
出社
14:00
レコード店で打合せ
15:00
メンバーと打合せ
16:00
雑誌広告のプランを練る
17:00
欧州とメールのやりとり
19:00
新譜を試聴
23:00
帰宅
アメリカとメールのやりとり
27:00
就寝
SOHOスタート費用
会社員時代から活動していた
ので特になし
サイト名
ガッツプロのジャズ万歳-Jazz From All Over The World
世界の珍しいジャズや音楽の紹介、CD販売をしています。
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