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成功社長インタビュー IT導入はこれで成功した!
第4回 Part2.業務の特性に合ったシステムを構築 2003年12月15日
代表取締役社長 瀧澤一郎氏
東京和晒株式会社
代表取締役社長 瀧澤一郎氏
前身は1889年に創業した小巾綿晒を生業とする「丸三晒」。1947年東京和晒有限会社を設立し、本格的にゆかた晒の工業化に踏み切り、65年より株式会社化。
 転廃業していく同業社を尻目に、先代の瀧澤一郎兵衛氏は極短納期対応・在庫設置機能に生き残り策を見出し、クイックデリバリーサービスを柱とする現事業体制の基盤を築く。85年に洋装アパレルテキスタイル部門へも進出し、99年より「超小口染色加工」を開始。98年には経営合理化に成功した都内製造業7社に選ばれ東京都知事賞受賞。
システムの構築が生み出した独自の営業スタイル
 社長に就任してすぐに社内ネットワーク化を構築したことによって、多品種少量生産の体制を強化することができました。また、このシステムが少しずつ機能してきたことで、様々な小口のお客さまの注文にも、きめ細かくスピーディに対応できるようになったため、直にお客さまと接する機会が増えてきました。そこで思い切って今までの営業スタイルも変えることにしました。普通はこちらから顧客先に出向いて注文をいただいてくるものですが、反対にお客さまになるべくこちらの工場に足を運んでもらうようにしたのです。

 こう言うと殿様商売のようですが、お客さまに直接工場まで来てもらえば実際の設備や生地を見ながら、その場で商談も決済もできるのでお客さまにとっても都合がいいわけです。
 もっとも、これは当社の立地が都心に近いからこそ可能なことかもしれませんが…。しかし今までの「依頼されて作るだけの工場」ではなく、「お客さまも物作りに参加できる工場」という環境が整ったのも社内ネットワークの恩恵ですね。
手作りでシステムをバージョンアップ
生産管理から起票までを一気にこなす「手作り」のシステム
生産管理から起票までを一気にこなす「手作り」のシステム
 当社の現在のシステムの特徴というと「手作り」なところでしょうか。もっとも、最初からそうしようと思っていたわけではないのです。
 私が社長になって行なった社内ネットワーク構築から10年近く経った2002年に、システムを全面的にリニューアルすることにしました。10年も経てば機能やインターフェイスに大幅な改良が必要になるので、当然バージョンアップしなければならないからです。

 そこで、このシステムを作ったSI会社に相談したところ「かなり昔のプログラムだから、もうこれを理解できる人間がいなくなってしまった。申し訳ないがバージョンアップは受けられない」と言われてしまったんです。これには参りました。
 でも、何とかしなくてはいけない。それで近所に住んでいる知り合いのウェブ制作者に相談してみました。すると幸いなことに彼が「何とかやってみよう」と言ってくれて、お互いに知識を出しあいながら、まさに「手作り」のシステム構築を行ったのです。

 具体的に言うと、生地の種類や加工の方法のような諸々のデータ類を収めておくデータベースには「ファイルメーカー」を使用し、そこに「弥生販売」や「弥生会計」など市販の販売管理・経理ソフトを連携させる形で開発を進めました。その結果、生産管理と伝票の起票がつながったオリジナルシステムとして日の目を見たというわけです。
 販売管理ソフトにもいろいろと種類がありますが、帳票類のカスタマイズのしやすさと、経理・給与システムとの連携性のよさから弥生シリーズを選んでいます。
 また、本格的なデータベースではなくファィルメーカーを選んだのは、使い勝手や作る際の利便性がよいこともありましたが、いろいろなデータ項目を追加・削除しても全体の整合性が保たれるという点がポイントでした。

 開発に際しては全ての仕様を最初に全て決めてから製作にかかるのではなく、まず試作してみて最適だと思われる方法を採用するというように、柔軟に進めました。時には1日に10回近くもバージョンアップできたのも、めぐり合えた優秀な人材が近所にいてすぐ来てくれたという好運のおかげだと思います。
 システムがあればそれでいいというものではなく、あくまでも当社の作業・経理の実態に即したものでなければ使い物になりません。そして使わなければ意味がありません。それを考えても、この開発方法は正解だったと思っています。
 何はともあれこうした作業の結果、10年前のシステムよりも低コスト・短期間で新しいシステムが完成したわけです。
将来的には顧客自らの端末で使えるシツテムに
現場での作業がしやすいように配慮された工場内のPC
現場での作業がしやすいように配慮された工場内のPC
 こうして作り上げた新システムは事務所と工場をオンラインで結び、現在でも順調に稼働しています。このシステムの特徴は、生産のプロセス管理と伝票の起票が同時にできることです。
 当社では1ロット当たり大体300以上の管理項目があるのですが、それらのすべてに工賃が発生するわけで、きちんとひとつひとつ請求金額を伝票に起こしていかなければなりません。 しかし現実問題として、それを手作業でやっていたら莫大な手間がかかる上に間違いだって発生するでしょう。それが、このシステムを導入・利用したことでその手間から解放され、効率だってはるかに向上したというわけです。

 もっとも、現状お客さまからの注文をシステムに入力するのは人手に頼っています。当社の場合、工場での生産量は1日で100ロットぐらいありますが、先ほどもお話した通り、1ロットを作っていくのに大体300以上の管理項目が出てきます。それを1ロットずつ入力していくのですが、いちいち人の手で打ち込んでいったら、これまた膨大な事務量になってしまいます。

 私がシステムを運用する際、最も重要視するのは作業員の負担を少しでも軽減していくことです。せっかく伝票の起票も自動化したのですから、できるだけ人にかかる労力は減らしたく、生産現場ではワンタッチで選べるように工夫しました。

 これから先は、もっと欲張ったことも考えています。
 現在工場では、システムの端末に表示された情報を見てオペレーターが機械を操作していますが、将来的にはお客さまに直接やっていただく。つまりインターネットを経由してお客さまが自らのパソコンやiモードで入力したデータに従って、細かい加工指図をオペレーターに伝えたり、「自分の商品がいつできるのか」という進捗管理や過去のデータの履歴を引き出して営業力をアップするという、画期的な仕組みを作りたいと思っています。
(次回に続く)
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