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成功社長インタビュー IT導入はこれで成功した!
第3回 Part1.目標を明確にすることがIT化成功の第一歩 2003年12月01日
代表取締役社長 瀧澤一郎氏
東京和晒株式会社
代表取締役社長 瀧澤一郎氏
前身は1889年に創業した小巾綿晒を生業とする「丸三晒」。1947年東京和晒有限会社を設立し、本格的にゆかた晒の工業化に踏み切り、65年より株式会社化。
 転廃業していく同業社を尻目に、先代の瀧澤一郎兵衛氏は極短納期対応・在庫設置機能に生き残り策を見出し、クイックデリバリーサービスを柱とする現事業体制の基盤を築く。85年に洋装アパレルテキスタイル部門へも進出し、99年より「超小口染色加工」を開始。98年には経営合理化に成功した都内製造業7社に選ばれ東京都知事賞受賞。
スピード、開発支援、問題解決という三本柱
 当社は創業して約110年以上経ちますが、現在、私どもの業界も他の製造業と同じように、中国をはじめとした東南アジア各国の攻勢に脅かされています。こういった状況の中で当社のような中小の製造業者が生き残っていくためには、明確なコンセプトを打ち出していく必要があるわけです。
 当社では「スピード」、「開発支援」、「問題解決」という三本の柱で考えています。大企業のように少品種大量生産での価格競争を挑むのではなく、極短期納期に対応する“クイックデリバリーサービス”の徹底により、業界での生き残りをかけているのです。
 そしてこの三本柱を支えるのは、これまで蓄積してきた生産品目・作業工程・顧客などの膨大な「情報」です。つまり、この情報をしっかり活用しなければ、当社は生き残っていけないというわけです。当社にとってITは既に必要不可欠なものなのです。
事務所と工場をつなぐネットワークシステムの構築
 私自身パソコン通信時代からネットワーク化された先進企業の方々と交流しつつ、社長就任後にコンピュータによる情報の集約化とネットワーク化を推進していったわけです。まずはそのプロセスを簡単にお話しましょう。

 1992年に社長に就任した時、私が重視したのことは現場で働く職人たちとの情報の共有化です。というのも社長に就任する前、私は現場で工場長を務めていたのですが、生産現場を離れることで「現場と事務部門の意志疎通に支障をきたすのではないか」ということを一番危惧しました。何しろ現場での進捗や事務所とのやりとりなどを把握していた私がいなくなるわけですから。必然的に現場と事務所をつなぐ「情報ネットワーク」の構築には、社長就任後すぐに取りかかりました。

 以前は現場で発生する各種データは紙で記録し集計も手作業で、販売管理のみオフコンで行なっていました。しかし、LANで各現場と事務所をつないだことにより、自動集計や販売データの作成、顧客へのデータサービスなどが即座に可能になり、飛躍的に円滑な業務ができるようになりました。
 このシステムのおかげで、リピート発注時の再現性ひとつを取ってもミスやロスがほとんどなくなりました。さらに情報の共有化によって、顧客が各現場の担当者と直接データに基づいた話をすることも可能になったというわけです。
 また、個々の品目の生産工程での作業をすべてデータ化しているので、たとえトラブルが発生しても作業を検索することでどの工程で発生したものなのかがすぐに分かり、問題が最小限に食い止められるようになりました。
「多品種少量生産体制」を可能にするネットワークシステム
 そもそもこのネットワークシステムの目的は、工場現場と事務所との間を結び、作業の進捗や伝票類の管理などの色々な情報共有を可能にし、お客さまのお問合せに間違いなく即座に対応することだったのです。そして導入の結果、直接的にも間接的にも先に掲げた三本柱をより強固にできました。

 まず「スピード」化を追求していった結果、「仕掛り在庫」がどんどんなくなっていきました。同業他社の仕掛り在庫は平均5〜7日、通常安心して工場を回すには1週間分くらい在庫が欲しいわけです。多いところだと1ヵ月だし、中国だったら2ヵ月分くらいはあります。しかし当社の仕掛り在庫は0.5〜1.5日。ということは、朝、会社に来て加工すべき商品がない場合もあるわけです(笑)。
 一見不安定な経営に見えるかもしれませんが「注文があったら最短時間で納品する」という“クイックレスポンス”が多くのお客さまに受け入れられた結果、振り返ってみればほぼ毎日100%に近い操業が可能になっているのです。これは製造業というよりも、もはやサービス業型工場だと思ってやっています。

 こういう新しい形の工場にすることができたのも、「染色・仕上」という膨大な管理項目(1つの加工ロットに対して300以上の項目がある)を必要とする処理にITを使い、ネットワーク化されたシステムを構築・運用できたからこそだと思います。
 古いタイプの製造業では数日単位で工場の生産計画を立てて稼動していきますが、当社の場合はあくまでも「顧客本位」に立ったシステムを用い、数時間単位の生産計画に基づく稼動を可能にしました。その結果「超即生産体制」が可能になり、様々な小口注文にスピーディーに応え、お客さまに対して「開発支援」も「問題解決」も即できる体制を整えられました。

 このように、当社にとってITは本当になくてはならないものなのですが、その運営がうまくいっているということは「これを実現したい」という目的意識をはっきりと持っていたことに秘訣があると思います。
 ちなみに現在利用しているシステムは当初入れたものをバージョンアップして、数年前に新たに再構築したものですが、グランドデザインが明確だったので12年前には1年かかった開発期間を3ヵ月に圧縮することができました。
(次回に続く)
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