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IT&ビジネス 最前線レポート第1回 ネット事業者の互助団体〜全国イーコマース協議会

2004年06月07日

MLから始まった全国組織

 現在、インターネット上のネットショップが何店舗ぐらいあるか、ご存じだろうか。実は、あまりに多いためにはっきりとは把握されていないが、延べ20万から30万店舗がインターネット上に存在しているといわれている。ブロードバンドの爆発、ネット人口の増加を背景に、ネットショップは今後も増加していく傾向にある。

 この商売、パソコンだけあればよいというわけではないが、初期投資が比較的少なく参入の障壁も低いため、小規模事業主がその大半だ。また新しい業種ということもあって、組織化・近代化が遅れていたが、最近ではショップオーナーを中心に組織化・団体化することによって、互助や地位の向上、スケールメリットを享受しようとする動きが目立ってきた。
  2003年1月に数人のネットショップ関係者が集まって結成された任意団体「 全国イーコマース協議会 (以下、EC協議会)」はその代表的な存在だ。

 「実はこのEC協議会は、実際に母体となる事務所や専従者がいるわけでなく、すべてメーリングリスト(以下、ML)を通した電子会議で運営されているのです」と藤井俊行会長は言う。

 どういうことかというと、事務局スタッフを務めているのは店長有志で、しかも彼らは全国各所に散らばっている。だから、毎回会議を開くわけにはいかない。さらに、専任のスタッフがいないにもかかわらず、運営には即時のレスポンスが要求される。
  そのため、この会の運営母体として事務局のMLが活用されるのだ。そのMLから、マトリクス状にいくつものMLが広がっていき、事務局のMLがそのすべてを束ねている。つまり頭脳に当たるMLとして事務局MLがあり、そこがすべての具体的な作業をやったり、情報交換をしているMLに指令を出したり、補助、予算をつけたりして運営しているのだ。

「この会が面白いところは、MLで宿題を出されたり、売れている店舗などと情報交換できる点です。そして実際に会ったりできると、より勉強になります。当店が賞を受賞できたのも、MLでの切磋琢磨の結果だと思います」と会主催“400人の店長が選んだベストECショップ大賞”を受賞した『無農薬野菜のミレー』の店長、早川氏は言った。

ネットショップのあるべき姿は自分たちで決める

 「実は、ユーザビリティやデザインも含めて、ネットショップはどうあるべきかという指標はあいまいなため、行政や大手モールも出してくれません。しかし店長たちは“売れる店舗とは何なのか?”“デザインはどうあるべきなのか?”などを本当に知りたがっているのです。どこもやってくれない以上、我々が自らするしかないということで、表彰事業およびグッドデザインのガイドラインなどを始めたわけです。もちろん、MLでの話合いですべてが決められました」(藤井会長)

 この会に属するほとんどの会員同士が知り合ったきっかけは、メール、MLなどだ。この団体はMLから派生し、ここまで成長した。
  同会は今年の4月にNPO法人としての申請を行っており、7月には認可が下りる予定。NPO法人になっても、MLがその運営の中心であることには変わりはないだろう。
  「手に取ることができないから、インターネットでの物販は難しい」と言われていたのは、数年前のこと。今やネットショップの未来は明るく、誰もそのことは疑わない。このネットショップの団体は、すでにバーチャルに存在し、リアルな部分からネットショップの方向性を変えている。インターネットはどこまで我々の未来を変えるのだろうか。

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平山 泰朗 (ひらやま やすろう)
1971年長崎県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、旅館業などを経て、現在eコマース支援の会社、株式会社ウォークス代表取締役。