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なぜつながる?通信の仕組み 歴史と未来

第6回 携帯電話の進化と周波数の割り当て問題

携帯電話の普及とともに進化する仕様、現在の周波数割り当て問題や今後の周波数再編について紹介します。

2008年9月9日

携帯電話の仕様の進化

 携帯電話を知る上で、大きなポイントとなるのが「技術世代」の違いです。現在の携帯電話は大きく分けて音声主体の第1世代から、データ通信サービスを主眼に置いた第3世代、より高速なデータ通信を主眼に置いた第4世代までに分類されています。それぞれの世代を「×st generation」と呼び、第1世代を「1G」と省略して呼ぶこともあります。

 各世代について簡単に紹介しておきます。第1世代の携帯電話では、無線の技術を応用したアナログ方式を採用しており、音声信号をそのまま電波に乗せて送受信をしています。アナログ方式は、ノイズが乗りやすいこと、通話品質にムラが出てしまうこと、盗聴などのセキュリティ問題、加入者が増やせないという問題がありました。

 この問題を音声データのデジタル化により解決したのが第2世代の携帯電話です。デジタル方式の携帯電話では、音声信号を数値データに変換することで、音声品質を安定化させ、盗聴を防ぎ、なおかつ少ないデータで音声をやり取りできるので、加入者数を増やしやすくなったのです。

 こうして便利になった第2世代携帯電話ですが別の問題が起きました。それは、日本国内で使用している携帯電話機を持って海外に持っていっても使用できないという互換性の問題です。最大の原因は同じデジタル方式の携帯電話であっても、世界で使われている携帯電話の仕組みと国内で使用されている携帯電話の周波数帯と音声の符号化方式の仕組みが違うことから来ています。

世界各国の第2世代方式と周波数帯域 説明図

 こうした不便さを解決するために、主要国の携帯事業を運営する企業と国際電気通信連合(ITU)が仕様をまとめ、統一的な携帯電話の仕様「IMT-2000」を作ることになりました。それが現在主流となりつつある、第3世代携帯電話です。メリットはデータ通信速度の向上により、大きな写真や動画を手軽にメールに添付できたり、ゲームなどをはじめとするアプリケーションをダウンロードしてインストールするのが第2世代携帯電話に比べて手軽になったことです。このほか、USIMカードと呼ばれる個人IDを含んだカードを交換することで、携帯電話本体の交換が簡単になったことなどが挙げられます。

 より進化した携帯電話として、第4世代携帯電話(IMT-Advanced)の策定も行なわれています。第4世代携帯電話では、光ファイバ並みの100Mbpsという超高速インターネットを実現することを目的としています。携帯電話と無線LANの融合させ、光ファイバなどのネットワークが敷設できない環境でも高速なネットワークが利用できるようになるというのが、第4世代携帯電話の特徴です。

周波数の割り当て

 経済関連のニュースでよく話題になるのが、周波数の割り当てです。携帯電話は電波を使うことで、ケーブルなしで通話ができるようになっています(詳細はこちら)。電波は1秒間に行なわれる振動数、つまり「周波数」による分類が行なわれ、携帯電話では、下記の表のような周波数帯が使われています。この周波数帯の割り当ては日本では総務省が担当しています。

2008年現在の周波数帯割り当て状況 イメージ

 電波は、周波数が高いほど情報を多く送信できますが、その一方でビルなどの物体に遮られて、遠くに届きにくくなる特性があります。携帯電話に割り当てられている中でも、800MHz帯は周波数がもっとも低く、波が1回振動したときの距離を表わす波長がもっとも長いため、通信事業にはもっとも適した電波帯です。また技術の蓄積も豊富にあることから、基地局数を少なくでき、設備投資も抑えられます。

 しかし、この800MHz帯は過去の需要に合わせ、携帯電話だけでなく、防災無線や航空機、パーソナル無線などさまざまな業種に細切れに割り当てられています。電波を効率的に使うためには、一つの業種に一定の幅を割り当てる必要があり、現在の細切れ分割された状況では、800MHz帯の特性を十分に活かすことができません。そこで必要になってくるのが電波帯域の再編です。

 こうした電波の割り当て状況の問題は、携帯電話だけの問題ではありません。家庭用の無線LAN、家電機器やパソコンをワイヤレスで接続するUltra Wide Band(超広帯域無線)、流通に使われるICタグ、航空や船舶などあらゆる分野で電波を使った機器が増え需要が逼迫すると見られており、帯域で割り当てを見直す大再編が行なわれています。再編計画は「周波数再編アクションプラン」としてまとめられ、随時スケジュール等が改訂されています。2011年に終了する地上アナログ放送から地上デジタル放送への移行もこうした再編の一環です。

 再編はアメリカなどの環境と互換性を持たせることも目的の一つです。これは、海外で購入した家電を国内で利用できない、国内で生産された家電をそのまま輸出できないといった第2世代携帯電話で起きたような電波割り当ての互換性からくるトラブルを無くすためです。各企業や事業体は電波帯域再編後に、有利な帯域を獲得するための活動を行なっています。再編が進むにつれて、こうした活動が経済ニュースとして取り扱われる機会は増えてくるでしょう。

ナガハタ トシヒロ

フリーライター兼編集者として、主にパソコン関連のレビューおよびテスト記事のライティングおよび雑誌編集を手がけるフリーライター。

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