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成功社長インタビュー IT導入はこれで成功した!第6回 Part1.ITは経営者を取り巻くファクターのひとつです
  2004年01月13日
代表取締役 小方 功氏
株式会社 ラクーン
代表取締役 小方 功氏
 同社は1993年、小方社長が29歳の時に対中貿易商社として創業。98年より過剰在庫品の処分に困っている企業のニーズをつかみ、過剰在庫の転売業務を開始した。同年8月よりインターネットにより余剰品の買い手(主に中小の小売店)と売り手(大手メーカー含む)との仲介を行う「オンライン激安問屋」を開設して飛躍的な成長を遂げる。2000年10月に「日経インターネットアワード2000」受賞。02年2月には、小売店が新商品や定番品をメーカー各社から直接仕入れることができるサイト「Super Delivery」をスタートし、03年2月に資本金6億8千万円に増資し、現在も着実に成長し続けている。
在庫処分ビジネスに商機を見出す
 当社は輸入代理業として創業したわけですが、現在の業種はいわゆる「問屋」です。今では問屋は斜陽産業と言われていますが、当社が他の問屋と違うところはITを「ツール」としてフル活用しているところだと言えます。
 1998年、私は多くの余剰在庫を抱える状況に追い込まれたのですが、その時同じように在庫処分に困っている会社があるはずだと考え「なぜ、余剰在庫が出るのか?」という疑問を分析したのです。その結果、余剰在庫を解決するためのマーケットは作れるはずだ、いや、作らなければならない、という結論に達しました。
業務内容はドキュメントにわかりやすく整理されている
業務内容はドキュメントにわかりやすく整理されている
 それで当時、資金も人材もいない中で行き着いたのがパソコンです。インターネットを介して在庫品の売買を仲介する「オンライン激安問屋」というマーケットを開設したのです。新たにマーケットを作る価値に関してはすでに理解していたので、取扱い商品をアウトレットに特化することで、さらに差別化しました。そして、こつこつとマーケットを作っていったわけです。
 「オンライン激安問屋」は、企業が抱える過剰在庫を格安で全国の小売店へ卸販売し、在庫特有の商品劣化等を事前に検品してから販売するだけでなく、品質管理にも尽力しています。当社は、この仕組みやマーケットを少しずつメーカーに開放して、新しい問屋の概念を作り上げようとしているわけです。その結果、現在1000以上のメーカーと1万7000店舗がインターネットで繋がっています。
 実は、このマーケット自体が我々の武器であり、インターネットは武器を使うためのツールなのです。よく「ITを入れても何も変わらない」という人もいますが、それは、このあたりのことを誤解しているからではないかと思います。
ITは新たな流通システムの構築するためのツール
 私は在庫処分ビジネスにITで対応することに商機を見出し、「オンライン激安問屋」を開設したわけですが、一番やりたかったことは新しいマーケットの開拓と整備です。繰り返しますがインターネットはそのためのツールです。
商品の撮影のため設けられた専用のスペース
商品の撮影のため設けられた専用のスペース
 このサイトを通じて実現したかったことは、メーカーと小売店の距離を縮めることでした。大量に作り上げる工場(メーカー)と少しずつ仕入れる小売店をつなげれば、在庫はなくなると読んだのです。少量のものを急いで作れるメーカーと大量に発注する小売店とつなげたら、多分、在庫は残るでしょう。したがって、在庫をなくす方法はたくさん作る人と少しずつ仕入れる人をつなぐしかないわけです。

 また、大手商社でさえ忘れて見落としてしまうのは「集客コスト」です。だからこそ、利用者が噂を流布したくなるような、わかりやすい集客性を持ったサイトをビジネスの「母船」として抱える必要があったわけです。
 結果的に問屋業をeビジネスとして進化させたことで成功し、多くのマスコミに取り上げられました。しかし、当社が単に「ITで成功した企業」としてくくられることは真意ではありません。余剰在庫を抱えたことによって、その在庫を末端の小売店に流すという流通革命を起こそうと決意したわけですが、余剰在庫が私に与えたヒントは流通のソリューションであって、IT自体はあくまでも新たな流通システムの構築するための「ツール」だととらえています。
ITが持つ誤解や呪縛を解くために
 在庫処分ビジネスを考えた時に、私はパソコンを使い始めたわけですが、実は当時、使いこなしたこともない道具を「武器」として考えることはできませんでした。しかも、98年当時のマスメディアは、どれもITを煽るものばかりでした。「パソコンを使いこなさないと生き残れない」「これからの時代に乗り遅れる」などなど……。しかし、その確信を裏付ける実例が何もなかったのですから、マスメディアが振りまく幻想に惑わされてはいけないと思いました。

 経営者としてやるべきことは、他にもたくさんあります。例えば資金調達とか、自身を伝えていくプロモーション能力とか、人材の有効活用など様々です。ITは、あくまでも経営者を取り巻くたくさんのファクターのひとつです。
 「ITさえ入れればなんとかなる」というものではありません。だからこそ、コストをかける前に、道具としてパソコンの使い道をきっちり把握することが大事でした。マスコミに躍らされて思い付きだけで踏み込んでしまうと、資金的なダメージも大きい。そうなる前に、小規模で試してみることが必要だと思ったのです。それが、私の場合は20万円ほどのパソコンだったということです。

 今でも、ITを間違った意味でとらえ、ITに過度の期待をしている人たちが多い。そして「パソコンを導入したけど売上が伸びない」とがっかりしてしまう(笑)。この現状をきちんと解決しないと、ますますITを嫌う人が増えてしまうでしょう。だからこそ、ITを本当に生かすためには、ITが持っている誤解や呪縛を解かないといけないと思います。
(次回に続く)
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