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デジタル化で変わるテレビ放送 第3回 ハイビジョン放送の種類

2005年09月05日

どれがハイビジョン?放送の種類を知ろう

 デジタル放送がテレビや雑誌などで紹介される場合「写真のようにきれいで精細な画面」といったように画質面がクローズアップされます。

 しかし、ここまで紹介してきたように、デジタル放送自体はデータのやりとりの方法を示す言葉で、放送される番組すべてが写真のような高精細品質、というわけではありません。デジタル放送でも、従来のアナログテレビ放送と同じ画質で、伝達方法だけデジタル化したもの、また、前回掲載したようなブロードバンド放送もデジタル放送の一つといえるのです。

「写真のようにきれいで精細な画面」、つまり高精細なテレビ放送は一般的に「ハイビジョン」もしくは「高精細度テレビ、HDTV」(High Definition TeleVision)と呼ばれます。もともとハイビジョンはNHKが開発したアナログ放送による高品位放送のことを指す言葉でしたが、放送のデジタル化が進められる上で、高精細なテレビ放送のことを総じてハイビジョンと呼ぶようになったのです。なお、HDTVに対して従来の画面情報量を持つテレビ放送のことを「標準テレビ SDTV(Standard Definition TeleVision)」と呼びます。

 なおハイビジョンの定義としては、画面の比率が従来のテレビ放送の主流である4:3から映画などで使われる16:9というワイド型になり、さらにSDTV以上の画面情報量を持つことを指すのが一般的です。

解像度と画質の違い

 ハイビジョンでは、テレビの持つ画面情報量を「解像度」という言葉で説明します。解像度とは、映像においてどれくらい細かい情報まで表示できるかを示す単位のことです。この解像度は画面の縦軸を表す垂直解像度と横軸を表す水平解像度で示します。

 この数値が多ければ多いほど、一画面の中の情報量が増え、解像度の高い画像が表示されるのです。SDTVでは、横軸の解像度が525ドットで、ハイビジョンでは720〜1920ドットまでさまざまな垂直解像度が用意され、高精細化が行われています。
SDTVとHDTVの比較表
 AV機器のカタログなどで解像度を説明する場合には、水平解像度を基準とする場合がほとんどです。HDTVでは、表の垂直解像度の「1125P」のように、解像度のほかに、Pやiという単語が付いています。Pとはプログレッシブ、iはインターレースという意味です。

 プログレッシブ、インターレースとはなんなのでしょうか? SDTVを例に挙げて説明しましょう。SDTVは1秒間に60枚の静止画から構成されています。1画面は525本の横線から成り立っていて、この横線のことを走査線と呼びます。

 インターレースでは、1枚目奇数の走査線、2枚目偶数の走査線というように、走査線の本数1/2ずつ、1秒間に30回画面を描き換えることで、画面を表示しています。
インターレース方式とプログレッシブ方式
 インターレースでは上左図のように、青線に示したような形で上から下に画面をとびとびに描画してから、赤線の部分を同様に描画します。一方、プログレッシブでは、インターレースのようにとびとびに表示するのではなく、上右図の黒線のように上から下へ順番に走査して画面を描画します。プログレッシブではインターレースのように絵を一つ一つ飛び越して描画をしないので、スムースに絵が表示されます。

 ではなぜ、テレビ放送は最初からプログレッシブを使わず、一見複雑に思えるインターレースを採用したのでしょうか? 実は、テレビ放送が始まった当時では、1秒に512本×60枚を同時に表示するための技術がなかったためです。しかし、技術に合わせて解像度を落とすと画面ごとの情報量が少なくなり、見た目がかなり悪くなります。そこで当時の人は考えました。人間の目は動きのあるものは残像を利用して、多少ちらつきは補正してくれます。この現象を利用して解像度と動画表現を両立させたのです。

 インターレースは動きの激しい、動画のような情報の再生では目の残像効果により、画面のちらつきはほとんど気になりません。しかし、パソコンの文字表示のように動きがなく、画面を凝視する情報を取り扱うには、画面の書き換え時にちらつきが発生するため目が疲れやすくなります。このためパソコンで採用されているブラウン管方式のディスプレイでは、60枚の画面を一度に書き換えて表示するプログレッシブ方式が採用されています。

 ハイビジョンでは、解像度がSDTVの倍以上あります。このため、技術的な理由から1125iのような高解像度モードでは、プログレッシブ方式を採用していない場合もあります。このように、一口にハイビジョンといってもいろいろな画質や放送方式があり、対応機器や対応サービスもさまざまなのです。

双方向サービスの仕組み

 ハイビジョンは解像度が向上したため、一画面ごとの情報量が増えました。これにより、デジタル放送では、文字情報の扱いがしやすくなり、この特性を活かしたサービスが提供されています。

 その一つが双方向サービスです。双方向サービスは一方向の通信であったテレビ放送に対し、ユーザー側からのアクションをテレビ局に対してテレビ画面から操作して行うことのできる機能です。

 例えば、視聴者参加型クイズ、ビデオ・オン・デマンド技術(第2回参照)などを応用して視聴者がストーリーを選択し、展開が変わっていくストーリー分岐型ドラマ、さらに株券の売買といったショッピングサービスや行政サービスなどさまざまな方向での応用が計画されています。

 これまでも、ケータイやパソコンなどと連動したアンケートサービスはありましたが、デジタル放送では、テレビ画面から直接アンケートなどを送ることが可能になります。ユーザーからテレビ局に情報を送る方法として、インターネットが利用されます。
双方向サービスの仕組みの図
 こうした双方向サービスを行うためには、各テレビ放送を視聴している個人を特定する必要が出てきます。そこで利用されているのが「B-CASカード」です。次回、「ハイビジョン放送のコピープロテクト」の中で、B-CASカードについても紹介いたします。

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