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IT&ビジネス 最前線レポート第2回 3次元のデータ管理を実現した「カラードットコードシステム」

2004年06月21日

バーコードよりも大容量の情報を記憶

  ADEU.NEK
【ホームページ】 ADEU.NEK

 現在、身の周りのほとんどの製品には、バーコードが付いている。このバーコード、1955年にアメリカでPOSシステムの原形が完成して以来、世界中の商品のデータ管理に貢献してきた。
 日本では80年代からコンビニエンスストアの出店ラッシュにともない、商品データ管理の“定番”として普及してきたが、そんな見慣れた「2次元」のバーコードよりも、さらに多くの情報量を記憶できるカラードットによる「3次元」のデータ管理システムが今、話題を集めている。それが、ベンチャー企業、ADEU.NEK(上田謙一社長)が開発した「カラードットコードシステム」だ。

 「白黒のバーコードをカラーにしたら、もっとたくさんのデータを入れられるのではないか?……そんな疑問からこの研究を始めたのが今から8年ほど前です。しかし、実際にリサーチを続けていくなかで難しい問題がいろいろと出てきました。当時、知り合いの印刷業者は、『そんなものは絶対に無理だ』と取りつく島もありませんでしたよ(笑)」(上田社長)。

 白黒と違い、カラーの場合は印刷すると隣の色と混じり合い、滲みができるなどの問題が生じる。そこで、それらの問題を解消するために上田氏が考えたのが、データを小さなドット(点)画像に変換して記憶するという革新的な方法だ。

 これは、文書や音声などの各種データを、印刷などのインクの基本色、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のカラーコード列で対応させたカラーのドット(点)画像に変換し、コンピュータ内部でこのドット画像をベースにして、基のデータを管理する。印刷する場合には、この画像を各ドットの大きさおよびドットとドットの間隔を制御して印刷し、印刷記憶されたカラードット画像をスキャナやデジタルカメラで読み取ることで、基のデータを復元するという仕組みである。

データ入手がカメラ付き携帯ひとつで気軽にできる!

「これにより、2次元バーコードよりはるかに大きいデータを表現でき、情報も1平方センチメートルに1,000文字、葉書1枚に5万文字が表現できます。しかも、色情報を活用することで面積あたりの情報量を増やすことができるので、同じデータ量でも表示に必要な面積が減り、名刺や目薬の容器など小さなスペースにも大容量の情報を入れることが可能なのです」(上田社長)。

 また、文字情報だけに限らず、画像や音声など大容量のデータも扱えるという。例えば、動物図鑑の写真にカラードット画像を載せ、それを読み込むと動物の鳴き声を再生できる。しかも、ドットは形状に縛られないので、カラードットで好きなキャラクターの顔などをデザインしたり、ネックレス状に色を並べ、その配列にメッセージを埋め込んだアクセサリーやシールなどを作ることもできるという。

 「データの復元には、当社が開発したソフトが必要ですが、復元時にパスワード入力を求める設定も可能です。このソフトを使用すれば、例えばパソコン上でカラードットコードを使用したホームページを印刷する場合、リンクをはっているものまで自動的に印刷することができ、情報収集の効率化もはかることができます」(上田社長)。

 この他にも、社員名簿データや顧客リストなどの流失防止のために極秘データ部分だけカラードット画像で表示したり、契約文書なども暗号化し、暗証システムとしても応用できるという。

 「現在、ある飲料メーカーから依頼されているのは、缶にカラードット画像のシールを貼り、それを携帯カメラで読み取って、当たりで景品をプレゼントするキャンペーンなどに活用するというものです」(上田社長)。

 こう語るように、カラードットコード普及の大きな目安は、カメラ付き携帯電話で情報を読み取れることだ。
 現在、NTTドコモの「iアプリ」で「文章〜カラーコード・変換プログラム」を指定のURLからダウンロードすれば、製品やポスターに貼付されたカラードットコードを携帯電話のカメラで撮影して、自動的にサービス情報を復元することができる。
 このように、カラードットコードにより、データ入手もカメラ付き携帯一本で気軽にできる時代が、すぐそこまで来ている。

人と人、人と情報がよりよい関係を保てる技術開発を

 「基本的に、新しいものを作るのが好きなんです」と語る開発者の上田氏は、松下電器時代に「日本語プログラミング言語」を発明した生粋のパイオニアである(この発明は1983年1月8日付の主要紙一面で取り上げられた)。しかも、ネットワーク上に分散しているコンピュータを使い、全体としてひとつの仕事をさせるという「グリット・コンピューティング」の考えを10年以上も前から提唱してきたという。それゆえに、これからのネットワーク社会に貢献するさらなる発明も研究中である。

 「ネット社会は、その利便性だけが表面化していますが、コミュケーションの不和を着実に蔓延させている部分もあります。長崎で起きた小学生殺傷事件のように、ネットワーク上の人間関係が現実と別のものへと変貌していく可能性もはらんでいるのです。」(上田社長)。

 ネットワーク社会の進展が人間のコミュケーション本来の意義を見失わせるようなものになってはいけない。だからこそ上田氏は、新時代のITエンジニアたちに、人と人、人と情報がよりよい関係を保てるような技術開発を期待している。

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本村 賢悟 (もとむら けんご)
1967年鹿児島生まれ。大学卒業後、経済誌、情報誌編集を経て、2001年にフリーライターとして独立。現在、ビジネス、テクノロジー、カルチャーを中心に幅広いジャンルのレポート記事を手掛けている。