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成功社長インタビュー IT導入はこれで成功した!
第7回 Part2.経営者とエンジニアが信頼しあえる関係を 2004年01月26日
代表取締役 小方 功氏
株式会社 ラクーン
代表取締役 小方 功氏
 同社は1993年、小方社長が29歳の時に対中貿易商社として創業。98年より過剰在庫品の処分に困っている企業のニーズをつかみ、過剰在庫の転売業務を開始した。同年8月よりインターネットにより余剰品の買い手(主に中小の小売店)と売り手(大手メーカー含む)との仲介を行う「オンライン激安問屋」を開設して飛躍的な成長を遂げる。2000年10月に「日経インターネットアワード2000」受賞。02年2月には、小売店が新商品や定番品をメーカー各社から直接仕入れることができるサイト「Super Delivery」をスタートし、03年2月に資本金6億8千万円に増資し、現在も着実に成長し続けている。
コスト感覚を持ったエンジニア
 エンジニアと経営者は信頼関係を作ることが難しいとよく聞きます。でも、これがうまくいかないとITはおろか会社がうまく機能しません。確かにエンジニアというのは職人です。だからプライドもあるし、自分で納得のいかないことはやりたくない。でも、経営者はそうじゃない。お金を稼がなくてはいけないのです。たとえて言うなら、経営者は今すぐ儲けたいけど、エンジニアは3年後に儲ければいいと思っている。
 そんなわけで、経営者とエンジニアというのはとかくうまくいかないもので、ことあるごとに衝突が起こって中心になるエンジニアが仲間を引き連れて会社を辞めてしまう、というのは実際によく聞く話です。でも、当社ではそういう問題は起きていません。エンジニアも、自分のした仕事がいくら会社に貢献できているのか、非常に関心を持って仕事をしている。とにかく、驚くほどみんな熱心にやってくれてます。
技術戦略部の若きマネージャー 羽山 純 氏
技術戦略部の若きマネージャー 羽山 純 氏
 当社で運営している「オンライン激安問屋」にしろ、02年に開設した「Super Delivery」にしろ、私が関わっているのはコンセプトを決めることです。サイトの開発や運営は、ウェブマスターと、当社では「鍋奉行」と呼んでいる商品の選択などを行なうマーチャンダイザー、そして実際の開発にあたるエンジニアの3者が協力体制のもと行なっています。
 しかも、当社はエンジニア側から徹底的に費用対効果を確認するための会議も開いています。エンジニアも経営感覚を身につけているわけです。誰かが新しい機能を考案しても、利益が見込める機能なのかエンジニアが納得しないと進めないようになっています。
 とにかく、ひとつの目的のもと、皆が同じ方向を向くということはとても大切なことです。そして、やはりコンセンサスが大切ですから、多数決ではなく最適な意見を責任者が統括する体制にしています。

 余談になりますが、現在7名いるエンジニア(技術戦略部)たちが一番力を入れているのは「セキュリティ」です。やはり、お金のやり取りが直接的に関わってくる業種ですから。ちなみに、これまでお客さまに謝罪しなければならないようなトラブルを起こしたことは一度もありません。当社のCTOはEDI(電子データ交換)の専門家で、業界でも非常に有名な人間です。彼を中心に、よくまとまってやっています。
 さらにいうと、当社のエンジニアは大学在学中から入ってくるので、平均年齢はだいたい20代前半で非常に若いチームです。そもそも、CTOの下でリーダーを務めている羽山マネージャーは、まだ大学生ですし(笑)。だからこそロジックな思考回路を持ち、ITをクールな視点で事業的にとらえています。考えられることを常にシュミレーションし、最適なシステムに仕上げる能力に長けており、それをやることでどんな結果が得られるか、エンジニア全員が把握しているのです。
ITというツールとスタッフの能力をどう生かすか
 経営者としては、この社内の体制を大切にしたいと思っています。現在あるいろいろなシステムや商品などは、そのほとんどが若いスタッフたちが考えて決めたことです。環境さえ作れば、彼らは本当にみずから進んで取り組んでくれます。たとえば、こんなことがあります。
うずたかく詰まれたダンボールが出荷を待っている
うずたかく詰まれたダンボールが出荷を待っている
 在庫処分ビジネスに商機を見出し、「オンライン激安問屋」を開設したのは私ですが、このビジネスの成功のポイントは、バーコードのついていない衣料・雑貨品がメイン商品だからこそニーズがあったということもあります。通常バーコードが付いている商品は、大手の流通が関与していて、そこに入り込むのは非常に難しいことです。しかし、当社が取り扱っているアパレルや雑貨品は、常に若い人がデザインして自由に作れる商品です。今の世の中、大量生産している商品よりも、バーコードのつけようもない、細かな商品の方が若い人のハートをつかんでいます。それらの流通が渾沌として閉ざされていたため、そこにも商機があったわけですが、そこに気づいて具体化したのもスタッフたちです。

 問屋業をインターネットに切り換えた98年の売上は1900万円で、その2年前と比べて5000万円近くも落ち込んでいました。しかし、インターネットが仕入れツールとして徐々に浸透していくことを信じ、eビジネスに特化することを諦めずにやり続けた結果、99年には3000万円、2000年には2億円、2001年には5億円の売上を達成するまでに成長したのです。これも、常に顧客ニーズを忠実にサービスに反映していくという商売の基本を大切にしてきた成果です。そして、自分たちの本当の武器は何かを忘れることなく、社内の若い力を存分に発揮させてきたことの結果でもあります。

 ITに関して結論めいたことを言うとすると、とにかく肝心なのは"ITとは自分たちの強みを実現するための有力なツールである"というスタンスを守ること。これがITに幻想を抱くのではなく、ITを本当に生かすポイントではないかと思います。
(終)
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