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彫刻工房を始めるなんて、自分でも夢にも思っていませんでした。すべては偶然が重なって現在があるんです。
事の始まりは木札を彫り始めたことです。私が生まれ育った鳥越(注;東京都台東区にある、いわゆる下町)の人間は、とにかく祭り好きです。もう年がら年中、集まると祭りの話をしています。まるで祭りのために仕事をしているようなもんですね(笑)。その祭りの時に、自分の名前を彫って首からぶら下げる木札を作ったんです。最初は自分のために彫ったんですが、これが仲間内で大評判になって、暇を見つけては彫っていました。もともと家業が洋服のボタンホールを作る仕事でしたから、細かい手作業はお手のものです。こんなことを10年くらい続けましたかね。
最初の偶然は今から3年ほど前。貴金属の加工をしている弟の所に、彫刻機の売り込みがありました。弟は機械の説明を聞いているうちに「そういえば兄貴がやってる木札の彫刻に使えるんじゃないか」って、私に電話してきたんですね。で、セールスが家に来て機械を見た瞬間、直感的にこれだと思ってその日の内に契約しちゃいました。結構高い機械なんですが、アタッチメントを替えるといろんなことができる。なんかもう、ワクワクしたのを覚えていますよ。
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