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IT&ビジネス 最前線レポート第5回 高速かつ快適なアクセス環境を提供するコンテンツ圧縮技術

2004年07月20日

速く、安全で、スムーズなデータ交換をサポート

ベーステクノロジー株式会社 今城忠浩 社長
ベーステクノロジー株式会社
今城忠浩 社長

 配送からファックスへ、ファックスから電子メールへ。通信手段はここ10年でめまぐるしい発展を遂げてきた。 もし、今インターネットや電子メールが使えなくなったら、業務効率の大幅なロスどころか、業務自体が成り立たない業種も出てくるだろう。
 現在のネットワーク環境は、企業の存続を左右するほど重要な役割を担っているわけだ。しかし、大量の文書やデータを送る際にはどうしても時間がかかったり、あるいはADSLなどの場合、ベストエフォートという回線の性質上、どうしても満足な速さが確保できないなどの問題が発生する場合があるのも事実である。
 このような快適な通信環境を求めるニーズに対応すべく、大容量のデータを速く、スムーズに送受信できるソフト「QuiX - Web Accelerator」(以下QuiX)を開発したのが、ベーステクノロジー株式会社(本社・千代田区麹町・今城忠浩社長)である。
 ネットワークでのデータの通信速度の遅さは、業務の遅延を引き起こしたり、効率化を阻害したりして、仕事に影響をおよぼしかねない。これらを解消するために開発されたQuiX は、Webサーバ側でコンテンツをリアルタイムに圧縮し、クライアント・コンピュータへの高速配信を実現するソフトである。
 このソフトは、既存のWebサーバに導入するだけで、クライアント側ではWebブラウザ以外の特別なソフトウェアは必要ない。HTML、テキスト、JavaScriptについては平均で70〜95%、Microsoft Word、Excel、PowerPointのデータは平均で50〜70%もの圧縮が可能であり、レスポンスタイムも最大5分の1にまで短縮するという。
 「このソフトは、ネットワーク帯域が狭い場合でも、高速かつ快適なアクセス環境をユーザーへ提供します。これにより、Webサーバの負荷軽減、通信やシステム増強にかかるコスト削減にも貢献するわけです」(今城社長)。
 たとえば、全国に拠点を持つ企業が、Web業務システムを本・支店間の低速ネットワークで利用したりする場合(本・支店間のネットワークが細く、混雑している)、本社側のサーバにQuiXを導入するだけで、スムーズにデータが送受信できるという。つまり、1人だけで専有してしまうような細い回線であっても、QuiXを導入すれば同時に数人で回線を共有でき、その結果、実質的な回線速度が速くなるということだ。

さらにバージョンアップさせたソフト開発を

 同社は1993年に設立されたインターネットおよびデータベースに特化したeビジネスソリューションベンダーである。取締役会長はあのセイコーエプソンの創業者である土橋光廣氏。今城社長はユニックス系のエンジニア出身で、「データベースとネットワークを融合していきたい」という土橋氏のビジョンに意気投合し、同社の立上げに加わったという。
 このQuiXシリーズは、Webシステム全般の高速化に有効なソリューション製品として、今後、Webソリューションベンダー、SIベンダー、キャリアベンダー等との協業展開を図っていくという。
 「QuiXの開発背景には、HTTPの技術がVer.1.0からVer.1.1にバージョンアップしたことがあります。Ver.1.1ではデータの圧縮・解凍への対応が可能になり、その結果、Ver.1.1に対応した、現在利用されているほとんどのブラウザでは、サーバ側でデータを圧縮して送ってあげれば、特殊なソフトなしで自動的にブラウザで解凍できるわけです。QuiXはプロキシにあたるようなものなのですが、これからもバージョンアップさせた開発を進めていきます」(今城社長)。

「FOMA」のデータ伝送も常時最速に維持

 同社は法人向けに、「FOMA」のデータ通信速度を常に性能の上限付近に維持できるソフト「Quix Mobile Accelerator F」をNTTドコモと共同開発した。これは、データも最大95%圧縮可能で、通信料金を大幅に節約できるなどのメリットがあるという。このソフトにより、小容量のデータを組合わせて大容量にしてから、一度に転送。FOMAの最大伝送速度である毎秒384キロビットの9割以上にあたる350キロビットの性能を常時出せるという。
 「これからのビジョンは、ミドルウェアとして、情報漏洩対策などのセキュリティを強化して管理も楽になるようなものも開発していくつもりです」(今城社長)。
 現在、ITの浸透とともに、大量のデータがごく普通にやりとりされるようになってきた。IT利用の発展にインフラが追いついていない現状では、これらのソフトがユーザーの業務改革にますます有効なものになっていくに違いない。
本村 賢悟 (もとむら けんご)
1967年鹿児島生まれ。大学卒業後、経済誌、情報誌編集を経て、2001年にフリーライターとして独立。現在、ビジネス、テクノロジー、カルチャーを中心に幅広いジャンルのレポート記事を手掛けている。