一口にワイヤレスといっても、いろいろな方式があり、接続する機器や必要な距離などの目的に応じて使い分けが行われています。例えば、テレビのリモコンでは赤外線方式が使われています。赤外線は、太陽光線と同じ光の一種で、もっとも波長の長い赤色の光を利用してデータのやりとりをする仕組みになっています。
赤外線方式は、前述のように光であるため、壁などの障害物があると通信ができないという欠点があります。しかし機器の製造コストが安価ですむことから、さまざまな機器で利用されています。パソコンでも赤外線通信の規格が用意されています。IrDAと呼ばれる規格がそれで、1m程度の近距離通信を利用するリモコン、一部のマウス、キーボード、そして一部の携帯電話とのデータ通信などで採用されています。
同じ近距離のデータ通信の規格としてBluetoothと呼ばれる規格があります。Bluetoothは前述の赤外線方式ではなく、電波を利用する方式です。電波方式は、赤外線方式のように障害物があっても通信できなくなることはありません。一方で、電波の利用には法律によりさまざまな制限が設けられていること、電子レンジなどの特定の機器と干渉し、通信がとぎれてしまう可能性があるといった弱点があります。
Bluetoothに話を戻します。Bluetoothでは、赤外線に比べ通信距離が最大10mと長く、障害物があっても通信が可能です。さらに複数の機器と同時通信が可能で、IrDAに比べ消費電力が小さく、バッテリーが長持ちするなどの特徴があります。現在、携帯電話やキーボード、マウス、携帯プリンタ、ヘッドホンなどに採用が進んでいます。このようにBluetoothはIrDAに比べると優れた部分が多いのですが、対応機器が少ないこと、機器そのものの価格が高いこともあり、なかなか普及が進んでいません。
電波を使う規格で普及が進んでいるのが無線LANと呼ばれるネットワーク機器です。LANとはLocal Area Networkの略で、会社内や家庭など限定された場所で、複数のパソコンを接続して情報を共有できるようにすることをいいます。パソコンからインターネットに接続する場合などにも利用されています。
一般的に無線LANに対応した製品は「IEEE802.11a」「IEEE802.11b」「IEEE802.11g」の規格に対応したものを指します(以下IEEE802.11a/b/gと略す)。IEEE802.11a/b/gの違いは接続速度などの違いですが、これについては次回解説します。IEEE802.11a/b/gは前述のBluetoothと同様の電波方式を採用しています。BluetoothやIrDAに比べてデータを送る速度が速く、遠くまで電波が届くというメリットがあります。1階から2階といった距離でも利用できます。反面、消費電力が高く、前述の二つにくらべて製造コストが高いなどの欠点があります。
多くのノートパソコンで標準装備化が進んでおり、パソコンとモデムの仲介を行うルーターをはじめ、プリンタサーバー、ネットワーク対応ハードディスクなど対応機器が豊富なのが特徴です。これ以外にも、ワイヤレス化するための技術にはいろいろな規格があり、また近々登場する予定の規格もあります。
次回は無線LANの規格であるIEEE802.11a/b/gそれぞれの違いや対応機器など無線LAN全体についてより詳細に解説します。