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原田友彦さん SOHO人紹介 第5回 実益と「勉強の場」を兼ねたSOHOを実践しています
「文章を書くのが好き」という原田友彦さん。
本好きが高じて、青果市場で働くかたわら、オンライン古書店「夏目書店」を運営している。
2003年09月01日
「オンライン古書店なら自分でもできる」と直感しました
古書店を始めるきっかけになった本(右)と、初めて売れた記念の本(左)。
古書店を始めるきっかけになった本(右)と、初めて売れた記念の本(左)。

 オンライン古書店を始めるきっかけになったのは、大学3年生の時の、町工場でのアルバイトです。現在僕は27歳ですから、5〜6年前になりますね。その町工場というのは、朝機械をセットすると、後はその場に居さえすれば何をやっていてもいいという、実に素晴らしい(笑)環境でした。それまで本を読む習慣はまるでなかったのですが、その頃ちょうど一人暮しを始めてテレビを置かないようにしたこともあり、自然と本を読むようになりました。そして散歩がてらに早稲田の古書店街をブラブラするようになって、本もどんどん増えていきました。
 大学を卒業した後も同じ町工場で働いていましたが、不景気で仕事がなくなってしまい、その後出版社で働いている頃、北尾トロさんの『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』という本に出会いました。本好きなら一度は古本屋のおやじに憧れるものです。これはいいぞ、オンラインなら自分でもできるんじゃないかって直感しました。
 古本屋を実店舗でやるには、店番と仕入れで最低2人いなければできないのですが、オンラインなら1日何回かメールをチェックすれば仕入れにも自分が行ける。1人でも十分に対応できます。それでも、すぐに古本屋を始めようとは思わなかったのですが、古物商の許可が2万円程度で取れるということがわかり、ひとまず免許は取ることにしました。で、許可を取ったのはいいのですが、どうも営業の実態がないとまずいらしい。そこで、取りあえずホームページだけでもと開いたのが夏目書店のそもそもの始まりです。

メルマガの発行でアクセス数が一気に増加!
ホームページの更新は水曜日と日曜日にやることが多い。
ホームページの更新は水曜日と日曜日にやることが多い。

 コンピューターは全くダメですが、ホームページ作成ソフトを使ったのでサイト自体はすぐにできました。それから半年くらいかけて、何とか「古本屋らしい」サイトになってきたので「夏目書店・開店」としました。古本屋のホームページなので、活字がメイン。デザインはごくシンプルにすることを心がけました。まあ本当のところは、コンピューターの知識が無くてシンプルにしか作れなかったんですけれどね(笑)。
 最初は自分の読んだ本を並べました。あまり本気でやっていなかったためか、なかなか売れませんでしたね。最初の1冊が売れたのは営業を始めてから半年、ホームページを作り始めて1年経ってからです。その本は三田誠広さんの「パパは塾長さん」でした。嬉しかったですね。それ以降もこの本はちょくちょく売れるので、見つけたときは欠かさず仕入れています。真剣に古本屋をやり始めたのは、この1冊が売れてからですね。
  「夏目書店」がそこそこ動きだした頃から、検索エンジンに登録したりもしましたが、ほとんどアクセス数は上がりませんでした。そこで考えたのがメールマガジンの発行です。もともと文章を書く勉強もしたかったので、思い切って始めました。すると最初から300人くらい読者ができて、ホームページのアクセス数が一気に上がりました。今では、1,500人もの方に購読していただいています。何かネットで始めようという方には、メールマガジンの発行はおすすめです。でも継続するのは大変で、日曜日はほとんどメルマガの執筆に費やしています。

専門性が古書店の秘訣
注文が来ると、このように伝票を整理しておく。
注文が来ると、このように伝票を整理しておく。
夏目書店の在庫の一部。中にはあっと驚くほど貴重な本もある。
夏目書店の在庫の一部。中にはあっと驚くほど貴重な本もある。

 2年ほどオンライン古書店をやってみてわかってきたのは、専門を持つということ。僕の場合は、“山本夏彦”“小林秀雄”“三国志”“落語”そして“囲碁”の本をできるだけ揃えるようにしています。専門を持つことでリピーターの方も増えますし、まとめ買いもしてくれます。価格競争に巻き込まれずに、わりと自分の納得できる値付けができます。
 仕入れは、神田の古書即売会などをリュックを背負ってこまめに回ったり、古本問屋の目録からセレクトしています。専門ができたことで、お客さんからこの本を探してくれというリクエストもありますから、インターネットも含めいろいろなところにアンテナを張りめぐらせています。

 僕は体を動かすことがとにかく好きなので、現在、オンライン古書店以外にも築地の青果市場で働いています。始発で市場に行って体を動かし、11時には仕事が終わりますから、その後は古本屋を回ったり、寄席や映画館にも足を運びます。本を読んだり、文章を書いたりする時間も十分あります。
 正直なところ、古本屋の方はまだ勉強の場と割り切っています。現段階では、それほど儲けようとは思っていません。さきほどは専門がどうのとわかったようなことを言いましたが、実は仕入れる本の大半は自分が読みたい本なんです。ですから夏目書店では、仕入れても僕が読み終わるまでは、リストに載らないかわざと売れにくいようにチョットだけ高い値段を付けています(笑)。
 これからは、ホームページとメルマガを核として文章を書く勉強をしていきながら、オンライン古書店にももっと本格的に取り組んでいくつもりです。僕にとっては「勉強の場」と実益を兼ねた大切なフィールド。焦らずじっくりと自分と共に成長させて行こうと思っています。

サイト名 オンライン古書店「夏目書店 夏目書店
URL http://www6.ocn.ne.jp/~natume/
エッセイ、文学、哲学、囲碁、落語など専門性の高い本をセレクトしたオンライン古書店。本の紹介や映画の雑文なども。
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